(26.8.23) ロドリゴ自転車周遊記 その4
(フェリーの甲板から)
注)「ロドリゴ自転車周遊記のその1、その2、その3」は以下のカテゴリーに入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat59333968/index.html
翌天明7年8月7日の正午過ぎにロドリゴが乗った北前船は蝦夷地の苫小牧港に午後2時に到着いたしました。約20時間の船旅でございましたが北前船の甲板に吹く風は涼よかで、確かに蝦夷地に到着したことがロドリゴにも明確にわかりました。
「やはり、夏場は蝦夷地に限る」心からそう思ったものでございます。
苫小牧とはアイヌ語の「トコマナイ」がなまったもので「沼の奥にある川」という意味で、ウトナイ湖から流れ出している勇払川を指しているのでしょうが、現在は埋め立てが進められて蝦夷地の誇るコンビナート地帯に様変わりしておりました。
このコンビナート地帯はジパングが高度成長期に北の一大工業地帯にしようとして計画したものでございます。
しかしその後の長い不況から最初に開発された西部地区はなんとか販売ができたものの、その5倍はあると思われる東部地区はまだ8割程度が買い手がなくぺんぺん草が生い茂っておりました。
そして販売済みの団地もただそのまま放置されている場所が多く、この工業団地計画が時代から取り残された無残の姿をさらけ出していたのでございます。
ちょうど芭蕉翁がうたった「夏草や つわものどもが 夢のあと」でございました。
だがロドリゴにとってはそうしたことはどうでもよいことで、気温が25度程度で関八州の地獄を見てきた身からするとまさに天国に降り立った気持ちがしたものでございます。
ここ苫小牧から支笏湖方面に国道が伸びており、支笏湖のわきにそびえる恵庭岳(1320m)が美しい山容が見えるはずでしたが、あいにくの雨模様で確認することはできませんでした。
「よっしゃ、今日は支笏湖のキャンプ場でキャンプを張ろう」
(支笏湖)
この国道沿いには自転車と歩行者専用の遊歩道が支笏湖周辺まで通じていて距離表示まであって非常に快適なサイクリングが楽しめたのでございます。
支笏湖までの距離は30km程度の上りで3時間もあれば到着したのでございますが、その間このサイクリングロードで会ったライダーはたった一人で江戸界隈、特に多摩川や江戸川のサイクリングロードを見なれているロドリゴには異郷の地に来た思いでございました。
夕刻支笏湖湖の温泉地帯に到着しましたがすでに店じまいの様相で、楽しみにしていた温泉に入ることはできませんでした。
致し方なく近くにある休暇村支笏湖に行ってみましたがここではキャンプは禁止になっておりました。
そうした場合は人知れず誰もいない場所でキャンプを張るしかないのですが、ここ休暇村には支笏湖を見下ろす展望台がありそこは屋根が付いておりましたので、人が現れなくなる時刻を見計らってそっとテントを張ったものでございます。
(蝦夷地の道路 自動車以外人に会うことはほとんどない)
幸い蝦夷地では夕刻になると人が現れることは全くなくなり、後はヒグマが徘徊する漆黒の闇に閉ざされます。ロドリゴはそうした場所でキャンプを張る方が人声がする場所よりはるかに落ち着くのでございます。
「やれやれようやくヒグマと一緒に寝ることができそうだ」
こうして支笏湖の楼台でその日は久しぶりに安眠ができたのでございます。
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