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(27.10.30) NHK「新 映像の世紀」 映像は素晴らしいがナレーションは左翼史観

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 NHKで「新 映像の世紀」が始まった。前回の「映像の世」は1995年作成だから、あれから20年たって、新たなフィルム等を発掘して今回「新 映像の世紀」が作成されたという。
前回見たときに非常に感銘を受けたので、今回も期待して見ることにした。
第1回目は「第一次世界大戦」を扱っていたので、今からちょうど100年前の出来事になる。

 映像そのものは私にとって目新しいものばかりだったから、「そうかこれが第一次世界大戦時の状況か・・・・・・」などと感心してみたが、ことナレーションに関しては時に非常な違和感を覚えた。
いわゆる歴史の見方にかかるのだが、どう聞いても一昔前の左翼史観丸出しのナレーションがある。
私の歴史センスと全く合わず「NHKにはまだ左翼の残滓が残っていたのか・・・・・」とつくづく思ってしまう。

 特に私が納得できなかったのは、アラビアのロレンスに関するナレーションだ。
本名をトーマス・エドワード・ロレンスというが、イギリスのエジプトに本部を置く対トルコ戦線の情報将校で、当時トルコの属領だったアラブ人社会(現在のシリアやサウジアラビア等)にトルコへの反逆をさせるための謀略工作を行っていた。
現在で言えばCIAMI6等の諜報機関の職員で、簡単にイメージするなら007のジェームスボンドだ。

 当時のアラブ人社会で最大の族長がハーシム家のフセインでその息子はファイサルといったが、ロレンスはこのファイサルに近づき資金と武器の援助を行ってトルコへの反逆の狼煙を上げさせた。
エサは「トルコからの独立を認める」というもので、もちろんこれはイギリス側が勝利した場合の約束である。
当時イギリス・フランス・ロシアの連合国側ドイツ・オーストリア・オスマントルコの同盟国側が激しく戦い、戦線はほぼ膠着状態で勝敗の帰趨は誰にも分からなかったから、イギリスがアラブ人の決起を促してオスマントルコに打撃を与えたかったのはよくわかる。

 この時の状況を私が習った高校の教科書では、いわゆるイギリスの3枚舌外交というものがあって、アラブ人にはアラブ地域の独立を約束し、フランスとはトルコの分割協定を行い、さらにロスチャイルドと言ったユダヤ財閥には資金提供の見返りにイスラエルの建国を約束していた。
ちょうど現在のイスラエルからシリアにかけての地域を指していたが、イギリスは勝利するために手段を選ばす、結果的にはすべての相手には実行不可能な約束をしていた。

 問題はこうしたイギリスの3枚舌外交をどう評価するかだが、私が学んだ教科書ではイギリス帝国主義の最も悪しき部分が出た約束で、当時の教科書は左翼史観的色彩がこかったから、「帝国主義は悪の権化でイギリスはその帝国主義国家の代表で、かくして純真無垢なアラブ人はだまされただけだった」ということになっていた。
私も当時は左翼ボーイだったから、「イギリスは何という非道な国家だ」と憤ったものだ。

 しかし経験を積んでみれば分かるのだが、どのような戦争をする場合でもできるだけ味方を増やさねばならず、そのために「恩賞」のエサの約束の連発でもしない限り味方に付く陣営などいいない。
日本では関ヶ原の戦いの時、石田三成側徳川家康側も恩賞の大盤振る舞いをしている。
中国の戦国時代の合従連衡などは互いに味方を増やすためになんでもありだ。
できない約束をあたかもできるように説得する行為は特にガチンコで決戦をしなければならないときは当然に発生する行為で、何も帝国主義だから起こることではない。

 今回のナレーションではロレンスはアラブにとって「うらぎりの英雄」であり、ロレンスは「真の目的を隠しながら欺瞞に満ちた約束をして、今に至るアラブとイスラエルの悲劇を生んだ」とコメントしていた。
何とまあ、ひどいナレーションだ。戦争時の約束があたかもそのまま誠実に守られるとこのナレーションを書いた人は思っているのだろうか・・・・」とあきれ返った。

 不可能な約束でも戦争に勝利するためには誰でも、どこの国でもするもので、第二次世界大戦時日本はインドのチャンドラ・ボースにインド独立の約束をしていたし、現在ではアメリカがクルド人にISとの戦いに勝利したらクルド人国家設立の約束をしている。
だからといってそれが実現するかどうかはまず戦いに勝たねばならず、また勝ったとしてもその時の状況による。
約束がそのまま実現することの方が少ないのだ。

 だからロレンスについても「うらぎりの英雄」などと罵声を浴びせるのは背後に左翼史観があって、「帝国主義は悪」と決めつけているからいえるセリフなのだ。
私のように「帝国主義」は当時としたら当然の国家行為だと認めるものからすると、ロレンスのした行為は特に道徳的に非難されることではなく、いたって当然の行為といえる。
またアラブが純粋にロレンスの言葉を信じたというのもありえないことで、アラブはアラブで打算で動いたのだから、こうした三枚舌外交を勧善懲悪で評価するのは止めた方がいい。
映像は実に素晴らしいが、このナレーションにはがっかりしてしまった。

 

 

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コメント

御説 その通りと激しく同意致します。

ただスペインポルトガルから始まる西欧列強の植民地政策と彼らがそこで取った行動は悪辣非道、人道無視、悪行の限りであった事は事実です。
勿論彼らが来る前の、植民地にされ被略奪支配が始まる前の、それぞれの土地 時代がユートピアだったなどと言う訳ではありませんが。

この ヨーロッパ人とはずるい狐、小賢しい猿と考えれば今のこの連中の考える事、やってる事がよく分かります。
シナに媚び、シナに参勤交代の、いや毎年参勤のドイツ、フランス。 なんでもあり、ただただひれ伏す英国人。 こんな程度の、ヨーロッパ人とはもう国力も落ちるばかりの小さないいかげんな国々連中なんです。
こんな連中に一目置いて敬意を払うのは世界で馬鹿な日本人だけ、それも女どもは極端にすぎて笑い種。 我々極東の田舎者日本人もシナ人を見習って、もっと尊大に言いたいことを言い、やりたいことをすればいいんですよ。

あの番組また始まりましたか。 若い頃必ず見ました。白黒フィルム実写記録で、あのBGM、重々しいナレーション。 胸に残る記録映画でしたね。
塹壕戦、艦砲射撃、空中戦、急降下爆撃、機銃掃射、銃殺場面、B29編隊のじゅうたん爆撃、戦死者の山、そして日本軍の惨敗ビルマ インパール、ガタルカナル、ニューギニア、ブーゲンビル、レイテ、ルソン、硫黄島、沖縄、広島、長崎。 重い記憶が残りました。 また始まりましたか。

投稿: 絶望人 | 2015年10月30日 (金) 10時07分

お邪魔します。
 今大量の難民がヨーロッパに押し寄せており、「難民を積極的に受け入れない日本は非人道的だ」といった声も挙がっていますが、それに対し「元をたどればヨーロッパ自身が蒔いた種」といった事を理解するのには有用ではないかと思われます。善悪とは関係なく「事を成した結果を受け入れる」のは当然の事と思われますし、下手に善悪を持ちだすと例えば「日本は難民を積極的に受け入れなければならない」とかになって、日本人と難民の両方にとって良くない結果になるのではないかとも思われます。後ドイツがレーニンを送り込んで革命を起こさせ、ロシアを戦線から離脱させる事に成功しましたが(ロシア帝国が既に民衆の信を失っていたのが最大でしょうが)、その後共産主義の脅威に直面する事になった事について、今のロシアや東欧やドイツはどう思っているのかと思います。

余談ですが、前回の放送ではテーマ曲終了時に「バーン」という重い鉄の扉を閉めるような音が入っていましたが、今回は入っていなかったので「あれっ」て思いました。

投稿: ブロガー(志望) | 2015年11月 3日 (火) 10時35分

再びお邪魔します。
 後から思い出したのですが、ドイツの賠償金問題をあたかも「アメリカの財閥のせい」のように言っていたのには違和感を覚えました。「賠償金または領土割譲」が当時の戦争の「落とし前の付け方」で、それをそれ以前とは格段にスケールの異なる世界大戦の処理に「そのまま」適用した事に問題があったのではと思います。今「少数の政治亡命等を想定した難民の仕組みを、国全体が戦場になって国民が怒涛のように逃れる状況に適用されている」ように。

投稿: ブロガー(志望) | 2015年11月 3日 (火) 14時34分

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