(26.8.30) しっかりしてくれNHKの「国際報道2014」 中国不動産価格は1年前から崩壊してるよ!!
私はNHKのファンであり、普段はNHKの番組しか見ないのだがそのファンにとってもNHKの報道能力が低下したのではないかと危ぶまれる事象が発生している。
先日NHKの「国際報道2014」が「下落する中国不動産 今なぜ」という特集を放映したのだが、この番組の内容のレベルが低すぎるのだ。
注)報道の詳細は以下参照
http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2014/08/0827.html
報道は2014年8月に中国当局が発表した主要70都市の不動産価格の推移を基に、7月に約90%の都市で下落したことから不動産市場に異変が生じていると報じたものだ。
私が信じられなかったのは「国際報道2014」というような看板番組で、中国政府発表の統計数字を基に分析していることで、これでは中国経済の分析にならない。
中国の統計数字、特にそのうちのマクロ数字で報告者にとって出世に関係する数字はすべて政治的数字だということは、李 克強首相が自ら認めており、「私はGDPなど信用していない」と言っている。
それは当たり前で報告者とそれによって評価を受けるものが同一人物だと報告数字を自分の都合に合わせて改ざんするのは当然だ。
注)李 克強氏は独自に分析する方法を説明しており、それを李克強指数という。日本政府がその指数を基に中国経済を分析している。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-cc65.html
問題は不動産価格数字についてもそれがいえて、中国の地方政府は土地の借地権の販売と、第3セクターの投資平台のマンション販売が収入のほとんどになっている。
考えてみてほしい。マンションの販売会社が「今は需要がさっぱりで不動産は投げ売りです」というかどうかだ。
反対に「現在でも順調に販売されていて、来年度は40%程度の値上がりは確実です」なんて顧客を誘導するのが普通だ。そうでなければ不動産は売れない。
今地方政府にとって不動産価格を維持することが最大の政治的イシューになっている。
だから中国政府発表の不動産指数は粉飾されているのだが、これは表面価格は下げずに実質値引きをして、価格そのものは表面価格を報告しているからだ。
「お客さん、これは内緒ですがお客さんだけに30%ディスカウントで販売します。しかしこれは他の顧客には絶対内緒ですよ」という具合だ。
注)中国の統計数字のでたらめさについては中国統計当局の責任者も怒り狂っている。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-c9d4.html
だから中国政府発表の不動産価格の推移を見ていて中国経済の分析をしてはいけない。この数字は地方政府幹部が何を考えているかの心理学の数字だ。
私がNHKにがっくりしたのは、「今なぜ」などという報道をしたことで、不動産価格が投げ売り状態なのはすでに1年前から誰でも知っている事実だ。
国際報道は愛知大学教授が今回中国各地を回ってレポートしているのだが、「今なぜ」なんて言うレベルの報道しかできないのは、中国政府発表の指数がようやく最近低下し始め、それも1%以内という信じられないような数字を出しているのだが、それを前提にしているからだ。
英フィナンシャル・タイムズをみてほしい。NHKが「今なぜ」報道をしているときに以下のように報じた。
「天津市郊外の数百百億元(500億元とすると約1兆円)投資をしたオフィス地区が荒れ果てゴーストタウン化している。建設中断のビルも多く2010年に最初のビルが完成して以来今なお入居者がいない」
中国不動産市場が崩壊し、各地に鬼城と称するゴーストタウンが出現している。
また理財商品という高利回り商品を販売して、不動産会社が在庫資金を調達し何とか倒産を免れようとしていたことは承知の事実だ。
だから「今なぜ」ではなく、国際報道が報じるなら「バブル崩壊から1年、中国不動産市場の現状」というような報道になっていなければおかしい。
私はNHKの熱烈なファンなのに、中国政府発表を待たなければ経済分析ができないとはNHKも情けないものだ。
注)現在の報道の先端は中国経済がいつどのような形で崩壊するかに移っている。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-a3c5.html
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