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(28.6.30) 大英帝国の解体 グレイトブリテンの終わりとローカリズムの台頭

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  「大英帝国衰亡史」は中西輝政氏の名著で、大英帝国史の中でこれ以上の名著はないのではなかろうかと私は思っているが、その内容は「大帝国は大戦争では必ず勝利するが小戦争で敗北し少しづつ衰微していく」と言うものだった。
イギリスの場合は第一次世界大戦と二次世界大戦に勝利したが、その衰亡は南アフリカでのボーア戦争に始まると言うものであり、またアメリカの例で言えばベトナム戦争が、そしてロシアの場合はアフガン紛争がそれにあたる。

 この大英帝国の衰微に待ったをかけて獅子奮迅の努力をしたのがサーチャー首相で、サッチャー氏が行った金融改革ビックバン」でイギリスは確かに20世紀の最後の10年間によみがえり、つい最近まで世界の金融をリードしてきた。
特に為替の取り扱いはニューヨークをはるかに凌駕しており、ドルや円やポンドやユーロの決済はほとんどロンドンのシティで行われているといってもいいくらいだった。

 これはサッチャー氏が目指した世界で最高の金融取引環境をイギリスが提供するという政策がものの見事に実った結果といっていい。
だがこのサッチャー氏が目指した世界に向けてオープンに開かれた金融市場に、ついに黄昏が訪れた。
イギリスがEUから離脱することになりユーロ圏の取引はイギリスで行うには制限が多すぎるからだ。
なんだい、イギリスがEUの一員でEU内では全く自由かつ平等に取引ができていたのに、今後はすべてブリュッセルとの交渉がいるのかい。これじゃイギリスに進出した意味がないじゃないか!!」
日本の主要金融機関も世界の主要金融機関もロンドンに支店を置いておくことの意義を見出せなくなり撤退を検討し始めた。

 イギリスは国民投票で離脱派が勝利し、今やローカリズムの旋風が吹く きすさんでおり、金融というような本来グローバリスムの中でしか生き残れない産業を直撃している。
イギリスのGDPに対する金融取引のウェイトは10%と世界屈指の金融王国でありシティあってのイギリスだが、多くの貧しい労働者にとってはシティなどくそくらえだ。
あいつらだけがEUに入ったことでいい目をしているが、俺たち労働者にとっては首切りと賃金カットがEUに入った報酬だ。シティなどぶっ潰せ!!」

 イギリスが七つの海を支配したのは19世紀で20世紀初頭のボーア戦争で敗北して衰微し始めたが、第一次世界大戦と第二次世界大戦をようやっとのことで勝利に導いたものの、戦後は全く二流国家に落ち込んでいた。

  そのイギリスを再びシティをよみがえらすことで世界の主要国家にまでサッチャー氏が引き上げたが、その遺産をキャメロン氏が食いつくしてしまった。
キャメロン氏はその先見性のなさで国民投票を約束しものの見事にひっくり返えされたのだが、これでイギリスは万事休すになった。
イギリスは完全にローカリズムの渦に巻き込まれ、再びスコットランドが独立の運動をはじめたし、北アイルランドもアイルランド併合に向けて動き出すだろう。

 グレイトブリテンといった栄光に満ちた国家は解体され、イングランド、スコットランド、ウェールズ、そしてアイルランドといった300年前の姿に逆戻りしつつある。
イギリスが世界史で主要なプレーヤーだった時代はこれで完全に失われるといっていい。
中西輝政氏の「大英帝国衰亡史」は「大英帝国解体史」と名称を変えなければいけないかもしれない。

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コメント

エゲレスの各地域のサッカーチームのように独立するんですかね。

投稿: たぬき | 2016年6月30日 (木) 22時04分

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