(27.8.14) 夏休みシリーズ NO9 野口みずき選手の欠場はコーチの責任だ
夏休みに入ります。この間は過去のブログ記事の再掲になります。
私が最も好きなマラソン選手に野口みずき選手がいる。アテネオリンピックで金メダルを獲得し、続く北京オリンピックでも金メダルの有力候補だったが、足の故障で出場を断念した。
私はコーチのコントロールの甘さに愕然とし、この一文を記載した。
(20.8.16) 野口みずき選手の欠場はコーチの責任だ
左大腿部の裏側にあるハムストリングと言われる筋肉の肉離れによるものだそうだ。
「何てことだ。金メダル確実と言われた野口が欠場か」歯軋りしてしまった。
野口選手は私が最も好きな選手の一人だ。150cm、40kgの小柄の身体でストライドを身長と同じ150cmにして走る姿は、アフリカの草原を疾走するカモシカのようだった。
しかしこのストライド走法は今回肉離れを起こしたハムストリングを酷使する。
「走った距離は裏切らない」と信じて毎日40kmの距離を走っていたと言う。月間では1200kmで、男子のマラソン選手でもここまでは追い込まない。
いわゆる金属疲労と同じで、ハムストリングを酷使しすぎて肉離れが起こってしまった。
野口選手の談話があるが、なんとも物悲しい。
「・・・大腿後部に痛みを感じ、その後練習を中断することになりました。・・・1週間経ても痛みが和らがず、8月4日に帰国して今日まで検査と治療を続けてまいりました。
・・・(しかし)未だ走り出すと時間的経過と共に痛みを感知し、次の段階のトレーニングに入ることが出来ません。
・・・今も走りたい、走ろうという思いは消えることはありません。
しかし現状を認識すれば、出場を断念せざるをえません。・・・」
こうした事態について、野口選手を指導してきた広瀬永和コーチがコメントを述べている。
「オーバーワークはないし、練習はそんなにきつくない。原因が何なのかははっきり分からない」
この言葉を聞いて、これがコーチの言う言葉だろうかと耳を疑った。そして私は野口選手に心から同情した。
コーチが悪すぎる。
コーチにとって重要な仕事が二つある。一つは言うまでもなく選手の走る能力を最大限に引き出せるように導くことだが、もう一つの大事な仕事は「目標とする大会で最大のパフォーマンスが発揮するように、コンディション作りをする」ことだ。
そのためにはレース直前では練習をすることではなく、練習をしないことが重要になる。
選手はそれまでの練習の結果信じられないような走力が身についておりさらに練習を強化したがるが、絶対にコーチはそれを許してはいけない。
大会前にピークが来てしまい、大会当日は疲労で失速してしまうからだ。
過去の事例では瀬古利彦がこの失敗をしている。瀬古はロスアンゼルス、ソウルといずれも優勝候補だったが、直前までの過剰な練習の結果本番ではいづれも惨敗している。
瀬古はそれでもオリンピックに出場できたが、野口の場合は肉離れで出場すら出来なくなってしまった。
おそらく広瀬コーチは野口の希望のままに練習メニューを組んでいたに違いない。
野口の身体の異変に全く気がつかないとは、コーチとしての能力を疑う。
すでに野口は2006年のベルリンマラソンを左足首の故障で断念した経緯があるではないか。30歳を向かえ、カモシカのような走りには相応の負担があることは誰が見ても明らかだ。
私が広瀬コーチが無能だと思うのは、一方で北島康介選手の事例があるからだ。
北島選手もアテネオリンピックの後失速し、05年の世界選手権の代表にさえもれている。
この不調の時期を支え、北京オリンピックに標準をあわせて最高の能力を発揮できるように導いたのは、北島を14歳の時から教えてきた平井伯昌コーチの手腕である。
コーチとは平井伯昌氏のような人を言う。
「肉離れの原因が何か分からない」のではない。広瀬コーチの無能さが原因なのは明らかだ。悲しくて涙が出てしまいそうだ。
「今日の先生の評論は広瀬コーチに少し厳しすぎやしませんか。ほかのメディアのどれを見ても広瀬コーチの責任だなんて書いていませんよ」
「それだから問題なのだ。このままでは野口選手がかってに練習をしてかってに怪我をしたことになる。
しかし、怪我をしないように指導するのがコーチの役割なのだ。
広瀬コーチはそのことを認識していない」
「確かに『原因が何か分からない』はコーチの言う言葉ではないですね。サッカーだったらすぐさま監督解任でしょう」
「責任逃れで『原因が何か分からない』と言ったのなら、とんでもない人間だし、本当に分からないのであればコーチとして無能と言うことだ。いづれにしても今回のことについてはコーチの責任は逃れることは出来ない」
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