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(27.7.11) 日本 人間型ロボットのコンテストで完敗 自律性の欠如が明確になった!

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 正直言ってかなりのショックを受けている。なでしこジャパンが決勝でアメリカに完敗したのと同じようなショックだ。
この6月5日にアメリカでダーパが主催した人間型ロボットの選手権で信じられないことに日本のロボットが完敗した。
実は私は楽勝すると思っていたのでこの完敗は悪夢のような思いだった。
23チーム中、産業技術研究所のロボットが10位、東大のロボットが11位だった。

 ダーパとはアメリカの国防総省の研究機関で国防高等研究局のことだが、それよりもインターネットとGPSを民間に開放した組織といった方がよくわかる。
軍事目的の技術を民間に開放することでIT分野で世界標準を作ることを主な目的にしている。

 今回ダーパがアメリカで世界選手権を開催したのは、福島第一原発の事故処理において作業用ロボットが思ったほど活躍できなかったことが原因にある。
今の水準のロボットでは災害現場で役にたたない。なんとかして本当の意味で役に立つロボットの開発が必要だ」そう考えて世界の英知を集めたコンテストを開催したという。
その時の内容をNHKのクローズアップ現代で特集していた。

 コンテストの課題は実際の原発事故現場を想定し、そこにロボットが自動車で駆け付け、ドアーを開けて中に入り、必要なバルブ等の開け閉めを行い、最後にがれきの中を歩いて生還するという内容だった。
具体的な課題が10個所用意され、それを1時間以内にすべてクリアすると10点が与えられ、10点どうしだと早く作業が完了したロボットが勝ちになる。

 ロボットの操作は約500m離れたコントロールセンターから行うのだが、実はこのコンテストでは、建物の中に入ると外からの無線通信が一定間隔で切断される設定になっていた。
事故現場では完全な通信環境が確保できないという想定で、特に原発事故では強い放射線でしばしば通信が途絶えた経験からきている。
そうした時ロボットが自主的に判断して操作をしなければならず、これをロボットの自律性というのだが、日本のロボットはこの自律性が弱くほとんどの指令を外部にいる人間が行うという構造になっている。

 一方アメリカのロボットは特にソフトウェアの開発に特化した自律性抜群のロボットが出場していて、ヘリオスというロボットが6位に入っていた。説明だとロボットに任せておけば良かったのにスタッフがあせって無線で指示を出したためにひっくり返ってしまったらしい。
人間が関与したから駄目だったんだ」というのがアメリカチームの反省だから何をアメリカチームが目指していたかよくわかる。
優勝したのは韓国チームで平らな場所では下部に取り付けた車で移動し、がれきの場所で二足歩行をするように設計されていて、無理に二本足で歩き回るような設計になっておらずとても合理的なロボットだった。

 今回のコンテストで日本のロボットの欠点が明確になったのだが、それは遠隔操作ができない環境では全く役立たずということで、自律性が欠如しているという欠点である。
自律性とはソフトウェアの優劣であり、特に人工知能の優劣が自律性を決定するのでアメリカの研究者はもっぱらこのソフトウェアの開発にしのぎを削っていた。
一方日本のロボットはハードウェアはとても良く、たとえば温泉でダンスをさせると芸者さん顔負けのダンスをするのだが、そうした環境は足場もしっかりしており遠隔操作もバッチリの無線環境下にあるのだという。

 反対に言えば日本のロボットは修羅場に弱く、実際福島原発事故の時も全くと言っていいほど役に立たなかったが、今回のように無線が定期的に切断されるとその間はロボットは何もすることができず、ただ立ち止まっているだけだった。
日本のロボット開発を後押ししている経済産業省の責任者は危機感をあらわにしていたが、日本のロボットが災害に弱いのはかなり致命的な欠陥といえる。

 もっとも今回ダーパがコンテストを開催した裏の狙いは軍事用ロボットの開発を加速させることで、戦場ではロボットが人間と同様の判断力で戦闘を行える能力を獲得させたいと思っているため、自律性の開発に力点を置いたコンテストになっていた。
一方日本のロボット開発はもっぱらエンターテイメントや癒しを目的に開発されており、平地を走ったり、ダンスをするのはとても上手だが修羅場にはほとんど対応できない状況だ。

 これはある意味で開発のコンセプトの相違でもあるが、確かに災害現場で全く役立たずのロボットでは、再び福島原発事故のような災害が発生した場合、「日本のロボットは全く無能か」というショックを日本人に与えそうだ。
世界の流れが自律性の確保に向かっていたことが図らずもこのコンテストで明らかになったが、ソフトの開発は日本人の最も苦手とするものの一つだからよほど努力しないと人間型ロボットの標準化でもアメリカに負けてしまいそうな予感がする。

(参考になるコメントがありましたので下記に掲載します)

 大会のレギュレーションからは外れますが、無線がダメなら有線でやればいいのです。長いコードを引っ張りながら動くアレです。人が指示する場所から建物までは通信を使い、建物から内部へは有線で行う。さらに作業するロボと、補助するロボをペアで行動し、有線の障害をカバーしながらの行動です。

 日本にはブシドーという優秀な姿勢制御ソフトがあるのですから、細かい作業指示は人間が行うという日本流の手法を極めていただきたいところです。
ただし平地は車輪で移動する、というのは理に適っています。不整地のある現場作業なら建設機械のように下半身は車輪やクローラーのついたメカでいいと思います。



 

 

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コメント

いつも楽しく読ませていただいております。
大会のレギュレーションからは外れますが、無線がダメなら有線でやればいいのです。長いコードを引っ張りながら動くアレです。人が指示する場所から建物までは通信を使い、建物から内部へは有線で行う。さらに作業するロボと、補助するロボをペアで行動し、有線の障害をカバーしながらの行動です。
日本にはブシドーという優秀な姿勢制御ソフトがあるのですから、細かい作業指示は人間が行うという日本流の手法を極めていただきたいところです。
ただし平地は車輪で移動する、というのは理に適っています。不整地のある現場作業なら建設機械のように下半身は車輪やクローラーのついたメカでいいと思います。

投稿: たぬき | 2015年7月11日 (土) 11時01分

米国は 不充分な機能しか無いとしても、事故原子炉に投入出来るヒューマノイドロボットを実用化したいでしょうね。
原子力発電所のみならず。原子炉を搭載運用している艦を世界で最も数多く所有しているのは、おそらく米国と米海軍でしょうから。。
福島原発事故は、米海軍にとって まさに最悪事態のテストケース・サンプルなのでは …。
幾重にもガードされたはずの【フェールセーフ】にも必ず盲点が在り得る!? … かもしれない。ならば、《事故》が発生したとき、人間に代わって現場に到達し、任務を遂行出来る消耗品(生命の無い奴隷)が欲しいでしょう。 核実験現場に、歩兵を投入し「人体実験」までした ...国の軍隊ならば、戦闘時の、あるいは 平時の《事故》発生による『戦闘艦 戦闘能力喪失』は … あってならない事態のはず。 艦内は人間サイズに作られていますからね。現在(おそらく)装備されている「放射能防護服」をさらにより高度のものに改良しつつ、病原体・放射能などの多様な高濃度汚染環境に対応出来る《人体型・奴隷兵》を装備・運用したいでしょう。
すでに《人体型・奴隷兵》は .. ISなどテロ集団は運用しており。 かつて 太平洋で戦った敵に相対した経験も在る。
… 彼等の思考では、KAMIKAZEは 消耗品としての自立型奴隷兵に限りなくイコールなのだろうと --おもいます。(おそらく永遠に理解できない…)
過激なイスラムの自爆テロと 同一視しているでしょう。
”彼等 欧・米 先進国”は 先進国 の看板によって生身の《人体型・奴隷兵》を採用できない。しかし、機械の(生命の無い奴隷)ならばなんの問題もない。
たとえ、真夜の地雷源で 乱射される銃弾の雨の中など のような絶望的な状況であろうと、「サムソン」の洗濯機も「ルンバ」掃除機も冷静にその任務を果たすでしょうから。

投稿: たなか | 2015年7月11日 (土) 16時57分

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