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(28.1.14) 強気のプーチン氏を苦しめる経済失速 「原油価格が上向かないとロシア経済は崩壊だ!!」

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 現在最も自信にあふれた政治家はロシアのプーチン大統領で、14年3月のクリミア編入、15年9月のシリア空爆開始とあたるところ敵なしの状況だ。
恒例の年始の大統領スピーチも相変わらず強気だった。
ロシア国民はそうしたプーチン氏の強気で自信に満ちた態度が大好きらしく支持率は85%に達していたから、よほどのへそ曲がりでもない限りプーチン氏を支持していることになる。
プーチンは我々ロシア国民の誇りだ!!」歓喜している。

 だがロシア経済の実態を見てみるとどうしてそんなに強気でいられるのか不思議なくらいな惨状になっている。
ロシア経済はほとんど地下資源で持っているようなところがあり、特に原油と天然ガスのあがりで食っていて、国家収入のほぼ半分は資源関連企業に対する税金で賄われている。

 問題は原油価格がつるべ落としのように低下していることで、16年度の予算作成時期の想定価格を1バーレル50ドルと置いたが、すでに30ドル前後になっており、さらに低下しそうなことだ。
もともとは80ドル近くでないと均衡しないのに、これではいくら予算を組んでもすぐに歳入欠陥になってしまう。
支出の約3割は社会保障費であり、約2割が軍事費だがこの二つは圧縮することができない。
社会保障費を削減するとそれでなくても貧しいロシア国民がさらに貧困に追い込まれるし、軍事費を削減してはISとの戦闘に勝てない。

注)ロシア経済の実態については前にもレポートしてある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/ppp-16.html

 ロシアは赤字の補填を原油価格が高かった時期に積み立てていた40兆円あまりの基金を取り崩して埋め合わせをしていたのだが、その基金が底をつき始め2018年末の段階で3.5兆円規模の基金しか残らないだろうと政府高官が発言している。
だがこの発言もかなり楽観的なもので原油価格がさらに低下し、ISとの戦闘が泥沼に入れば基金はたちまちのうちに底をつく。
2018年末ではなく2016年末にも底をついてもおかしくないのだ。

 プーチン氏のロシアは政治面での華々しさとは対照的に、経済面では散々だ。
GDPは15年度▲3.7%と減少し、物価上昇率は12.9%となり、ロシアのいう貧困者数は200万人増加して2030万人になってしまった。これは人口の14%相当し、月に1万6000円以下の収入で暮らしているという。

注)ただしロシア人はほとんどの家庭でダーチャと称する家庭農園を持っており、最低限の食糧はここで自ら生産している。

 プーチン氏は2016年のGDPは1%程度の成長をすると国民に述べていたが、半年もたたないうちにこの言葉を撤回せざる得なくなるだろう。
どのように見てもロシアにとって経済が好転する要因はない。
欧米の経済制裁は続き、ウクライナとトルコとは制裁合戦をおこない、ISの空爆は継続しなければならず、一方原油価格は傾向的に低下する。
これでロシア経済が上向いたらまさに奇跡としか言いようがない。

 原油価格が低下し始めたのは14年の夏からだが、直接の原因はアメリカが14年10月にそれまで行っていたEQ3(量的緩和策の第三段で毎月10兆円規模の資金を市場にばらまいていた)を止めたことにある。
すでに14年夏の段階で量的緩和が終わることが明確になっていたので投機筋が原油市場から資金を引き上げ始めていた。
この低下傾向は中国経済の悪化が加わったために15年末まで続き原油価格はついに40ドルを割ってしまった。
そしてこの原油価格に最後のとどめを刺したのがアメリカのゼロ利政策の終了で、それなら原油よりドルを持っていた方がいいとさらに資金が引き上げられたためとうとう30ドルを割ってしまった。

 このアメリカの量的緩和策の終了やゼロ金利政策の終了はもっぱらアメリカ経済がバブルに突入しないための予防措置だが、信じられないレベルまで原油価格を押し下げ、産油国のロシアやサウジの経済を直撃している。
アメリカとしては思わぬ効果でこれを継続することでロシアを封じ込めるめどがたった。
プーチンがいくら強気でも原油任せの経済で先が見えた。経済が大混乱に陥ってプーチンはゴルバチョフになる

 大国ロシアの復活を夢見たプーチン氏だがこの原油価格の低迷ではロシア経済が持たない。このままいくと1990年後半のロシアに逆戻りになり、ロシア経済は再びデフォルトの危機に直面しそうだ。


 

 

 
 

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評論 世界経済 ロシア経済」カテゴリの記事

コメント

大変嬉しい解説、読ませて頂きました。
資源大国という恵まれすぎ国家の家産が傾いていくのを痛快に思います。 「他人の不幸(火事)ほど面白い事は無い」とか「他人の不幸は蜜の味」と申しますが
ロシア ブラジル サウジ 豪州 シナ などの苦境が少しでも長く深くいつまでも続きますように。
廻り回って日本に・・・・・、などという話は今は結構です。 当たり前の評論などクソ喰らえ、今は痛快です。 BRICSが世界を牛耳るとか1ドルが50円になるとか、
極端馬鹿な事ばかり言ってた経済評論家は今何と言ってるんでしょうか。

ガソリン安のアメリカでトヨタは最高級レクサスのスポーツタイプクーペを発表、日本人には企業努力、火事場のクソ力が、頭があるんです。 
ロシア人達はせいぜい耐え忍ぶことです。 あの「ボルガの舟歌」が聞こえて来るようです。頑張れよー。

投稿: 絶望人 | 2016年1月14日 (木) 08時52分

ロシアも、シナ、北朝鮮と同様のならずもの国家です。
この間、読売新聞の記事で、シベリア抑留で幾多の民間の日本人も樺太からシベリアの最果ての地へ連れ去られて、非人間的な環境で強制労働させられて多数病気で死亡したことを知り、怒りがこみ上げてきました。74歳の娘が募金活動で集めた90万円で現地(ノリリスク)に慰霊碑を建てたそうです。「お父さん、抑留者の皆さん。鶴に乗って日本に帰ってきて」と祈り、碑に折鶴を結びつけたそうです。
日本はこの国とのつきあい方もよくよく気をつけなければいけません。北方領土交渉でだまされ、サハリンのプラントでだまされ、そしてロシア国民はいまだに大国ロシアを夢見てプーチンの独裁恐怖政治を支持しているのです。民主主義国家ではなく野蛮な非文明国と言わざるを得ない。
そのロシアが、退役原潜などの放射性廃棄物の処分費用に困って日本海に棄てないように、日本も一部援助していたそうです。
シナと言いロシアと言い、こんな2国が常任理事国で拒否権を持っているのでは、国連が機能できないのは当然でしょう。

投稿: 小東洋 | 2016年1月14日 (木) 09時44分

寒中お見舞い申し上げます。
資源大国、なんといい響きでしょうか。
くやしいけれど やはりうらやましい!財宝が土より出てくる国だもの。
うまく家計をやり繰りすれば天国だ。

投稿: アブラコ | 2016年1月14日 (木) 17時22分

日本は寒そうですね。亜熱帯のこちらも寒いですから大変だと思います。でも寒さが精神を鍛えるのだろうとおもいます。問題は、その教え方。誇り、名誉を重視しない今の日本に不信感をもっています。
ロシアという国は支配が過酷なんです。逆に、シナは朝鮮のように服従をみせれば、ある程度の生活ができるレベルの支配の強度です。戦後は、ウイグルやチベットに大きな弾圧を加えていますが、歴史の平均としてみれば、シナのさくほう体制というのは緩い支配です。だから、中央アジアの国々は、ロシアの支配よりもシナ支配を望んだとの意見もあります。ただし、緩かったシナ支配ですが、現代のシナ支配はかなり厳しいです。
とはいえ、ロシア人は今のロシア苦境、生活悪化の原因がプーチンにあるとは思っていません。ロシア人は苦境はすべてアメリカによる対ロ封じ込めのせいだと認識しています。だからプーチンは高い支持率なのです。欧州、ウクライナでのサンクション。ロシアからみればシリアは中東・地中海進出への生命線です。今回、アメリカ離れのサウジはロシアに擦り寄っています。一方、オバマと核合意したイランは北そしてロシアと結ぶ付きました。北もロシアも武器商人国です。チャイナも中東に武器売却します。ロシアは経済的には追い詰められましたが、中東外交では大勝利です。イランとサウジでのロシアの影響力は強まりました。イランと米国はだめです。イラン人はアメリカ人を毛嫌いしているし、すでにイラン革命防衛軍をISIS戦争に投入するという対価をアメリカに支払い済みです。
経済的にはだめだめなロシアですが、政治的には小ピーター大帝のプーチン氏は大成功しています。ロシア人をアンダーエスティメートすることはできません。ユーラシアの大国はシナとロシアです。シナとロシアの関係が世界の運命を握っているといっても過言ではないとおもっています。日本にとって、ラッキーなことにシナと露は歴史的には宿敵同士だということです。

投稿: NINJA300 | 2016年1月15日 (金) 11時00分

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