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(27.6.17) 東芝の不適切会計処理 どこの企業体にも巣食う病根

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(友達のブログ「ちば公園のベンチから」に掲載されている利根川の夜明け。ほぼ毎日のように利根川の夜明けの撮影をしている)

 東芝が不適切会計処理で揺れている。何が不適切かというと本来赤字で受注した案件でその赤字に相当する金額の引当を行わなかったのだという。
金額は12年3期から14年3期までの3年間で約550億円だそうだ。
この間の東芝の利益は6900億円だったから550億円の損失が出ても赤字になるわけではないが、何ともまの悪い話だ。
現在有価証券報告書の適正修正をするため、第3者委員会を設置して調査をしており15年3期の決算説明は本来の6月から9月にずれ込むという。

 だがこの話はかなり奥が深そうだ。現在判明している案件は約20件だが、調査をすればするほど増加する可能性が高い。
通常の売上処理では「収益費用一致の原則」というものがあって収益が上がった段階でその総費用を計上すればいい。1会計期間の間に販売が完了すればこれで済むので通常の取引であれば問題はほとんど発生しない。

 一方今回東芝で問題になっているインフラ事業のようなものは数年間の開発期間が必要で、たとえば3年後に完成するというような案件だ。
この場合は毎年収益と費用が発生したものとして会期処理するのだが、実際に確定するのは3年後だからその間は一種のみなし処理ということになる。
したがって会計処理としてはかなり自由度が高い。

 もっとも収益が順調に上がるような取引ならばどのように計上しても問題がないのだが、実は絶対に収益が上がらないような案件でも出血で受注する場合がある。
東京電力から受注したスマートメーターの受注では約255億円の赤字が見込まれていたが、この費用を先延ばしをして計上していなかった。
先延ばしをしても実際に東電から支払いがなされた段階で費用は明確になるのだが、それまでは隠しておくことができる。
駄目だ今年の決算は○○億円の利益が出る計画になっている。いいから費用は先延ばしをしろ
東芝は部門別に収益計算を行っているから部門間の競争が激しい。そのために単年度決算を良く見せるため収益は先、費用は後に計上する癖がついてしまった。

 これは一種の麻薬のようなもので確かに当初は隠しおおせても実際に取引が完了する時点で費用を一括計上することになるので急に決算が悪化する。それを隠すためには他のインフラ事業の赤字をまた先延ばしをしたり、黒字事業であれば利益の先食いをしたりしなければならなくなるので会計処理が乱れに乱れてしまう。

 実際の不適切会計の金額を追ってみると明確に判明している金額で、11年3期は1400万円、12年3期は79億円、13年3期は180億円、14年3期が253億円と年を追って増加しているが、この処理を続ける限りその額は増加せざる得ない。
もうだめだ。いくら会計処理でごまかしてもごまかし切れない金額になってきた」
今回の不適切会計処理を東芝の経営者がどうして知ったのかは知らないが、通常はこうした案件はタレこみが必ずある。

 会計処理をしている担当者と販売部門の担当者は同じではなく、またしばしば部門の花形は販売部門で会計部門はいわゆる下働きだ。
部門長がこうして損失を隠せといっているのだから、その指示に従え」なんて命令をするので、「あの野郎、今に見ておれ」なんて感情がくすぶり始めるのが普通だ。
今や東芝は上を下への大騒ぎになっているが、こうした数年間にわたるインフラ事業を手掛けている企業体だったらどこにもありそうな話だ。

 特に公官庁を相手とする販売はほとんどが利益が上がらない。公官庁は予算措置で縛られているためだがそれでも企業は将来の売上拡大を目指してなんとか入札に応募しているので、売上以上に費用が膨らんでしまう。
だから取引が拡大すればするほど決算は悪くなるので、それを不適切会計処理で隠すという悪循環にはまってしまうわけだ。
おそらくこれは東芝だけの問題にとどまらないだろう。他の企業体でも今必死に対応を検討しているはずだ。
そのうちに他の企業体の役員が頭を深々と垂れるシーンが出てきそうな感じがする。


(とても興味のあるコメントが寄せられたので転載します)

(その1)


 東芝は頭こそ下げてはいますが、大した問題だと思っていないと思います。
製造業やインフラ事業の場合、限界利益を超えている限りは受注した方がいい、というような経営方針の会社は多いはずです。
特に社内の人員を遊ばせておくような閑散とした状態の場合、受注代金から資材代や部品代を差し引いた金額が黒字なら、ゴーサインは出ますね。
間接部門の人間や営業マンの人件費を出すほどの利益はないが、やった方がいいという経営判断は合理性があると思います。

 また、東芝や日立、キャノンやニコンのような技術開発優先企業では、完全な赤字案件でも、役員に対して「これをやることによって、こういう技術が会社に残りますよ」という説明をすれば、裁可されている現状はありますね。
それをやることによって社内の求心力も上がりますから、良いことばかりだと思っている人さえいると思います。

 まあ、それと不正経理とはまったく別の問題ではありますが・・・・

(その2)

 インフラ、我々はプラントと呼んでいました。
各官公庁 県レベルの仕事は企画から完成まで10年以上掛かるのは当たり前、まして各現場の状況は全て異なり、工事条件は勿論使用する機材、機械の性能も相応の高いレベルが必要で、企画する役所の技官と企業側技術者の必死の研鑽努力のおかげで今日の日本の国土があります。

今  費用見積もり受注の困難さは一発勝負の入札です。受注金額は下がりに下がり、本当はこれでは赤字だがでも何とかするしかない、何とかできるよう頑張ろうと企業は受けるしかないのです。 勿論東芝だけのハズがありません。 重電各社 重工各社 プラント各社 機械メーカー各社 ゼネコン各社 資材メーカー各社 皆でババ抜き、損を誰が負担するかグルグル回るヤクザの賭博場の状況でしょう。 まあ最後は下請けに回すんでしょうが。

 談合で不当な価格に吊り上げていたのは殆どなかったのです。 役所もそんな馬鹿ではありません。 ごく一部の例外の人を除けば真面目な技術者ばかり、皆日本人ですよ。 見積もり予算が民間企業の都合に合わせて高く設定など有り得ませんでした。

 マスコミの猛烈な談合糾弾で談合事件はずいぶん減ったようですが、10年以上の工事を他社に負けまいと入札はもうメチャクチャ、元が当初から取れる十分な金額での受注などありえません。 希望はライバルが廃業倒産することです。

 




 

 

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コメント

東芝は頭こそ下げてはいますが、大した問題だと思っていないと思います。
製造業やインフラ事業の場合、限界利益を超えている限りは受注した方がいい、というような経営方針の会社は多いはずです。
特に社内の人員を遊ばせておくような閑散とした状態の場合、受注代金から資材代や部品代を差し引いた金額が黒字なら、ゴーサインは出ますね。
間接部門の人間や営業マンの人件費を出すほどの利益はないが、やった方がいいという経営判断は合理性があると思います。

また、東芝や日立、キャノンやニコンのような技術開発優先企業では、完全な赤字案件でも、
役員に対して「これをやることによって、こういう技術が会社に残りますよ」という説明をすれば、裁可されている現状はありますね。
それをやることによって社内の求心力も上がりますから、良いことばかりだと思っている人さえいると思います。

まあ、それと不正経理とはまったく別の問題ではありますが・・・・

投稿: 三太郎 | 2015年6月17日 (水) 08時49分

インフラ、我々はプラントと呼んでいました。
各官公庁 県レベルの仕事は企画から完成まで10年以上掛かるのは当たり前、まして各現場の状況は全て異なり、工事条件は勿論使用する機材、機械の性能も相応の高いレベルが必要で、企画する役所の技官と企業側技術者の必死の研鑽努力のおかげで今日の日本の国土があります。

今 費用見積もり受注の困難さは一発勝負の入札です。受注金額は下がりに下がり、本当はこれでは赤字だがでも何とかするしかない、何とかできるよう頑張ろうと企業は受けるしかないのです。 勿論東芝だけのハズがありません。 重電各社 重工各社 プラント各社 機械メーカー各社 ゼネコン各社 資材メーカー各社 皆でババ抜き、損を誰が負担するかグルグル回るヤクザの賭博場の状況でしょう。 まあ最後は下請けに回すんでしょうが。

談合で不当な価格に吊り上げていたのは殆どなかったのです。 役所もそんな馬鹿ではありません。 ごく一部の例外の人を除けば真面目な技術者ばかり、皆日本人ですよ。 見積もり予算が民間企業の都合に合わせて高く設定など有り得ませんでした。

マスコミの猛烈な談合糾弾で談合事件はずいぶん減ったようですが、10年以上の工事を他社に負けまいと入札はもうメチャクチャ、元が当初から取れる十分な金額での受注などありえません。 希望はライバルが廃業倒産することです。

マスコミはいいですね、いつも正義面、正義の味方、浅はかな表面的な正義の記事で飯を喰っていけて。 
今日も新聞社の旗立てたハイヤーに乗って「何か面白い記事はありませんか」と企業に乗り付け小遣い銭をせびってなんかしてないだろうな、怒。

投稿: 絶望人 | 2015年6月17日 (水) 09時57分

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