(27.8.18) 夏休みシリーズNO13 アメリカ経済のメルトダウン
夏休みに入ります。この間は過去のブログ記事の再掲になります。
リーマンショックはアメリカと世界経済に大きな爪痕を残したが、そうなった最大の原因は当時の財務長官ポールソン氏の無能さが大きい。
ポールソン氏はことの重要性にほとんど気づかず、何の対応もしなかった。
最もサブプライムローンについて当時正確な情報を持っていたものは皆無だったからポールソン氏を責めるのも酷といえるかもしれない。
(20.9.18) アメリカ経済のメルトダウン
1991年にソビエト連邦が崩壊しアメリカの一人勝ちになり、フランシス・フクヤマが「歴史の終わり」を宣言してから約20年で「アメリカの世紀の終わり」が来てしまった。
「そうか、歴史の終わりとはアメリカの世紀の終わりのことだったのか」笑ってしまった。
サブプライムローンを発端とするアメリカの金融危機は、金融工学という魔法の杖で巨大な利益を生み出してきたアメリカ経済のギアを逆回転させている。
リーマン・ブラザーズという巨大投資銀行(証券会社)が15日倒産したが、アメリカ政府は手をこまねいて何もすることが出来なかった。
アメリカ経済は金融機関で成り立っていると言っていいほどその存在感が高い。たとえばフォーブスの世界の大企業(2006年版)を見ると、世界の大企業10傑のうち5社がアメリカ企業で、上から順に、① シティーグループ、② GE, ③ バンク・オブ・アメリカ、④ AIG, ⑥ エクソンモービルである。
5社のうち金融機関が3社であり、倒産が噂されていた保険大手のAIGは世界第4位の企業なのだ。
ポールソン財務長官は「リーマン・ブラザーズの救済に公的資金の投入を考えたことは一度もなかった」と公言したが、手をこまねいている間にリーマン・ブラザーズが倒産してしまったと言うのが実態だ。
財務長官はリーマン・ブラザーズをバンク・オブ・アメリカに押し付けることが出来ず、その無能さを露呈した。
リーマン・ブラザーズの負債総額64兆円は過去最高の負債額であり、日本に対する影響は4兆円と言われているが、本当の負債総額が世界を席巻するのはこれからだ。
通常は表面に現れた負債総額より、数倍負債総額が膨らむのが普通だから、日本も「4兆円で影響は限定的」だなどとは言っていられなくなるだろう。
なぜ負債総額が増加するかの理由は簡単で、簿外の負債がこれからどんどん増えるからだ。
日本の長期信用銀行がリップルウッドに売却された金額が、ただ同然の10億円だったことを思い出せば分かる。
アメリカ政府がリーマン・ブラザーズを救えなかったことを見て、市場は次は世界最大の保険会社AIGが倒産すると判断した。
ここでも当初、アメリカ政府は効果的な手を打てなくて、大手金融機関にAIGの支援枠700億ドルを要請していただけだった。
「国の資金を出すわけには行かないから、民間で共同して助けろ」と言っていたわけだが、民間企業としてはアメリカ政府の保証でもない限りおいそれと応ずるわけには行かない。
結局アメリカ政府が折れて9兆円規模の公的資金の投入に踏み切ることになった。
「また無能なポールソンに任せておくとAIGまで倒産してしまうから、さっさと公的資金を導入して救済しろ」ブッシュ大統領が判断したのだろう。
アメリカをジャンボ機にたとえれば、片側のエンジンが金融資本、もう片側のエンジンが石油資本、GE、ソフトウェア会社等その他資本が支えている構図になっている。
その金融機関のエンジンに火がついて燃えている時に、ポールソン副操縦士が、飛行場に引き返すことなくこのまま飛び続けると言っていたようなものだ。
アメリカ政府は公的資金の導入を渋っていたが、結局日本と同様政府が支えるよりほかに手がなくなった。
大手の金融機関が倒産するときの最後の救い手は政府以外にないのが実態なのだ。
アメリカの金融機関はこれから日本が経験した失われた10年を追体験する。
AIGを7兆円で救済しても、民間に売却する時はタダ同然になり、さらに追い銭を求められるのは長銀の例を見れば分かる。
歴史はやはり繰り返す。
日本が失われた10年を経験して普通の国になったように、アメリカもこの金融恐慌を経験して気がついてみれば普通の国になっているのだろう。
アメリカの世紀は2008年の金融恐慌を経て、今終わろうとしている。
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