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(27.3.21) 文学入門 高橋治 「風の盆恋歌」

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 越中八尾と言われてもどこにあるのかさっぱり分からなかった。地図で調べてみると、富山市から約10km程度山間に入った井田川が中央を流れている街で高山本線が通っていた。
今回の読書会のテーマ本は越中八尾を舞台にした高橋治氏の「風の盆恋歌」だった。
私はこの小説を全く知らなかったが、石川さゆりさんが歌う「風の盆恋歌」はよく知っていた。
私は熱狂的な演歌ファンだからだ。

 風の盆恋歌の一番目の歌詞は次のようになっている。
蚊帳の中から花を見る 咲いてはかない酔芙蓉
若い日の 美しい 私を抱いてほしかった  忍び逢う恋風の盆

私は石川さゆりさんが歌うこの歌はなかなか情感があっていいものだと感心して聞いてきたが、これが高橋治氏の小説「風の盆恋歌」をモチーフにしていたとは全く知らなかった。

 この小説はかつて学生時代に愛し合った男女が30年の歳月を経て越中八尾の風の盆で1年間に3日間だけ再び愛し合う小説である。
作者の高橋氏は旧制四高現在の金沢大学)出身で、金沢や富山の地理を知り抜いており、特に越中八尾の風の盆には何回も通って見物しているようだ。
風の盆の踊りの詳細な説明を読むと、どんなに高橋氏が風の盆を愛しているかわかるが、残念ながら私にはその詳細な説明をイメージすることはできなかった。
また八尾の街並みの名前や場所の説明も何度も記載されるのだがこちらも頭で地図を描くことはできなかった。

 文字だけの小説にはどうしても限界があり、例えば場所の説明なら地図を見せてくれればたちどころに把握できるし、風の盆の細かな踊りのしぐさは写真か挿絵があったらどんなにかわかりやすかっただろうとため息がついた。
言葉でいくら説明しても見たこともない人にはさっぱりなのだ。
だからこの小説は越中八尾を訪れたことがあり風の盆踊りを見たことがある人ならバッチリなのだが、そうでない人には非常な想像力の苦痛を強いる小説といえる。

 この小説は風の盆が行われる年に3日間だけの逢瀬を扱っており、通常の言葉で言えば不倫なのだが情景があまりに美しいためなにかこの世の情景とは思われない。かつて読んだことのある川端康成氏の「雪国」のようだ。
だが正直言って私はもうこの種類の男女の心のゆらめきを扱った小説を好まない。人生長く生きていると「もう十分だよ」という感覚に襲われる。

 旧制四高を扱った小説では井上靖氏の「北の海」のほうがはるかに面白く読める。この小説は四高柔道部に所属していた筆者が寝技柔道というもので高校柔道界のトップに立とうと努力をする自叙伝的小説だ。はっきり言えばバンカラ集団でまったく勉強や知性とは無関係な青春真っ盛りのような登場人物の小説だから読んでいて気持ちがいい。

 一方高橋氏の描く四高の集団は明らかにインテリ集団であり、多くは医者になったり弁護士になったり、大手新聞社の外報部長になったりしている。左翼思想にも共鳴しているものも多く四高のインテリ集団と言っていい。私はインテリよりバンカラが好きだから、どうしても高橋氏の描く世界にはなじめなかった。

 なお小説の筋は「硯水亭歳時記」というブログに非常によくまとまって説明がされていたのでそれを転写しておく。

高橋治著の小説・『風の盆恋歌』は不倫の小説であるが、美しい物語を紡いでいた。オトコは30年前、旧制高校時代の仲間だった女性と、越中・八尾の風の盆で愛し合う。彼は大手新聞社の外報部長で妻は弁護士。一方彼女には外科医の夫と大学生の娘がいる。

 思いを寄せる彼女から遠ざかったのは、仲間と別れた風の盆の夜だった。彼の勤務先であるパリで再会した二人は、誤解が生じた経緯を知り、急速に近づく。彼女はもう一度でいいから、貴方と風の盆に行ってみたいと思う。

 八尾・諏訪町の一軒家で彼女を待つ彼。彼女が京都からやって来たのは4年目の風の盆の宵だった。列車が駅に止まるたびに降りて戻ろうかと思った彼女は、「足もとで揺れる釣り橋を必死で渡ってきたのよ」。ふたりは3日3晩、美しいおわらに酔いしれる。「おれと死ねるか」と聞く彼に、彼女は「こんな命でよろしかったら」と応える。翌年も風の盆で会うが、彼女は娘に不倫をしているのではないかと知られてしまう。 

 3度目の逢瀬になるはずだった風の盆の初日の夜、原因不明の難病に侵された彼は八尾の家で息絶える。駆けつけた彼女は、「夢うつつ」と染め抜いた喪服姿で彼に寄り添い、睡眠薬自殺する。」 

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