(26.10.1) 資源バブル時代の終わり 住友商事の果敢な撤退
ここに来て日本企業の資源戦略に転換期が訪れたようだ。住友商事がアメリカのシェールオイル事業で1700億円の減損を計上し、それ以外にブラジルの鉄鉱石事業で500億円、オーストラリアの石炭事業で300億円等合計で2400億円の減損処理を実施するという。
減損処理とはあまり聞きなれない言葉だが、ほとんど評価損と同じ意味でたとえば不動産を100億円で購入したが市況が悪化して50億円でしか販売できないと判断した段階で50億円の損失を計上する。ただし厳密に言うと減損処理は固定資産について行うことが多い。
住友商事にとってはひどい誤算だ。特にシェールオイル事業は2012年に投資をした案件でわずか2年で失敗を認めることになった。現経営者の経営責任を問われても仕方がない案件だが、一方で果敢に減損処理を実施して資源戦略を見直そうとの態度は評価できる。
今年に入ってから資源価格はいずれも低下局面に入ったがその最大の要因は中国が資源の輸入量や投資を手控え始めたからだ。
それまで中国は世界の石油、鉄鉱石、石炭を買いあさっていたが中国経済が急ストップしてしまったために最終需要がなくなっている。
注1)鉄鉱石価格の推移は以下参照
http://ecodb.net/pcp/imf_usd_piorecr.html
注2)石炭価格の推移は以下参照
http://ecodb.net/pcp/imf_usd_pcoalau.html
もちろんそれでも中国鉄鋼メーカーなどは売れなくても生産をし続けたがただ在庫が増大するばかりで日本だったら倒産してしまう。
しかし中国は主要産業が国有だから政府から赤字資金の手当てができるので全く気にせず生産を続けてきた。
ちょうど昔の日本の国鉄が旅客がいようといまいとお構いなしに列車を走らせていたのに似ている。
「見よ、倉庫にはこれだけ鋼管がつみあがっている。だから我が国の経済は順風漫歩だ」
注)中国の統計処理では生産を行うとそれをGDP統計に計上している。売れるかどうかはお構いなしなのだ。
しかしさすがに使われない鋼管を作り続けることに疑問を持ち始めた。第一保管する場所がなくなる。
「もしかしたら生産を縮小する必要があるのではないだろうか・・・・・」
こうして世界中から中国人バイヤーの陰が消えつつある。
注)原油価格が低下し始めた原因分析は先に行っておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-03c8.html
住友商事はこうした世界の資源戦争の動向を見抜いて、さっさと撤退したといえる。住友商事以外でも伊藤忠や大阪ガスが14年3月期にシェールガス関連で同額の290億円の減損処理をしていたが、それに比べると住友商事の判断はドラスティックだ。
「もはや資源の時代は終わった」
私は「さすが関西系の商売人で利にさとい」とこの判断に感心した。
かつて日本が不動産バブルにまみれていたころ、どの土地を購入しても価格は上昇したが、バブルがはじければ富を生まない不動産以外は急落した。
今までねこも杓子もシェールガスや鉄鉱石や石炭に殺到していたが、中国経済の失速に伴い世界的な資源バブルの時代は終わったと言っていい。
別件)第4回ちはら台・おゆみ野ハーフマラソンのお知らせ(一部コースの変更)。
以下の日程でハーフマラソンを開催いたします。
① 10月5日(日曜日)
② 午前10時スタート(雨天決行.受付は9時半から)
③ スタート・ゴール ちはら台走友会のかずさの道の集合場所(前回と同じでセンドーのうえ。地図参照)
下記のルートを一部変更しております。当日かずさ道で敬老会が行われるそうで調整を行ったものです。具体的なルート変更は当日説明いたします(26.9.28)。
ルートは以下の地図で確認できます。
http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=6d18ea2157947c484ad9c4ec04b246ef
④ 費用300円(実費)
⑤ 参加希望者はこのブログのコメントかメール機能を使用して参加希望を連絡してください。
⑥ なお本大会はすべて自己責任です。
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