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(27.1.18) スイス国立銀行の変節 もうユーロは買い支えない!!

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  こういうのを晴天の霹靂というのだろう。静かだと思っていた池に突然大石が投げ込まれ池で遊んでいた水鳥が一斉に騒ぎだしたような騒動だ。
スイス国立銀行が突然固定相場を止めるとこの15日に発表し、1ユーロ=1.20スイスフランの相場がいつまでも続くと思っていた投資家がパニックに陥ってしまった。

 スイスという国は特別な存在で、あらゆる資金がスイスに集まってくる。弱気になったヘッジファンドが一時的に資金を避難したり、中国やロシアの富豪が政府に内緒の金を預けたり、アフリカや中南米の独裁者が自身が国から追い出された時の隠し金などを預けたりするので放っておくと預金だらけになってしまう。
集まった資金の使用先があればいいが集まりすぎた資金はどうにもならない。
さらに問題は資金が殺到するとスイスフラン高が留まることなく高進して、国内の時計産業や薬品産業等の製造業を圧迫する。日本の最近までの円高と同じだ。

 スイスはこうしたスイスフラン高にたまりかねて先進国としては異例な固定相場制を採用した。2011年9月1ユーロ=1.20スイスフランに固定しもしスイスフラン高になるようならユーロを無制限に買い支えると発表した。
そして同時に「もうこれ以上預金はいらない。もし預金したければペナルティーを払え」と預金者から手数料を徴収してきた。
おかげで1ユーロ=1.20スイスフランの相場が維持されていたから世界の投資家はスイスフランは固定相場だと思っていた。

 だがこうした措置には最初から限界がある。
ユーロは安くなるばかりでスイス国立銀行が投入する資金は増大し、その結果買い支えたユーロはその都度目減りしていく。
しかもユーロはさらに安くなる要因が目白押しで、ギリシャの総選挙で与党が敗北すればユーロからの借入金は踏み倒されるし、ギリシャがこければスペイン、ポルトガル、イタリアと言ったラテン系諸国の踏み倒しが始まる。

 ヨーロッパ中央銀行ECB)はこうした危機状況下でドイツを説得して日銀並みの金融緩和策に実施する腹固めをしたので、「何かあったらユーロを売ってスイスフランに逃げ込め」とヘッジファンドはユーロ売りの機会を狙っていた。
そこにスイス国立銀行が「もうユーロを支えない」と発表したのでユーロのパニック売りが始まった。
一時ユーロは対スイスフラン対比30%も値下がりしたが、さすがにそこまでは売られすぎで今は10%から20%の値下がりにとどまっている。

 ユーロの値下がりはさっそく円にも反映し、円はユーロ対し円高基調に反転した。当面最も弱い通貨はユーロだから相対的にましな円が買われるという構図だ。
通貨の交換レートはすべて相対的なもので絶対的に強いとか弱いとかいうようなものがないからユーロが弱くなれば円が強くなるだけに過ぎない(通貨は単なるバランスだという感覚が大事)。

 現在は世界中で通貨の切り下げ競争を行っており、最初はFRBが、続いて日銀が、そして最後に残ったECBがこの通貨安競争に参入しようとしている。
資金は世界中でだぶつきその資金がスイスに殺到したのでスイスが根をあげてしまったのが現在の状況だ。

 このショックで特にFX取引で損失が出ている。スイスフランを固定相場と思って投資をしてきたからで大手のFX業者が倒産しそうになっている(日本でもFX取引をしていた人は真っ青だ)。アメリカ政府も乗り出してこうした業者を支えているがリーマンショックの二の舞にならないための措置だ。
しばらくすればスイスショックも吸収されて落ち着くだろうが、ユーロがユーロ安政策に転換するので日本の円安が無限に続くという前提は崩れ始めている。

注1)金融取引とは本質的にゼロサムゲームだから誰かが得をすれば誰かが損をする。今まではスイス国立銀行がユーロを買い支えて1人損失をかかえていたが、それが今度はFX業者が損失を抱えることになったのに過ぎない。

注2)なおスイスショックに先立って長期金利が劇的に下がっていたことは前に記載した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-ac4d.html

 
 

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評論 世界経済 ヨーロッパ経済」カテゴリの記事

コメント

勉強になりました。
スイスの、小国であるが故の利点も、今の怒涛の金融緩和の時代では無意味のようですね。


投稿: KS | 2015年1月18日 (日) 19時25分

解説 有難うございました。 
とてもよくわかりました、新聞メディアの解説を読んでもピンと来ませんでした、能力が足りないのかもしれませんが。

しかしEUは大変ですね、悪い部分が一気に出てきて、イスラムの大きな問題もかぶさって大変な状況ですね。あの東アジア共同体が実行されていたらと思うとゾッとします。

これからも色々教えてください、個人的には中国経済に関心があります。

(山崎)中国経済と韓国経済は私のテーマですので今後も継続的にウオッチして行きます。

投稿: まっくん | 2015年1月18日 (日) 23時22分

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