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(27.6.23) アメリカとサウジアラビアの隙間風 これ以上サウジをバカにするとドルで石油を売らないぞ!!

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 アメリカとサウジアラビアの間に隙間風が吹いている。それもかなりひどい隙間風だ。
アメリカとサウジアラビアは中東における鉄壁の同盟関係だったはずで、アメリカの石油戦略はもっぱらサウジアラビアを通して一種の遠隔操作で行われてきた。
その同盟関係にひびが入ってきたのには二つの理由がある。

 一つはアメリカ側の理由でシェールガス・シェールオイル革命でアメリカは従来の石油輸入国から輸出国に変わってきた。中東の石油は必要なくなりシーレーンを是が非でも守る積極的な理由がなくなった。
中東の石油が必要なのは中国と日本だろう。そのために我が海軍を遊弋させる必要もあるまい」ということで、本音は中東から足を洗いたがっている。
オバマ政権のアジアシフトとはそう言うことだ。

 一方サウジアラビア側からするとアメリカの火遊びには本心から怒っている。サウジアラビアはスンニ派の盟主で、一方イランはシーア派の盟主だ。サウジアラビアにとって最大の敵であるイランを封じ込めるのがサウジの外交方針になっているが、アメリカはイラクのスンニ派政権だったサダム・フセインを殺害し、あろうことかそのあとにシーア派政権を誕生させた。
最もアメリカは意図的にシーア派政権を作ったわけでなく、選挙をするとどうしても民衆の支持の多いシーア派が優位になる。

 敗北したスンニ派は北部に逃げ過激化しいわゆるイスラム国となってイラク北部とシリア北部にイスラム過激派国家を作ってしまった。
サウジアラビアにとっては地域の安定が一番であり、スンニ派政権ががっちりとイランを抑え込む構図を描いていたのに実際は過激派の棟梁跋扈になっている。
アメリカのすることは民主主義を中東に持ち込むと称して実際は混乱ばかりをもたらす。アメリカとの同盟もこのあたりが限度だ

 昨年の夏場から急激に石油価格が低下し始めたがこれをサウジアラビアは絶好の機会ととらえた。石油価格の低下原因は中国経済がピークアウトしたからだが、従来であればサウジアラビアが減産体制に入って石油価格の維持を行ってきた。
しかし今回は全くそうした素振りを見せない。
特に減産する理由などない。そのうちに価格は上がる」冷たい対応だ。

 なぜサウジアラビアが減産しないかというとアメリカに対して意趣返しをしているからだ。
あんたのところでシェールガス革命が進展して、アメリカは中東の石油を必要としていないといっているが、すべては石油価格が100ドルを超えているからで、これを維持してきたのがサウジアラビアだったことをお忘れですか・・・・・
現在石油価格は50ドル台になり、アメリカの限界的なシェールガスやシェールオイルの開発会社はバタバタと倒産し始めた。
ケリー国務長官がサウジアラビアに飛んで減産を依頼したが、サウジアラビアの返事はつれない。

注)15年1月以降倒産が始まり、4月にはCMXリソーシズが427億円の負債を抱えて倒産した。
 
 サウジの基本的態度は明白でシーア派のイランを封じ込め地域に安定をもたらすためにアラブの春などという茶番をアメリカが支持するのを阻止することである。
特にスンニ派のサダム・フセイン政権を崩壊させイラクにシーア派政権を誕生させたことはサウジにとって最も大きな脅威になっている。
しかも北部にはイスラム国という過激派組織が国家を樹立しようと戦争状態に入っており、こうした過激派分子を制御することもできない。

 サウジ国防相はロシアにとびサウジとロシア間での友好関係をアピールし始めた。かつては敵同士だったのだからえらい変わりようだ。
返す刀で「石油代金のドル決済以外の検討を行う」とまで言い切りルーブルや中国元やユーロ決済の可能性を示唆している。
アメリカさん、あまりにサウジをバカにするとシェールガス革命は崩壊し、ドルの基軸通貨としての価値もなくなりますよ」ということだ。
オバマ政権としたら早く中東から足を洗いたいが、どうにもならないところに追い込まれて再びイラクに地上部隊の増派を行っている。
アラブの春は結局安定していた中東情勢に混乱をもたらすだけに終わったようだ。

注)石油代金をドル決済できるということはアメリカはドルを印刷して渡せばいいということ。もしそれが他の通貨での決済が可能になればその通貨発行国は自国の通貨の印刷で石油の調達ができることになる。





 
 



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評論 世界経済 石油問題」カテゴリの記事

コメント

アメリカの一貫性のない政策が、中東に混乱をもたらしたというより、中東にあえてその当事国、周辺国にとって迷惑な不安定状態を意図的に作り出したとみるべきである。そのため、当事国は自国保全のための対応策をあれこれと打っているという状況なのである。

 アメリカにとって、地球上のどこかに紛争の火種があることの方が都合が良いのだ。アメリカ以外の地での不安定は、強国の力を頼ろうとする求心力が働くからだ。政治経済共に、アメリカの同じ意識のおける政策結果なのだ。だから、サウジが何をしようと、ロシア、中国が何をしようと、アメリカの鼻息を伺うしかないのだ。サウジもロシアも中国も、人民に信任された政権ではなく、強権による人民支配国である。足元に国民信任という基盤が無い政権は、その時の力を振り回そうとする。結果紛争である。力を誇示する以外にその政権に生きるすべがないからだ。そしてこの状況は、アメリカを利する。無理な力の誇示は、最後はアメリカの力をたよる勢力により矛を収めさせられる。

 サウジが石油でアメリカの意に逆らった行動をとっているように見えても、結局はアメリカさんにすがるほかないのだ。原油価格を低く据え置くのもサウジの一時のポーズでしかない。原油価格決定におけるサウジの主導権を誇示しているだけである。低い価格は原油生産国にとってはつらい。そこで、サウジに泣きつく。アメリカに圧力をかけるよう要請する。そしてやっと、サウジは減産に乗り出す。サウジはアメリカに逆らったように見せて、原油における主導権を高め、イスラム当事国への影響力を確保するのである。

 サウジの周辺国への影響力が強まることは、アメリカにしてもその地域のこれ以上の不安定化阻止に利するとしてその行動を許しているのである。サウジはアメリカがあってその王権が維持されてきたのである。一人勝手な行動は出来まい。

投稿: hiromiya | 2015年6月23日 (火) 18時55分

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