(26.10.29) 電力会社のサボタージュ 「再生エネルギーの買取りは保留だ!!」
九州電力を含む大手電力会社5社が再生可能エネルギーの新規買取を保留するという記事を見て何のことか分からなかった。
保留というのは「買取は行うが今はできない」という意味だが、現在の買い取り制度は強制的なものだと私は思っていたからだ。
政府の実施している制度は2012年から始まった固定価格買い取り制度といって、「電力会社は売りたい人がいれば無条件で受け入れ、その価格は政府が国民に負担を求める」というものだったはずだったから、「電力会社は懐が痛むわけでないのだから保留する理由がないではないか」と思っていた。
だがどうやらことはそんなに簡単ではなく、はっきり言えば電力会社はこの買い取り制度をできるだけサボタージュしたいと考えているようだ。
理由は電力の安定供給に支障をきたすからだというのだが、たとえば太陽光発電などは発電量が不安定なため需給調整に使えず、通常需給調整は火力発電で行う。
電力の供給と需要合わせるのが安定供給のポイントだが、再生可能エネルギーが増えるとその作業ができないという。
このあたりになるとひどく技術的な説明になって私などは何が何だか分からないのだが、火力発電所や原子力発電所と言った電力会社が管理運営しているところと、太陽光発電と言った電力会社の外で行われている発電量の調整がうまくいかないということらしい。
「太陽光発電は天候に左右されるが、その天候を読んで発電量の調節が難しいのです」との説明だ。
日本の再生エネルギーのシェアは2%程度だし、海外では20%程度の国がいくらでもあるのだからなぜ需給調整ができないのか不思議だが、ともあれ九州電力等の説明は需給調整の問題だという。
だが本当の問題は送電網の整備が進んでいないことにあるようだ。せっかく太陽光発電で電力ができても送電網がなければ消費地に運べない。
ところがこうした送電網の投資額は全体で7兆円規模になりこれは電力各社の負担になる。
「ばかばかしい、なんでこうした不安定な再生可能エネルギーに左右されなくてはならないのだ。我が国には完全に確立した火力発電設備と原子力発電設備があるではないか」
だから電力各社は「保留」といってサボタージュをはじめたのであり、買取は義務づけられているのでするつもりだが、技術的な問題があってそれをすぐにするわけにいかないとの説明になっている。
この技術的な説明は素人には非常に分かりずらく、私などいくら図表を見せられても理解不能で簡単に言えば「やだよ!!」ということのようだ。
本質的な問題は日本のエネルギー需要はほとんど増えずかえって減少するような状況下で、あり余った火力発電所や原子力発電所を使用せず、なぜ再生エネルギーの買取りばかり推進するのかということだ。
これを実施するには送電網を整備しなければならず、しかも消費者には価格を転嫁する必要のあり、「何かいいことがあるのですか?」というのが本音だろう。
もともとは温暖化対策で始めた事業だが、温暖化対策に熱心なのはヨーロッパだけで、中国もアメリカもインドも全くと言っていいほど無関心だから、日本政府としてもこの再生エネルギー政策に邁進する必要はなく、ここいらで見直しをしようというのが実態のようだ。
だからこの時期に電力会社が「保留」といいだしたことは、(政府が言い出すと対外的に支障があるので)どうやら日本政府と電力各社とのできレースのようだ。
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