(27.10.27) ようやく冷静になった日本人 原発の再稼働を認め始めた
東日本大震災に伴う福島第一原発の事故から4年半が経ち、ようやく人々の間で正常な判断力が戻ってきたようだ。
一時は原発と聞くとそれだけで拒絶反応が出て聞く耳を持たないような雰囲気があり、原発を全廃して再生可能エネルギーだけで電力を確保するとまで言っていたが、冷静に考えてみればそれはほとんど無理な相談だった。
事故当時全体で2%のウェイトしかない再生可能エネルギーをいきなり100%するなどということは物理的に無理だったからだ。
致し方なく火力発電で不足した電力の需要を賄うことになったが、これは原料がLNGや石炭でとてもクリーンなエネルギーというわけにいかず、地球温暖化を加速してしまっている。
しかし約30%のウェイトがあった原子力発電を全部止めため、風力や太陽光や地熱では必要な電力を確保できない以上火力発電は致し方ない選択だった。
だがこのため高価なLNGや石炭を輸入し続けなければならなくなり、本来なら日本経済はとっくに貿易収支が黒字になり再び貿易立国日本になるはずがさっぱりで、相変わらず貿易収支は赤字が続いている。
今や日本経済のアキレス腱はこの燃料代の輸入であることが明確になっている。
いくら自動車産業が外貨を稼いでも燃料代として消えてしまうというのが実態で、さすがにLNGや石炭を多消費する世界は異質だと考えるようになってきた。
ここにきて九州電力川内原発1・2号機と四国電力伊方原発3号機が再稼働することになった。
福島原発の事故を契機に政府は世界で一番厳しいとされる安全基準を作成し、その基準をクリアーした原発を再稼働させることにしたが、その条件の一つに地元の自治体の合意が必要とされている。
だが地元自治体といっても原発が存在している自治体とその周辺の自治体では態度が180度相違していることが多い。
地元自治体には固定資産税等の税金が入るのと、地元の職場が確保されるためおおむね原発の稼働に賛成するのに対し、そうしたメリットのない自治体は再稼働に反対するのが常だった。
ただ地元自治体の定義があいまいになっているため、今回の伊方原発の場合は伊方町と愛媛県が同意して、地元自治体の合意が形成されたことになっている。
原発のある地元自治体はまず賛成するからこれ以外に地元自治体の合意形成の方法はないのも実態だ。
こうして原発ゼロだった状況から少しずつ原発が再稼働されるようになってきたが、福島原発の事故前のウェイトは約30%だったから、2か所の原発が再稼働してもとても元のウェイトに戻ることはないだろう。
菅官房長官も「原発を最小限度のエネルギーにしようとする政府の基本方針は変わりがない」とコメントしていたが、再生可能エネルギーが十分に供給されるまでは、現状の原発を再稼働させていくより方法はなさそうだ。
現在再生可能エネルギーのウェイトは5%以下だが、このウェイトがなかなか上がらないのは再生可能エネルギーの供給体制に問題があり、このことはNHKのクローズアップ現代で取り上げていた。
一番の問題は送電網の整備費に金がかかることで、たとえば山の中や海岸で太陽光発電を実施しても送電網がなければ都会に供給する手段がない。
注)再生可能エネルギーの問題点は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-f57a.html
世の中すべてがだめだとかすべてがよいなどということがなく、相対的なものだからどこかで妥協点を探らざる得ない。
「原発NO、再生可能エネルギーだけ」と叫んでも、電気がなくなったら生活ができないのだから、時間をかけて原発を縮小していくのが最も妥当な選択になる。
だから安全基準をクリアーした原発については再稼働を認めていくのが最も妥当な選択で、ようやく日本人の心にそうした常識が戻ったことは喜ばしいことだ。
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なお私がなぜ高校一年生の指導をするかの経緯は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/ppppp-5.html
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コメント
御説の通りだと思います。
太陽光発電は最近技術革新目覚ましく、更なる発電効率UP、低コスト化、小型かつ超薄型が可能となり日本企業勝利の目算が立ちつつありますが主力発電の地位はなかなか・・・・。
風力発電の風車、水力発電の水車、火力発電の超超高圧ボイラー及び蒸気タービン、進歩を重ね高効率化しておりますが立地条件燃料の輸入コストなどそれぞれが限界があり、原発も最小限やむなしでしょうね。
ただ原発はどうにもならない装置の弱点があります。 全てが 「水」 に囲まれていることです。
あの発電所の、あの装置のポンプ、あの複雑長大な工場配管周りを見ると気が滅入ります。 水、ポンプで仕事をして来た者にはあの装置、発電所は狂気の沙汰、トラブル山積の場としか思えません。 通常のビル建物, 工場、上下水処理場等でさえその維持管理は大変な努力根気が必要なんですよ。
この発電所の水は、「あの水」の管理は危険と隣り合わせ、気の小さい人が、私などが管理者なら眠れなくなり心配で発狂しそうです。
投稿: 絶望人 | 2015年10月27日 (火) 09時26分