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(27.11.13) ようやくMRJが初飛行に成功した。頑張れ日本の航空機産業

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  やれやれやっとのことで国産ジェット旅客機MRJの初飛行が行われた。計画が延び延びになって5回も初飛行が延長されていたから、「一体いつになったらMRJは飛ぶことができるのだろうか」と私などは心底心配したものだ。
日本の空から日本製の飛行機が消えて久しい。MRJの前に は約50年前にYS11というターボエンジンの国産機があったが、これは1973年に生産が打ち切られ、生産した機数は182機だった。

 以来日本の航空機産業はボーイング等のアメリカ企業の下請けに徹していたが、ここに来てようやく日本主導で国産機の開発にこぎつけた。
もっとも国産機といっても三菱重工業が開発を担当をしたのは胴体と主翼であり、一方コクピット内の電子部品やエンジン等の心臓部分はアメリカ製で、国産化比率は約3割に過ぎない。
簡単に言えば頭脳や心臓部分はアメリカで手足が日本というところだから、国産機だといっていばれるような状況ではない。
しかしそれでも日本が主体になって設計をしたのだから、とりあえず国産機とはいえる。

 日本の飛行機産業は戦前は軍用機を中心に世界トップレベルにあって特にゼロ式戦闘機は有名だが、戦後はGHQの指示で航空機産業な完全に解体されてしまった。
日本のようにもっとも発展した工業生産国で飛行機産業がないのが異様だが、未だに敗戦の負の遺産をひきづってきているためだ。

 世界の空は大型機はボーイングエアバスが二分し、MRJが参入しようとしている中小型機市場はブラジルのエンブラエルとカナダのボンバルディアがほぼ市場を独占している。
この市場に燃費効率を2割ほどアップした低燃費の航空機を参入させるのがMRJの売りだが、先行の2社もMRJに対抗して高燃費の飛行機の開発を急いでおり、いわばどちらが先に投入できるかの競争になっている。

 MRJは2017年の4月から6月までに初納入を図る計画だが、今のところ初飛行に成功した段階で、これから約2500時間をかけて安全性や効率性にかかる2000項目の確認チェックを行わなければならない。
そのあとでようやく飛行許可のライセンス(型式証明)が得られるのだが、そのテスト期間に致命的なミスなどがあるとさらに納入期間が延長される。
そうなるとライバルとの競争に負けてしまうから全く油断のできない日々が続きそうだ。

 MRJの開発には当初1800億円の費用が投じられる計画だったが、5度の飛行延長があってすでに2000億程度の開発費に膨らんでいる。このため採算ラインがアップして採算点は約700機と言われているが、現状407機の受注にとどまっている。
700機まで受注が伸びないとYS11と同じように赤字経営に陥り、最後は生産打ち切りになるかもしれない。

 世界を見渡してみると後発の航空機産業を育成するためには国家的支援をせざるを得ず、ヨーロッパのエアバスも各国の支援でようやくボーイングに対抗できるようになっている。
特に当初は赤字経営が見込まれているのでその間の資金繰りをいかにつけていくかが問題になるが、民間金融機関としては政府の保証でもなければとても怖くて融資に応じられない案件だ。
だが高速増殖炉のもんじゅに1兆円規模の支援をするよりは、はるかに展望の持てる案件と言っていいので国家をあげて航空機産業の育成に成功してほしいものだと思う。

 

 

 

 

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コメント

三菱重工、日本メーカーの主導指示で作られた飛行機ですから国産でしょう。 今100%自国のみでこれだけの商品を作る例は世界中に軍用機以外ない状況ですから。
MRJ、本当に美しい機体です。 YS-11もそうでしたがスラリとした美しい姿、正に日本人の感覚そのものと思います。
大型機では先に軍用機ですが日本は川崎重工が主体で開発されたP-1型4発ジェット哨戒機、及び双発ジェット輸送機を飛行させており、P-1は間もなく実戦配備に移行すると思われます。 厚木飛行場から太平洋上を往復する国産、(これは100%純国産)の機体は時々横浜からも見ることができます。

三菱 中島 川崎 この重工三社、戦時中軍用機開発に悪戦苦闘された社史や設計者の回顧録を読む時、感慨新たな思いです。70年後の今見事に更に大きく復活された各社に賛辞を呈したく思います。 

が、それにつけても、重厚長大はもう時代遅れと悪罵を投げつけていた、経済評論家と称する口先連中は国外追放すべき破廉恥野郎と、今にして思うに本当に腹の立つ馬鹿共と憎くてたまりません。

投稿: 絶望人 | 2015年11月13日 (金) 10時02分

戦前の戦艦大和は美しかった。戦艦というのは独特の美があります。後に、漫画家が宇宙戦艦大和の題材に使った。
MRJは機能美で、綺麗ですね。大体、乗り物系はエアロダイナミクスから同じような曲面系になりますが、日本製だとおもうと美しく感じる。笑
次は、国産戦闘機です。ステルスのF3を国産で造っています。これはステルスですからエアロダイナミクスのみではありません。日本文化独特の形状になると期待しております。まだまだ公開は先になるでしょうが。

投稿: NINJA300 | 2015年11月13日 (金) 11時21分

大和の話題にのっからせていただきます。戦艦大和が美しいのは、力強い直線と繊細な曲線が絶妙に混ざっているからだと思っています。そしてその曲線は神社仏閣の屋根の反りに通じる、日本独自の繊細さがあるのです。MRJを見ても、胴体の背中は直線ですが、下側は微妙な曲線で結ばれ大きな膨らみと主翼・尾翼らのマッチングが有機的な力強さと繊細さを感じるところだと思います。(鳥の胸の筋肉のような感じがします)
MRJはようやくスタートラインに立ったところです。これから意地悪で膨大な書類審査が待っています。なんとか順調にクリアして早く世界に輸出(といっても組み立てはアメリカらしいけど)できるようになることを祈ります。

投稿: たぬき | 2015年11月13日 (金) 22時40分

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