(27.8.10) 夏休みシリーズ NO5 マイクロソフトのたそがれ
夏休みに入ります。この間は過去のブログ記事の再掲になります。
7年前のこの段階でマイクロソフトの黄昏を予想しているとは山崎氏の推定能力は大したものだと思う。
現在ではアップルに大きく水を開けられ携帯電話部門は散々だが、検索エンジンでも同様なことが起こっていた。
(20.6.16) マイクロソフトのたそがれ
実際最近までネットの世界では検索エンジンを誰が世界標準にするかで熾烈な戦いが行なわれてきた。
その結果、北米大陸では、グーグルがこの分野で6割、ヤフーが2割のシェアを占めたので、マイクロソフトがどおあがいても勝ち目がない状態になってしまった。
さらに今回の提携は「ヤフーがグーグルの検索エンジンを使用して、ヤフーのサイトにネット広告を貼り付ける提携」で、これはヤフーがグーグルの軍門に下ったことを意味する。
グーグルの一人勝ちだ。
これでマイクロソフトのヤフー買収作戦は大失敗に終わったことになる。
マイクロソフトとしては憤懣やるかたないところであろう。ヤフーを買収し検索エンジンを手に入れてなんとかグーグルと戦おうとしたのに、ヤフーはグーグルになびいてしまった。
「5兆円出すと言うのに何が不満なのだ」
あとは、米上院の反トラスト委員会が独占禁止法に違反するとの裁定をしてくれるか、株主総会で「マイクロソフトとの提携が株主の最大の利益だ」と主張して委任状争奪戦をしているカール・マイカーン氏が勝利するのを願う以外にマイクロソフトとしては残された道はない。
しかし常識的に考えれば、資本関係も結ばず、単にグーグルから広告を貼り付けてもらうだけだから、独占禁止法違反は難しそうだ。
またカール・マイカーン氏の委任状争奪戦は両者とも本気だから、これもヤフーが勝ちそうな気がする。
なぜマイクロソフトがこれほどまでに検索エンジンの争奪戦にこだわったかと言うと、スポンサ-収入が従来のテレビ広告や、新聞、雑誌と言う旧メディアから急速にネット世界に移っているからである。
グーグルの広告はいわゆるピンポイントの広告で、狭く深い。
たとえば私のブログにはSponsored Linkという広告が貼り付けられているが、この広告は私のブログを検索して、最もふさわしいと思われる広告主を貼り付けている。
こおしてグーグルは広告主から高額の広告料を手に入れることができた。なにしろグーグルの収益の95%相当が広告収入からなり、しかも利益率は30%程度と高く、これはマイクロソフトを凌駕している。
一方マイクロソフトは主としてウィンドウズを初めとするソフトの売上で高収益を得てきたが、近い将来ソフトは急速に価格が低下し、場合によっては無料になる可能性がある。
たとえばOSのリナックスは無料で、しかも相当程度ユーザに認知されているのでウィンドウズもうかうかしてはいられない。
また、ネットの急速な普及で個人のパソコンにソフトを搭載しないでもすむようになっている。
このココログのブログはすべてココログのサーバーの中にあるソフトを使用して記載している。
だからマイクロソフトとしては次の時代の収益源を探しているのだが、それが検索エンジンで貼り付けられたネット広告収入というわけだ。
思えばマイクロソフトはライバルと見られる企業を次々と蹴落として現在の地位を築いてきた。
当初はIBMと提携し、IBMのOSの開発をしていたが突如IBMとの提携を破棄してウィンドウズを独自ルートで販売を始めた。おかげでIBMはパソコンのOS競争で破れ、その後の凋落の始まりとなった。
表計算ソフトではLotus 1-2-3という世界標準だったソフトを蹴落とすため、OSの世界標準になったウィンドウズへの搭載を陰に日に妨害して開発を遅らさせた。
その間隙を縫ってExcelが世界標準になることができた。
今ではLotus 1-2-3というようなソフトがあることを知っている人は少ない。
インターネットの世界になりWebブラウザが重要だと気づくと、先行していたネットスケープ・ナビゲータを蹴落とすため、インターネット・エックスプローラを無料でウィンドウズとセットで販売した。
何回も独占禁止法違反で訴追されたが、知らぬ顔のはんべいだ。
ネットスケープ・ナビゲータはもはやバージョンアップもできない。
1990年代からつい最近まで、マイクロソフトはライジングサンだったわけだが、ついに検索エンジンでたそがれを迎えた。
私のように、マイクロソフトの勝利だけを見させられてきた人間にはひとしお感慨が深い。
「奢れるもの久しからず。ただ春の世の夢の如し」と言うことなのだろうか。あるいは不死鳥のように再び舞い上がることができるのだろうか。
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