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(27.1.10) GDPはなぜ役立たないか! サムスンがこけても韓国が大発展している不思議

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 GDP
が経済実態を全く反映していないことをこれほど明確に示す事例はない。
韓国のサムスン電子の14年度の決算内容の速報値が発表されたが、売上高が対前年比10%減、営業利益は32%の減益だった。
サムスンは韓国GDPの20%を稼ぎだしており、サムスンの減益の影響は韓国全体では計算上GDPを6.4%(32÷5=6.4)引き下げたことになる。
一方で韓国政府が発表しているGDP予測値は3.5%前後の伸び率だそうだ。
 

 これほど魔訶不可思議なことはない。GDPとはその年に生産された付加価値の合計だが、付加価値とは単純に言えば企業が稼ぎだした利益に等しい。
サムスンが韓国経済全体を6.4%も引き下げているのに韓国全体では3.5%の増加だそうだ。
もし韓国政府の発表が正しければサムスン以外の財閥企業が猛烈に稼ぎまくったことになるがGDPの約10%を占める現代自動車も収益力が大幅に低下しており(14年第3四半期18%減)他の財閥企業も悲鳴を上げており特に中小財閥はほとんど倒産の危機を迎えている。

 それならば消費支出が増加したかといえば反対に減少していて、かろうじて増加しているのは政府が公共投資を増加させているだけだ。
企業は全くダメ、国民も消費を手控えていてかろうじて政府だけが支出を増加しているのだが、サムスンあっての韓国で大黒柱が倒れてもまだ韓国経済、特にGDPの伸び率が健在だというのはおかしくないだろうか。
実際朝鮮日報中央日報と言った大手メディアの論説は今にも韓国が崩壊するような悲鳴を上げている。

 GDP信奉者には申し訳ないがGDPは経済の変わり目には何の役にも立たない。それはこの計測方法がとりあえず分かる統計数字による推計に基づいているからだ。
たとえば企業業績の推計は鉱工業指数生産動態統計によるがすべての業界が網羅されているわけでなく統計が取りやすい業界(古くからの業界)の数値を基に推計する。
去年はこの程度の指数で3%の伸びだったから今年も3%にしておこう」なんて感じだ。

注)GDPの確定値は新しい統計数字が出るたびに修正を加えられて最終的にはそれらしき数字に納まるようになる。なおGDPの計測には付加価値を集計する方法と消費を集計する方法(個人消費、政府消費、企業消費)があって、GDPの説明を聞いても一般の人には何が何だか分からないのはそのためだ。

 GDPの約6割を占める消費支出については家計調査家計消費状況調査が利用されているが、これらはサンプル調査であって全体との整合性が必ずしもとれていない。
それに最も大事なことはこの調査に応じた人が正確な数字を出すかということだ。
考えてもみてほしい。毎日詳細な家計簿をつけている人以外は家計はヤマカンで運営している。そうした人が詳細きわまるこの調査に適切に応じられるはずがない。
また自分が大金持ちだとしたら決して正確な報告をあげないだろう。もし金の延べ棒を10億円購入したなんて記載したら、それこそマルサの餌食になってしまう。
だから統計数字には常にバイアスがかかっている。

 GDP統計担当者はこうした手に入る限りの資料を基に推計を行うのだが、その方法は統計学でいう最小二乗法方式だ。簡単に言えば今までがこうして伸びてきたのだから今年もこうなるという推計法だ(過去からのデータを基に直線を伸ばす方式)。
この方法の最大の欠点は歴史の変わり目や経済の潮目が変わった時に全く役立たないことだ。ゲームのルールが変わったのにまだ昔のルールで判定していると思えばいい。

 韓国のGDPが実態と乖離している最大の理由はこの潮目を把握できないからで、手に入る生産高や売上数字では収益(GDP)を反映していない。
ウォン高で悲鳴を上げても価格を据え置いて日本商品と競争するから収益は劇的に減少する。そしてGDPはこの収益の総和なのに統計は相変わらず表面的な売上高や生産高で推計しそれも過去の伸び率をそのまま適用するから合わないのだ。

注)付加価値(収益)の計測ができないので表面的な売上高や生産高で収益を推定する。

 このことは日本にも中国にも同時に真であって、たとえば日本の企業は現在劇的な収益改善を遂げているのにGDPは2四半期マイナス成長だ。
新聞などではアベノミクスは停滞していると盛んに報じているが実態は付加価値は信じられないスピードで改善されていて実は成長しているのだ。
一方中国では7.3%のGDP伸び率になっているが、習近平政権は倒産しそうな金融機関の救済に血眼になっており1990年代の日本を彷彿させる。

 お分かりになっていただけただろうか。GDPとは単なる推計値であってそれは経済の変わり目には全く役立たない指標であり、統計上は大繁栄なのに実体経済が地獄なのはこのせいなのだ。
いまだにGDPがどうこういっているマスコミは近代経済学が単なる統計学でいう最小二乗法であることを知らないのだが、誤った情報に流されており実に嘆かわしいことだ。

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コメント

2014年の韓国のGDP成長率予測は3.7%

韓国の経済成長率、4四半期連続で0%台の見通し
http://japanese.joins.com/article/544/191544.html

韓国も含めて世界経済は大転換している
アメリカ経済も量的緩和終了の悪影響は4月ごろまでには確実に表面化する。
世界経済はとても楽観できない状態だ。

投稿: pij | 2015年1月10日 (土) 16時56分

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