« (26.10.14) 人民解放軍は戦前の関東軍  習近平氏は人民解放軍を抑えられない | トップページ | (26.10.16) クローズアップ現代 防犯カメラによる誤認逮捕 »

(26.10.15) 資源バブルの時代の終わり ついに原油価格が下がりだした

221018_042 

 ここにきて原油価格が下げ止まらなくなった。
この6月にはWIT価格で1バーレル107ドルしていたのに直近時で82ドルと2割以上も低下している。
原因は錯綜しているが最大の要因は資金面と実需面で説明できる。

 資金面ではアメリカのFRBが昨年まで続けていた量的緩和策を段階的に縮小してきたことが大きい。
FRBは昨年まで850億ドル約9兆円)規模で毎月資金を市場に放出していた。担保は国債とサブプライムローン債権で、後者は完全に紙幣の印刷と変わりがない。
それがこの10月には150億ドルになり、11月にはゼロになりそうだ。

注)アメリカの金融緩和策の詳細は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-6d1d.html


 この影響はすさまじくヘッジファンドは利益が見込めない投資から足を洗いだした。具体的には原油や鉄鉱石や銅鉱石と言った資源関連の投資である。
特に最近になって下げ足が速いのが原油で、原油は現在過剰になりつつある。
アメリカはシェールガス革命で輸入国から輸出国になってしまうし、ヨーロッパ経済は全く不調でほとんど成長が止まって原油どころではない。
さらに中国は景気減速が著しくそれでも最近までは鉄鋼生産を続けてきたがついに減産に踏み切った。いくら生産しても需要者がいないのだから生産された鋼材は倉庫に積み上がりもはや置いておく場所もないくらいになっている。
鉄鋼だけでなく銅や非鉄金属も同じで最終需要者がなくなって生産しても売る先がない。
当然燃料の原油もいらなくなる。

 かくして世界中で資源を買いあさっていた中国企業がぱったりと新規購入を止め始めたので(資源は長期契約を結んでいるからすぐに輸入が激減はしないで新規の購入から減る)、世界中から中国人バイヤーが消えてしまった。
今でも天然ガスや石油を購入しているのは原発事故で原子力発電を火力発電に変えねばならない日本ぐらいだ。

注)資源バブル時代が終わったことは前にも記載してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/26101-07f3.html

 潮目が変わったのだ。中国は怒涛のごとき経済成長を遂げていたがそれも限界がきた。日本の経済成長は1990年初めのバブル崩壊で収束したが、中国経済も不動産バブルの崩壊で今収束しつつある。
中国のどの大都市でも閑古鳥が鳴いている新興住宅街が林立し、ちょうどバブル崩壊後の日本住宅公団の団地ようになってしまった。

注)中国の不動産市場の崩壊については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/nh-dfe6.html

 中国のGDPは見かけ上7.5%程度と著しいが、これは統計のマジックであって中国では生産すればそれが売れようが売れまいがGDPにカウントしている。
これは中国が社会主義国家だったころからの統計手法で、社会主義国家の計画経済では生産されたものはすべて売れるとの前提に立っている。
だからマンションが建設されれば当然GDPにカウントされるが、実際は販売されないため販売会社(融資平台という第三セクター)には累積赤字が雪だるま式につみあがる。

 かくして資金面と実需面の両者の要因で世界の資源価格がここに来て失速し、もはや資源の時代が終わったことを示している。原発事故で火力発電に頼りっきりの日本にとっては思わぬプレゼントがされたのと同じだ。

 


 

|

« (26.10.14) 人民解放軍は戦前の関東軍  習近平氏は人民解放軍を抑えられない | トップページ | (26.10.16) クローズアップ現代 防犯カメラによる誤認逮捕 »

評論 世界経済 アメリカ経済 シェールガス・シェールオイル」カテゴリの記事

コメント

エネルギー問題に関しては大半、砂を噛むようなおもいできました・・・が
山崎さんが言うように、風向きが変わるのかしらん?

投稿: 枯れ葉 | 2014年10月15日 (水) 21時42分

この記事へのコメントは終了しました。

« (26.10.14) 人民解放軍は戦前の関東軍  習近平氏は人民解放軍を抑えられない | トップページ | (26.10.16) クローズアップ現代 防犯カメラによる誤認逮捕 »