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(27.7.30) 岐路にさしかかったインドネシア経済 失速か回復か?

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  通常日本人はインドネシア経済についてもまたその政治についてもほとんど関心を示さないが、2億5千万人と東南アジア一番の人口規模をほこる大国が苦吟している。
インドネシアはここ数年経常収支と財政収支が赤字で言ってみれば火の車だから、外国からの借金でどうにか国家の運営をしている。
だからインドネシアにとって一番の懸念は外国資本が一斉に引き上げるようなことが起こることで、もしアメリカが利上げなどすればそれは即通貨危機に陥ってしまい、国家破産が起こることだ。

 現在、通貨危機が起こった場合の国家破産候補国は、市場ではブラジル、南アフリカ、トルコ、インド、インドネシアになっている。
ブラジル、南アフリカは資源大国で資源価格が低迷すれば即破産だし、トルコとインドは慢性的な経常収支赤字国で、インドネシアは資源大国でかつ赤字体質の国である。

 インドネシアのGDPはほぼ毎年6%程度伸びてきたから中国と比較すれば低いが世界的に見れば高成長を遂げてきた。それゆえ外資も喜んでインドネシアに貸し込んできたのだが、ここに来て経済が失速し始めGDPは5%を切りそうになっている。
日本のような低成長の国から見たら「だから何が問題なの?5%で十分じゃない・・・」といえそうだが、実際は市場の評価は厳しく通貨ルピアはたたき売りのような状況で、1997年のアジア通貨危機の水準まで通貨価値が下がってしまった
過去3年間では約40%低下で、その点は日本とさして変わらずインドネシア版アベノミクスのようなものだが、日本と異なってるところは意図的に通貨を切り下げているわけではなく、市場からそう評価されていることだ。

 インドネシアの経常収支が赤字なのは貿易収支が赤字のためだが、石油と天然ガスの輸入国になったのが最大の原因である。
もともとは石油も天然ガスも外貨を稼ぐ筆頭だったが油田が枯渇してきたところに国内需要が旺盛になってとても輸出などしていられなくなった。
残った輸出品は石炭やパーム油といった資源関連で、一方工業製品についてはほとんど輸出能力がなく国内での消費が主体だ。

 インドネシア経済に追い打ちをかけたのは昨年の夏場からは資源価格が一斉に低下し始め最後のよりどころだった石炭価格も30%程度低下してしまったことで、原因は中国が購入しなくなったからである。
輸入品については通貨が下落した分だけ国内価格は上昇してしまい、6月には7.26%とインフレが高進している。

 大統領は14年10月に当選したジョコ氏だが、強力なリーダーシップを発揮してインドネシア経済の立て直しに奔走している。インドネシア版安倍首相といったところだ。
最初の取り組みはインドネシア経済の癌といわれていた燃料費の補助金をカットした。
インドネシアはもともと石油の輸出国で国内に十分石油があったので意図的にガソリン価格や灯油価格を低く抑えてきた。
いわばインドネシア版福祉対策がこの燃料費の安さだったが、2003年以降は原油の輸入国になってこの補助金が財政硬直化の原因になっていた。
本来なら輸入国になった段階で補助金は打ち切るべきだったが、国民の反発を恐れて補助金を支出してきたため財政の大きな負担となり、他に回す財源がなくなってしまった。

 ジョコ氏はそれに大ナタを振るって補助金を止めようやく資金をインフラ整備等に回せる体制を作った。しかしながら現状は古い行政組織という既得権益層がいて面従腹背のためジョコ氏が意図するような行政改革もまた適切な予算執行もなされていない。

 インドネシア経済は従来は資源輸出で持っていたようなものだが、石油と天然ガスは枯渇し石炭は中国が買わなくなったため急激に悪化して経済構造の変革が迫られている。
ジョコ氏は外国資本を呼び込んで経済立て直しをしようと懸命だが、実際は資本は逃げ出しておりジョコ氏の改革とのいたちごっこになっている。
果たしてインドネシア経済はこのまま失速するのか、立て直しに成功するのか岐路に差し掛かった。







 

 

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