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(28.1.3) 中国は軍事費の罠から逃れられるだろうか? 陸軍大改革についに着手した!!

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 はたして中国はポール・ケネディ氏が予測した軍備増大の罠に陥り経済的に破たんするのだろうか。
昨今の中国の軍事費増強はすさまじく1989年以降ほぼ毎年2ケタの増強を図ってきて、2015年の国防予算は17兆円規模に達した。
日本の国防予算が5兆円だから、日本の約3倍強だ。しかもこれは国防予算だけで国内には軍隊と同規模の予算を持つ公安部隊(国家警察があり、この予算を加えると日本の約7倍程度の予算を国防と公安に使用している。

 中国のGDPは日本の約倍だから7倍というのはあまりに大きな軍事的負担といっていい。
これだけの軍事予算がとれてきたのは毎年10%程度の成長が普通だったからで、中国は経済成長に見合った軍事費の拡大だと説明してきた。
しかし中国経済が昨年夏をピークに急速に縮小をはじめ、公表のGDP ではまだ7%程度の成長を続けていることになっているものの、実際は成長がストップした社会になっている。日本の90年代と同様の経済の急減速だ
しかし一方で国防予算は10%以上の伸びだからこれは経済実態に比較して非常な負担になってきた。

 ポール・ケネディ氏が著書「大国の興亡」で指摘したことは「大国は軍事的野心が先に立ってしまい自国の経済規模を無視して軍事力増強に走る結果、経済も国民の生活も破綻して大国の地位を下りざる得ない」という指摘だった。
この本が書かれたのは1987年だが、その後ソビエト・ロシアがものの見事に崩壊してケネディ氏の予言が的中したため一世を風靡した著作になった。
ロシアはアメリカとの軍拡競争に追い付けず国内経済は麻痺し、国民生活が窮乏化した結果、ゴルバチョフ氏がソビエトの再生を諦めてしまったからだ。

 このソビエト・ロシアの崩壊と同じ崩壊が習近平中国に訪れるだろうか。
私は習近平氏は軍事力の増強と軍の再編成に自信を持っていて、経済が破たんすることなくやり遂げられると判断している人物と思っていた。単純な軍拡主義者と思っていたわけだ。
しかしここに来て習近平氏が目指していたものが単純な軍拡ではなく、一方で無制限に拡大した人民解放軍の再編成を目指していることが明らかになってきた。

 人民解放軍の人員を230万から30万人減らして200万人体制にすることと、長年懸案だった国共内戦そのままの編成だった中国人民解放軍の大改革を年末に実施したからだ。
従来人民解放軍は陸軍中心で海軍や空軍やロケット部隊は実質的に陸軍の支配下にあったが、新たに統合作戦指揮機能を陸軍から切り離して習近平氏直属の中央軍事委員会に所属するように変えた。

 簡単に言えば陸軍が万能の権力をふるっていたのを、海軍、空軍、ロケット軍と同等の水準に押し下げ、全体の統合作戦本部を陸軍から採りあげたわけだ
これに対して陸軍内部から強い反発が出ているがこれを抑えるために、今までは全く機能していなかった軍事規律委員会の権限を陸軍の上位に位置づけ、「文句があればしょっ引くぞ」とこわもての陸軍支配をはじめた。
実際陸軍は他の経済部署と同様に腐敗しているから汚職の巣になっており、しょっ引く理由は山ほどある。

注)人民解放軍が腐敗した腑抜けの軍隊であることは前に記載した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/ppp-1.html

 習近平氏は中国人民解放軍が実際は利権集団であり、軍事物資の横流しやサイドビジネスばかりにいそしみ、まともな軍事訓練もしないことを苦々しく思っていたようだ。そのくせ予算だけは毎年膨大な金額を要請してくる。
もう我慢ならぬ、お前らのいうことだけ聞いていると中国経済が崩壊してしまう。軍隊をスリム化して効率的に運用する。そのためには陸軍の権限を奪ってやる

 私は今回の軍隊の再編成を見て、習近平氏は思いのほか自国の経済状態と軍隊の現状をよく理解していることに驚いてしまった。
腐敗した陸軍の幹部を一掃して共産党による人民解放軍の掌握をしないと、この国は陸軍によって食いつぶされるという危機認識だ。

 習近平氏の心配は奥の深いところでポール・ケネディ氏の指摘に通じている。習近平氏は政治家だからさすがにこれほどの軍事費の増強では中国が持たないことに気が付いた。
そのための軍制改革だが果たしてそれがうまくいくかどうかはみものだ。何しろ陸軍は中国共産党の基礎を支えてきた由緒ある集団でプライドも高く過去の指導者は誰もこの人民解放軍の改革に手をつけなかった。
習近平氏の改革が成功すればスリムで効果的な軍隊に再編成できる。しかし失敗すれば確実にソビエト・ロシアのワダチを踏むことになる。

 経済失速下での軍事費増強をかかげ習近平氏は軍事費の罠に陥らないようにしながら一方で陸軍の再編成に着手しているがこの成果が分かるのにはもう少し時間がかかりそうだ。

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