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(26.11.1) アメリカの量的緩和の終了と日銀の量的緩和の拡大  貧富の差がまた広がる!!

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 アメリカの量的緩和策がこの10月末で終了した。リーマンショック以降6年間にわたって継続され、その間440兆円の資金が市中にばらまかれてきた。この担保のうち半分はサブプライムローンのようなジャンク債だから、実質的な紙幣の印刷と変わりがない。
おかげでアメリカ経済は順調に回復し、3%台の経済成長が定着し失業率も6%を下回っているのだから、ことアメリカ経済だけは順風満帆という状況だ。

 だが実際の経済成長は株式の上昇と不動産価格の上昇に支えられているもので、実物経済の方は相変わらず長い停滞のままだ。
株式や不動産の売買は長い間虚業という位置づけだったが、製造業が衰退すればこうした虚業以外に成長余地はない。
何しろ株式の上昇や不動産価格の上昇は物価の計算の外にあるから、消費者価格は安定したままでお金持ちが増えるという構造になる。

注)FRBがいくら資金を市中に巻いても物価上昇につながらないのは、その資金がほとんど株式や不動産の購入に向けられるからで、本当はひどいインフレなのだが現在の経済学ではこれをインフレとは言わない

 当然のことだがこの好景気で恩恵を受ける人々はもともと高所得層の人になる。金融機関から資金調達が可能なのはヘッジファンドや医者や弁護士と言った上流階級の人たちで、こうした人々はほとんどただの資金を使用して投機ゲームに参入している。
一方貧しい人たちは資金調達の埒外だからいくら好景気と言っても静かにそのおこぼれを待つしかない。

 NHKが最近放送した海外ドキュメンタリー番組で、アメリカのリッチ・ヒルという町の住人を取材していた。名前を聞いたときはビバリーヒルズのような高級住宅地を連想したが、実際はかつての炭鉱の町で住民は最盛期の4分の1の1400名だと言っていた。
リッチ・ヒルと命名されたのは、かつて炭鉱が好景気に沸いたとき石炭こそが黒いダイヤだったのでこの名前が付けられたようだ。

 ここの若者は未来に対し完全に絶望し、取材した家庭はほとんどが崩壊して家の周りにはごみの山がつまれていて内部は衣類や寝具が散らかっていた。
貧しい生まれのものは半永久的に貧しいので努力を一切しないという情景だったが、これは無理もないのだ。

 こうした若者が未来を切り開く手段はまず中産階級になることだが、アメリカの中産階級とは(日本でも同様だが)大手企業の工場労働者になることだ。
高校を真面目に卒業して大企業の労働者になって年齢を重ねれば中間管理職になれる。
家も自動車も買えて子供たちは大学に進学させられるのが中産階級の典型だが、アメリカから工場が消えて久しい。

 下層階級の人間がいっぺんに上流階級にはなれないから、こうしたステップを踏むのだが、リーマンショック以降の金融緩和策は上流階級の救済策になっても下層階級には何の恩恵も受けられないままだ。
おかげでオバマ大統領の支持率は低下したままで、アメリカの富の分配はここ100年で最悪になった。

 FRBも金融緩和策の負の側面が大きくなりすぎたので、「いくらなんでもこのあたりで量的緩和策を終了しよう」ということになったが、おかげで株式市場は上を下への大騒ぎで、ちょっとした情報で株価は上昇したり下降したりしている。
アメリカはこうして量的緩和策を終了させたが、一方で日銀がFRB並の量的緩和に乗り出した。
年間80兆円の資金を供給するというのだから半端ではない。仮に今後5年間継続すると400兆円規模になり、すでに供給した分を含めれば460兆円規模になる。

 株式相場はいっぺんにはしゃいで一時875円も上昇し円安も進んだが、安倍政権としたら消費税増税で落ち込んだ消費支出を輸出の増大で補おうとする苦肉の策だ。これで円安がさらに進み日本の輸出産業が大復活するだろうとの読みだが、アメリカと同様に株式と不動産市場の上昇に終わる可能性が高い。
何度も言って恐縮だが、高度に発展した資本主義体制を維持するにはこの紙幣印刷経済しかないのだが、富めるものをさらに富ますだけになり、貧富の差は拡大していくことになりそうだ。

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