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(27.4.27) 再びバーゼル委員会が動きだした。「日本の金融機関の活動を制限しろ!!」

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 再びバーゼル委員会が動き出した。今回は国債保有に網をかけるという。
従来バーゼル委員会が動くと日本の金融機関の活動が大幅に制限されてきた。バーゼル委員会の規制とは即日本に対する規制と思われるほどだ。
少なくとも1988年に制定されたバーゼル委員会の規制BIS規制という)は日本の金融機関の活動を世界的規模で網をかけるための規制だったと言っていい。

 当時日本の金融機関は破竹の勢いで世界市場を席巻していたし、融資額や預金量では日本のトップテンが即世界のトップテンのようなありさまだった。
あまりの日本の金融機関の巨大化に恐れを持ったアメリカとヨーロッパ(特にイギリス)が手を携えて日本の金融機関つぶしの手段としたのがBIS規制で、具体的には海外で営業活動を展開する金融機関の自己資本比率を8%にする規定だった。

注)当時日本の金融機関はニューヨーク、ロンドン、チューリッヒに支店を開設して世界の融資をリードしていた。収益額を無視した薄利多売で欧米の金融機関から白眼視されていた。

 なぜこれが日本の金融機関つぶしだったかというと当時の都銀地銀も含めて)はオーバーローンばかりで自己資本は1%から2%程度しかなかったからである。
日本の銀行経営は危険すぎる。最低でも自己資本が8%なければニューヨークやロンドンでの取引は止めていただく
その後日本の金融機関は自己資本比率を高めるために融資を大幅に引き上げ海外での活動を自粛する行動に出ざる得なかった(自己資本を高められなかったためその分融資を止めた)。
やれやれ、ようやくこれで日本の金融機関の怒涛のような動きを止めることができた。金融業務はアングロサクソンのもので黄色いサルなどに出しゃばらせてなるものか!!
もう少しのところで日本の金融機関が世界の金融機関になるチャンスをアメリカとヨーロッパにつぶされた。世界を金融支配しようとしたジャパン・アズ・NO1が潰えた瞬間だった。

 あれから30年、今度はリーマンショックでアメリカやイギリスの金融機関が深い痛手を負ったが、日本の金融機関はバブル崩壊後の金融危機対応で非常に慎重な融資やディリバティブ対応をしていたため(一部金融機関を除き)、大きく傷つくことはなかった。
このため現在日本の金融機関は再び世界の金融機関として飛躍するチャンスが巡ってきて、特にアジアではヨーロッパ系の金融機関が撤退した後の融資を日本の銀行が引き受けている。
よっしゃチャンスだ、ヨーロッパが抜けた穴を日本がすべて奪えるぞ!!」
だが日本の金融復権をアメリカもイギリスものぞまない。
日本は製造業だけ復活すればいい。金融業はアメリカとイギリスのものにしておかなければならない

 再び日本の金融機関の弱点を狙った日本つぶしが始まっている。
日本の金融機関の最大の弱点は国債保有が多いことで、従来日本国債の約8割を民間銀行・保険、年金・その他金融機関が保有してきた。金融機関だけに限っても約6割だ。
最も現在は日銀が金融機関等から未曾有の国債買い上げ(金融緩和)を実施しており、日銀の保有比率が25%になって,その分民間の金融機関の比率は下がっている。

 現在バーゼル委員会で議論されている新たな枠組みの趣旨は金融機関の国債保有に規制を設けるというもので、国債の急激な金利上昇価格は低下)に堪えられるだけの自己資本の更なる充実を求めようというものだ。
もしこれが実施されるとメガバンク農林中金などは国債保有を減らすか自己資本の充実を図るかどちらかにしなければならない。

注)日本国債の格付は先進国では最低のランクで、最も危険な国債の一つということになっており金融機関の日本国債保有は大幅に制限される。
なお日本のメガバンクの復調については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-e1ef.html


 実際は国債保有を減らす方に傾くだろうから、従来の日本政府の国債依存体質の変革を迫るものだ。
黒田日銀が大幅な金融緩和をすることができたのは民間金融機関が多量の国債を持っていたからで、それを日銀が買い取る形で市場に資金供給を行ってきた。
そのシステムが崩れるとなると、残された手段は日銀が直接国債を引き受けることしかない。しかしそれはかつての戦時国債とおなじで猛烈なインフレーションの可能性が高い。

アメリカやイギリスの意図は特にメガバンクがアジアで席巻するのを抑えることだが、アングロサクソンの戦略は常に崇高な建前金融秩序の維持)を前面に押し出してくるので本当に手ごわい。

注)地球温暖化対策もヨーロッパの復権の手段であることはよく知られている日本が温暖化対策で鴨葱になった経緯は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-dcb6.html


 



 

 

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コメント

 毎回、適切タイムリーな論評を読み学習させていただいており、感謝です。
 特に金融経済に関しては、その造詣の深さに感心しております。そこで、恥ずかしながらお伺いいたします。 

現行の日銀の民間銀行からの国債買い上げと、山崎所長が危惧されている日銀の直接引き受けでは、民間銀行が間に入るだけの違いであり、市中に円が増加するのはどちらも実質は同じで、結果はどちらも円の価値を薄めることになります。したがって、直接引き受けの方がインフレ大であるとは言えないと思いますがいかがでしょうか。浅学の私の理解では、民間銀行を介する現行方法は、直接引き受け時の、日銀、政府の拙速判断、あるいは癒着を防ぐ程度の機能であって、その実質的な差はない思うのですが。
 以上、ご教示いただければありがたいです。

 黒田日銀による国債の大幅な買い上げは、現状のデフレ脱却が主眼であり、そのための市中円の増加策です。しかしながら、国内需要が低迷する中、円を増やしても投資や消費が増えず、日銀の孤軍奮闘が続いています。さらなる政府サイドの需要喚起政策がほしい所です。今年は、大企業先導で給与のベースアップが行われておりますので、消費増をもたらして、それが起爆となり経済の好循環に至ってほしいです。

(山崎)もっともな質問なので、別途ブログに記載して回答いたします。

投稿: hiromiya | 2015年4月27日 (月) 09時29分

いつも拝読しております。世界経済の勉強になり大変感謝しております。先生に教えて頂きたくコメント欄に書きました。BIS 規制の際には融資規制が起こり不動産業やゴルフ場、中小企業が倒産しました。国債引き受け規制となれば今回も同じ事が起きるのでしょうか?
宜しくお願い致します。

(山崎)コメントありがとうございます。また改めてブログに記載します。

投稿: kantoku | 2015年4月27日 (月) 23時55分

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