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(27.7.31) 中国版国家独占資本主義 「株式の価格操作は国家が行う!!」

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 おもわず笑いこけてしまった。中国が行っている株価維持政策がかつて私が学んだ「国家独占資本主義」そのものだったからだ。
国家独占資本主義とはマルクス経済学の用語で、資本主義の最後の形態で市場に任せていては恐慌を防ぐことができないため国家が財政と金融でテコ入れをせざる得ず、それでも恐慌を防ぐことは不可能だという理論である。
直接的にはケインズの財政・金融政策批判だったが、今この国家の介入を最も劇的に行っているのが社会主義市場経済の中国政府だ。

 上海総合指数が急激に下がって約5000ポイントから3373ポイントまで下がった後の中国政府の株式市場への介入はすさまじかった。
証券会社21社を集めて約2.4兆円の資金を貸すのでそれで株式の買い支えをすることと、指標が4500ポイントまで戻るまでは売却は一切あいならんというものだった。

 それだけでは不十分だから上場している会社に対し当面の売買停止措置を申請させ、新株公開などは認めず、さらに何ともわけの分からない政府系金融機関中国証券金融を通じて約40兆円から80兆円規模の株式の買い支えを実施した(正確な金額は分からない)。
この中国証券金融の買い支えとは中国政府そのものの買い支えだから、上海市場は中国政府が一人で買っているようなものだ。
上海証券市場とは国家が最大の株主になるための装置である」というのが実態で、これなどは典型的な国家独占資本主義といえるだろう。

注)最近までの中国政府の株価維持対策については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/ppp-8.html

 マルクス経済学の教科書ではこれは資本主義の最後の形態で「だが何をしても崩壊するものは崩壊する」と最後は託宣を述べるのだが、果たして中国政府の実施している国家独占資本主義の運命はどうなるのだろうか。

 中国政府が昨年の夏ごろから大々的なキャンペーンを始めて株式の高騰をあおったのはそれ以外に大衆のタンス預金を引き出す方法がないと判断したからだ。
経済は失速して企業は青息吐息だ。株価を上げて売り逃げさせないと倒産企業だらけになる。そのためには株価を意図的に上昇させよう。日本でもこの方法が成功したじゃないか・・・・
官制メディアを通じて「株価はまだまだ上がる」とあおったため、一時は2.5倍に急騰しそこから約30%値下りした。
慌てた政府のPKOで4000ポイントまで戻ったが、再び3700ポイント台まで値下りしている。
官制のPKOと売り逃げをしたい個人投資家との綱引きが始まっている。

 中国経済がまだまだ成長すると信じている向きには気の毒だが、中国経済は昨年の夏場からほとんど成長が止まってしまった。公表するGDPは約7%の成長をしていることになっているが、世界から物笑いの種になっている。
統計の責任者が「これは正しい数字だ」と念押しまでしたのでさらに笑いを誘った。

 中国との取引が深い会社の業績が悪化しており、ファナックやコマツや日産の中国での業績が悪化している。
今後最も影響を受けそうなのは中国に首までどっぷりつかった伊藤忠商事でせっかくのTICITとの提携も中国市場が逆回転を始めた以上最悪の判断になる可能性が高い。
私はこのブログで何度も「中国への進出はキチガイ沙汰」だと述べてきたが、今後1年間の間にそれが実証される可能性が高くなった。
中国経済が躍進していた時代が終わり、日本と同様な停滞の20年が始まったのだ。

注)伊藤忠商事の中国進出の詳細は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-62c9.html

(とても参考になるコメントを頂きましたので転載します)

 ちょうど1年ほど前、商社マンと工作機械メーカーの人に中国景気について訊いたところ、2人とも口をそろえて、「悪い悪い、というがそれほどのことでもない、現に機械はそこそこに売れている」と答えてくれました。

 其れから半年後、同じ質問をしたところ、工作機械メーカーの方の答えが変わりました。
「中国が産業用ロボットや工作機械を買うのは、必要に迫られてのことだ。人件費の上昇と為替で中国は生産基地としての価値が無くなくなり、多くの会社がベトナムに逃げ出している。中国は生き残りをかけてロボットを買っている。」というのです。
今から20年前、日本企業が中国に進出し始めたころは、少しでも多くの雇用を生むため、流れ作業工程のコンベアーに敢えて手押し車を使っていたことを話すと、
「そんなことを言っていたら競争にならない、タイムマシンに乗ってきたみたいなことも言わないでくれ」と笑われてしまいました。

 そして数日前、話題をそっち方面にふると、こんなことを言っていました。
「今、中国の会社からの依頼で一番多いのは、偽ブランドの工作機械や産業用ロボットの修理依頼だ。精度が悪くて生産性が八分の一の偽ブランド機械のスペックアップと修理なんてできるはずがない」と怒っていました。
結果的に日本メーカーの産業機械が、それなりに売れる状況は継続しているそうです。

 山崎経済研究所のマクロ分析と、もっとも現場に近い人達の実感が完全に一致しましたね。


 

 

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コメント

ちょうど1年ほど前、商社マンと工作機械メーカーの人に中国景気について訊いたところ、2人とも口をそろえて、「悪い悪い、というがそれほどのことでもない、現に機械はそこそこに売れている」と答えてくれました。

其れから半年後、同じ質問をしたところ、工作機械メーカーの方の答えが変わりました。
「中国が産業用ロボットや工作機械を買うのは、必要に迫られてのことだ。人件費の上昇と為替で中国は生産基地としての価値が無くなくなり、多くの会社がベトナムに逃げ出している。中国は生き残りをかけてロボットを買っている。」というのです。
今から20年前、日本企業が中国に進出し始めたころは、少しでも多くの雇用を生むため、流れ作業工程のコンベアーに敢えて手押し車を使っていたことを話すと、
「そんなことを言っていたら競争にならない、タイムマシンに乗ってきたみたいなことも言わないでくれ」と笑われてしまいました。

そして数日前、話題をそっち方面にふると、こんなことを言っていました。
「今、中国の会社からの依頼で一番多いのは、偽ブランドの工作機械や産業用ロボットの修理依頼だ。精度が悪くて生産性が八分の一の偽ブランド機械のスペックアップと修理なんてできるはずがない」と怒っていました。
結果的に日本メーカーの産業機械が、それなりに売れる状況は継続しているそうです。

山崎経済研究所のマクロ分析と、もっとも現場に近い人達の実感が完全に一致しましたね。
いつもながら、お見事です。

投稿: 三太郎 | 2015年7月31日 (金) 15時53分

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