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(28.8.14) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「シナリオ ぼくが生きた時 その1」

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病気療養中のため新しい記事は二日に一回の割合で掲載し、その間は過去のシナリオを再掲しております。

ぼくが生きた時 その1

本日から6日間はシナリオシリーズです。このシナリオは私がシナリオライターになろうとして努力していたころの作品で、半分以上は自叙伝です。

○ 東京近郊の地方都市(昭和28年、春)

 小学校入学式の帰り。桜。斉藤次郎(7才)と母、斉藤和子(30才)の二人。

次郎「先生、名前、なんだったけ?」
和子「高崎先生、もう名前忘れたの。だめよ、よく覚えておきなさい。高崎先生、いってごらん」
次郎「高崎先生」
和子「そう、わすれちゃだめよ」
次郎「うん」
和子「それから、授業中は先生の目をよくみて、背中を伸ばして、いーい」
次郎「うん」
和子「うんじゃない、『はい』っていいなさい」
次郎「はい]
和子「それから、名前はといわれたら?」
次郎「斉藤次郎(小さな声で)」
和子「だめ、もっと大きな声でいいなさい。 もう一度」

 子犬が前をとおりぬける。みとれている次郎。尻尾をふる子犬。頭を撫ぜようとする。むっとする和子。

和子「(厳しく)おおきな声でと言ったでしょ、この子はすぐ注意が散漫になるんだから。もう一度いいなさい」
次郎「斉藤次郎(びっくりしながら大きな声で)」

  丘。桑畑。雲。舞う桜。

○ 斉藤次郎の家(5月、午後)

 1階建、6畳、4畳半、3畳、台所のこじんまりとした安普請の家。6畳間にちゃぶ台が置かれている。次郎と和子。和子が国語を教えている。

語り僕が生まれたこの地方都市は何の変哲もない田舎町だった。鉄道、甲州街道沿いの商家、桑畑が僕の知っているすべてだった。
この町に父母が居をかまえたのは、父が勤めていた軍需会社が疎開先をこの町にきめたからである。
戦後、失業した父は、この町で炭を売り、そして僕が物心ついたときこの町の唯一の産業である絹織物の行商の仕事をしていた

和子「また背中がまるまってる。伸ばして!ちゃんと書いて!そうじぁないでしょ。書き順がちがうでしょ。ほら、もう一度」

 もう一度、書きなおす次郎。
和子「またー、何度言ったらわかるの、ちがうでしょ(イライラする和子)」

 下を向いている次郎、目が吊り上がっている和子
和子「もう一度(強く)」

 書こうとしない次郎。
和子「なぜ、書かないの、書きなさい(声がだんだん大きくなる)」

 涙ぐむ次郎
和子「早くしなさい(怒鳴る)」

 ようやく書き始めたが、手が震えてかけない。
次郎「か、書けない(下をむきながら、弱々しく)」
和子「書けないなんてことないでしょ、馬鹿(次郎の左頬を平手打ち)」

 飛ぶ次郎、襟首をつかみ引き戻す和子。和子の母親、イネ(65才)が見かねて仲裁に入る。

イネ「お前、次郎は子供なんだから、そんな無茶しちゃ・・・次郎いいからあっちにいきなさい」

 しゃくりあげながら、ちゃぶ台を離れる次郎。怒りがおさまらない和子。

和子「おばあちゃん、口出しするのは止めてよ!」
イネ「和子、子供を叱りすぎると頭がわるくなるんだよ(静かな声で)」
和子「なにいってんの、おばあちゃん。あの子はどんなにしかっても大丈夫なの。馬鹿なんだから」
イネ「そんなことないよ。みてごらん。ふるえてるじゃないか」

 隅でちじこまり、震えながら不安げに和子を見ている次郎。
和子「字もかけずに,そんな恰好するんじゃない(怒鳴る)」

○ 外、子供達(同日、夕方)

 近所の子供が集まっている。20名。がき大将は小学校6年のヤス(12才)。かくれんぼ。

語り「当時、どこの路地にも20名ぐらいの子供のグループができていた」
ヤス「おい、かくれんぼするぞ。かくれんぼするもの、この指とまれ」

 すばやく指に集まる子供たち。次郎が一番遅くとまる。
ヤス「次郎、オメエが一番遅かったから、鬼は次郎」

 はやす、子供。下向く次郎。
次郎「鬼はジャンケンじゃなきゃ、ずるいよ(ぼそぼそと下をむきながら)」
ヤス「遅いのがわるいんだ、次郎。あの電信柱で100数えろ。はやく離れたら反則だぞ」

 ごすごと電信柱に向かう次郎。電信柱で100数えて、振り向く。最初にヤスが見つかる。

次郎「ヤスちゃん、見つけた!」
ヤス「次郎、オメエ、100数えてネエ。反則だ」
次郎「かぞえたもん」
ヤス「反則だ!」

 他の子供達も、ヤスに同意する。
子供達
「ハンソクダ、ハンソクダ、ハンソクダ」

 下を向きながら再び電信柱に向かう。100数える次郎。電信柱を離れる。最初にタカが見つかる。

次郎「タカちゃん、見つけた!」
タカ「次郎、反則だ。100数えてネエ」
次郎「数えた(強く)」
タカ「100数えてネエ、なあヤスちゃん」

 子供の視線がヤスに集まる。食い入るような次郎の目。

ヤス「100数えてネエ、次郎、反則だ(冷たく)」
子供達「ハンソクダ、ハンソクダ、ハンソクダ」

 目から涙が流れる。肩を落とし電信柱に向かう次郎。夕日、空に一番星。コウモリの飛翔。子供達のハンソクダ、ハンソクダのはやし声。

○ 斉藤次郎の家(午後7時)

 外に井戸がある。井戸で顔をあらい、涙のあとを隠そうとしている次郎。家の中から和子の呼び声が聞こえる

和子「ご飯だよ、手洗って早くきな」
次郎「うん(慌てて目をこする)」

 目がはれている。

○ 4畳半での食事(午後7時すぎ)
 
 和子、次郎、イネ、妹の令子(6才)、弟の則夫(3才)の5人。父親の一郎(37才)は仕事で帰ってきていない。ちゃぶ台での粗末な食事。ご飯、おみおつけ、一品のおかず。

和子「次郎、今日、外でなにして遊んだ?(ご飯をよそりながら)」
次郎「うん、かくれんぼだよ」
和子「鬼はだれ(それとなく)」
次郎「・・・・・(食事の手を止める)」

  
和子「鬼はだれと聞いてるでしょ(強く)」
次郎「タカちゃんと、ヒロちゃんと、ぼくだよ(あわてて答える)」
和子「違うでしょ(更に大きな声)、母さん窓からみてたよ。次郎がずうっと鬼だったじゃない。どうして嘘つくの」
次郎「・・(下をむいたまま答えない)」

  間
和子「次郎、お前、どうしていつも鬼なの(強い調子で)」
次郎「あのー、ヤスちゃんがぼく、鬼だというんだ(下をむき、箸とチャワンを持ったままの姿勢)」
和子「鬼はジャンケンできめたの」
次郎「ううん(首を横にふる)」
和子「じぁ、どうやって決めるの(イライラしながら)」

  
令子「コノユビトマレだよ。にいちゃん、遅いからいつも鬼なんだ(口をはさむ)」
和子「この子はいつもノロマだから・・なぜジャンケンできめようっていわないの(ヒステリックに)」
次郎「言ったけど、ヤスちゃんがコノユビトマレだって(ぼそぼそと)」
和子「馬鹿(次郎の左頬を平手打ち)」

 泣きじゃくる次郎、無言の令子と則夫。イネが仲裁にはいる。

イネ「和子、もうよしなさい。次郎も早く食べておいき」
和子「おばあちゃん、余計なこといわないでっていったでしょ。この子はいつもグズで馬鹿だから,母さん、いつもつらい思いしてるんだ。なぜジャンケンだと言わないの(気が高じて次郎の襟首をつかむ)」

 割ってはいるイネ。逃げる次郎。目をつりあげる和子。黙って下を向いている令子と則夫。飛び散った箸とチャワン。

○ 和子の回想(子供時代)

 (映像
 山口市。地主の屋敷。立派な門。掘割。白壁。枝振りのよい松。子供たち。一人美しい着物を着た和子。ぼろをまとった小作の子。中心になって遊ぶ和子。鬼を指定する和子。泣く小作の子。和子に慇懃に挨拶するとうりすがりの小作。

 (映像
 次郎の泣顔。いますんでいる小さな古ぼけた一軒家。貧相な夫。

和子「なんで(独り言)」

○ 学校の校庭(昭和34年、小学校6年、秋、放課後)

 クラスの男子生徒20名が遊んでいる。かくれんぼ。がき大将のアキオが命令している

アキオ「次郎、オメエ昨日の最後の鬼だったから、つづきヤレ」
次郎「ヤダヨ、ぼく、ずーっと鬼じゃないかヤダヨ」
アキオ「オメエ、ずるいぞ。鬼がヤダからそういうんだろ」
子供達「(一斉にはやす)ずるいぞ、次郎、ずるいぞ、次郎」

 次郎の肩をこずく子供達。目に涙をためしばたたせる次郎

子供達「次郎がまた泣いたぞ。パチクリ次郎 パチクリ次郎」

 鬼になる次郎。かたまってかくれている子供達。杉の木で100数えて振り向く次郎。一斉に雄叫びをあげ、次郎にむかってかけだす子供達。逃げながら『○○ちゃん見つけた』と懸命にいう次郎。足の速いアキオが次郎にタッチする

アキオ「次郎、タッチしたぞ。鬼だ」
次郎「ぼく、アキオちゃん見つけたって言ったよ」
アキオ「イワネエヨ」
次郎「いった(強く)」
アキオ「なら、みんなに聞いてみろ」
子供達「(一斉にはやす)イワネエ、イワネエ、イワネエ、イワネエ」

 目から涙が溢れる次郎。
子供達「パチクリ次郎、パチクリ次郎」

○ 学校の校庭(放課後、数日後)

  クラスの男子生徒20名。かくれんぼの続き。がき大将のアキオの命令

語り「今日もまだ僕の鬼が続いていた」
アキオ「次郎、オメエ、今日も鬼だ。続きをヤレ」

 無言の次郎。黙って杉の木に100数えにいく。杉の木を離れない次郎。イライラしながら隠れて待っている子供達。たまりかねてアキオが催促する。

アキオ「次郎、もう100数えたんだろ、早く探しにこい」

 振り向くが杉の木を離れない次郎。一斉に雄叫びをあげながら、次郎に向かって走り出す子供達。次郎にタッチ。されるままになっている次郎。無表情。
   
アキオ「ずるいぞ、次郎。木を離れて探しにこい」

 無表情の次郎。
子供達「ずるいぞ次郎、ずるいぞ次郎」

 無表情の次郎。

○ 授業中(昼)

 次郎の後ろにアキオが座っている。アキオが次郎の背中をこずく。振り向く次郎

アキオ「(小声で)おい、次郎、パン買ってこい」
次郎「やだよ、授業中だよ、先生に怒られるよ」
アキオ「おめえは、オニなんだからいくんだ]
次郎「やだよ」

 後ろから背中をおもいっきりたたくアキオ。
アキオ「行け、次郎」

 仕方なく身をかがめ隠れながら教室をでようとする。わざとアキオが音をたてて,教師の注意を次郎に向ける。立川先生(25才)に見つかる次郎。

立川先生「次郎、何してんだ」
次郎「あの、ぼく」
アキオ「(さっと立って)先生、次郎はずるして授業をさぼろうとしました」
生徒達「(はやす)さぼりや次郎、さぼりや次郎」                
立川先生「次郎、本当にそうか?」
次郎「あの、ぼく」
アキオ「(強く)次郎はよくさぼってます」
生徒達「(はやす)さぼりや次郎、さぼりや次郎」

 目に涙を浮かべる次郎。

立川先生「(冷たく)次郎、そこに立ってなさい
次郎
「(涙ごえ)ぼく・・・
生徒達「
ぱちくり次郎、ぱちくり次郎

 涙を浮かべ肩を落として立つ次郎。

(明日に続く)

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