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(27.9.21) 週刊エコノミストの指摘 中国の地方政府に財政出動の余裕なし!!

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 先に紹介した週刊エコノミスト9月22日号にはとても興味深い論文が掲載されていた。
国際通貨研究所の梅原直樹氏の論文で「(中国の)地方債務、財政にかつての余裕なし、借換債発行も抜本策ではない」という論文である。
以下は梅原氏の論文の主要な趣旨に私の解説を付け加えたものだ。

注)なお先に紹介した週刊エコノミストの「中国経済崩壊前夜」という記事は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/pppp-7.html

 現在中国の中央政府は景気立て直しのために地方政府に財政出動を求めようとしているが、地方政府にはもはや調達する資金や投資対象物件がなく、また無理に実施すると汚職が蔓延して習近平政権の汚職撲滅運動のターゲットにされてしまうという。
「金なし、投資先なし、無理にすれば監獄だ!!!」地方政府幹部はすっかり仕事をする気がなくなっているという。

 地方政府といっても日本の地方とはイメージがかなり違い広東省、山東省、河南省などの人口は約1億人だから日本国の財政出動とさして変わらない。
そうした規模の地方政府が全く財政出動が取れずに呻吟しているという。
原因はリーマンショック後に行った4兆元当時のレートで約60兆円)の財政投融資が重く地方政府にのしかかっているからだという。
実は4兆元のうち中央政府が行ったのは3割であとの7割は地方政府の財政負担だった。

 リーマンショック後の対応で地方政府を動員しようとしたが、当時地方政府には財源がほとんどなかっためもっぱら国有銀行からの融資で資金調達を図ることになった。そのために中央政府は通貨「元」の印刷を中央銀行に命じてアベノミクスと同様の通貨膨張策をとった(アベノミクスの前に中国は景気刺激策として通貨の大量印刷を実施していた)。
しかしここからが中国独自の制度に起因するのだが、地方政府は直接銀行融資を受けられないやたらと制約がある)。
そこで簡単に金融機関からの融資を得られるように日本の第3セクターに似た融資平台という外郭団体を作った。

注)中国政府は地方が独自の財源を持って自主的な動きをすることを警戒し、税金のうち地方税は5割以下にし、さらに地方債の発行(借金)を認めていなかった。

 融資平台とは何とも不思議な名前だが、国有銀行等から融資を受け、さらにもともと国有の農地を農民から強引に収容してそこにマンション群を建設するデベロッパーである。
この融資平台を設立することで地方政府は42兆円規模の財政投融資を実施することができ、中国中にマンションや工場団地を建設しまくった。
これがリーマンショック後中国がいち早く景気回復に成功したトリックである。

 しかし好事魔多しだ。国中にマンション群が林立し、工場団地だらけになり、販売ができないほど供給過剰になってしまった。日本のバブル崩壊後のあの寒々とした景色と全く同様で、当然資金回収はできないから融資平台の借入金が加速度的に膨れ上がってしまった。
中国政府の調査14年末24兆元通貨換算で456兆円)で中国のGDP対比38%にあたるという。
ほとんど日本のGDPに匹敵するくらいの借金のふくらみだが、実は問題は深刻でこうした借入金にはシャドーバンキングのような正規以外の融資金は除外されている
国有銀行のような明確な借入金だけだから、闇金融を含めると一体いくら借り入れがあるかわからないのだ。

 不動産が順調に売れていればどのように資金調達しても問題ないが、実際は不良在庫の山であり在庫見合いの固定資金がどうしても必要になる。返済できなければ日本でいう第3セクターの倒産になるので、今まで地方政府はメンツにかけて融資平台を支えてきた。しかしその資金調達はますます困難になっている。
中央政府も見かねて地方政府に今まで禁止していた地方債の発行を容認し借り替え資金をこの債券発行で対応する措置を認めた。
だが今までの発行枠は3兆元であり、とても24兆元には届かないし、さらに隠れ借金まで含めると地方債は天文学的数字になりそうだ。

 そうした状況下で現在中央政府は地方政府に再び景気回復のための財政出動を求めているので地方政府はテンヤワンヤの大騒ぎになっている。
あんた、それはいけませんわ、マンションがさっぱり売れましぇん。この上さらに借金をこしらえてどうしますねん

 中国の発展のトリックは、農民の土地を強制的に収容してそこに高層マンションや工場団地を作り高値で売り抜けることだ。
これにより地方政府の収入が増え、共産党幹部はワイロでこの世の春を謳歌していたのだが、その歯車が完全に逆回転している。
ワイロなんてもろうたら、すぐに手が後ろに回ってしまいますねん。中央政府のお偉方が何といってもその手は桑名の焼はままぐりですわ

 もはや地方政府に打ち出の小槌がなくなって景気回復策を打てなくなった。
1990年代の日本と同じ状況が中国全土に広がっていると思えばいい。
日本が20年間も停滞した最大の原因はこの不良債権処理を遅々として進めなかったからだが、今中国もこの日本のワダチを踏んでいる。
だから中国の経済停滞はいつまでも続くのだ。

注) なお直接この梅原氏の論文を読まれることを勧める。

 

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