(27.3.4) 日本のインフラ輸出の成功 インド新幹線の受注
ながく低迷してきた日本のインフラ輸出が軌道に乗ってきた。2012年は3兆円規模だったが、13年は9兆円になり、14年度も10兆円規模だが、2020年までには30兆円規模まで拡大する計画だ。
日本のインフラ輸出が今までさっぱりだったのは、日本にインフラ輸出戦略がなかったからである。
特にひどかったのはODAで2000年まで日本は世界のトップの支援国だったが、中国へのODAが典型的にそうであったようにひも付きでない援助が多かった(アンタイドローンという)。
相手国にとってはこれほどおいしい援助はなく、勝手に権力者が自分の事業につぎ込んで、また相当部分は懐に入れていたから相手国民に対する支援にはならなかった。
もちろんODAをネコババできた独裁者からは日本大使は「閣下」などと呼ばれて最高の厚遇を受けていたので、ODAとは日本の外務官僚を外国で豪遊させるための資金だったといえる。
注)中国に対するアンタイドローンについては以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-04f4.html
しかしそうして外務官僚が遊んでいられたのも日本に余裕があったからで停滞の20年間を経て日本のODA予算はすっかり他国から引き離されてしまった。
現在約1兆円規模だがアメリカのODAの約3分の1の規模であり、イギリスやドイツやフランスの後塵を拝している。もはや日本はODA先進国とは言えない。
現在日本はODAにかわりより戦略的なインフラファンドを国交省の管轄で立ち上げたが、規模は約600億円であり、ODAに比較するとまだかなり少ない。
しかしODAがもっぱら外務官僚の利権になっていたため安倍政権としたら外務省を太らすODAよりはインフラファンドの方がより戦略的だとの位置づけになっている。
インフラ輸出としてはベトナムへの原子力発電所の建設やイギリスの高速鉄道、インドネシアへの火力発電所の輸出や地下鉄の車両の受注等の成果があるが、このたびインドとの間でインド新幹線の受注に成功することがほぼ決まった。
インド最大の商業都市ムンバイとIT産業都市アーメダバードを結ぶ約500kmだが、アーメダバードはモディ首相のおひざ元のグジャラート州にある。
モディ首相はグジャラート州をインドではまれな停電のない州にすることで経済実績を上げ首相に就任したのだが、次はインドに国際級のインフラを整備する事業に乗り出しており、これを日本政府が支援をするという構図になっている。
インドは中国とは反対の親日国であり、また仮想敵国が中国であることが日本とぴったり相性があい、安倍首相とモディ首相は政治的な朋友だ。
インドを中国に負けない経済大国にすることが日本の安全保障にとって最も重要な国際戦略の一つになっている。
そうした両国だが今まで日本のインフラ輸出が今一つ精彩を欠いていたのは円高で日本のインフラの価格が高かったためでそこに韓国や中国から付け込まれていた。
だがアベノミクスで立場が逆転し今日本は韓国を蹴散らしてインフラ輸出がブレイクしようとしている。
インド新幹線がその象徴で安倍政権が掲げる2020年インフラ輸出30兆円の達成も視野に入ってきた。
インフラ輸出とは本質的にその国の基礎固めのための支援であり、一方で日本の安全保障のための支援でもある。
ベトナム、インドネシア、インドはともに手を携えて中国に対抗する日本版真珠の首飾りだから安倍首相の戦略が着々と実りつつあることは何ともよろこばしい。
注)日本とインドの戦略的関係は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-dc96.html
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