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(26.7.17) イスラム国の独立とサイクス・ピコ協定の破棄 「100年のくびきを絶つ!!」

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 サイクス・ピコ協定などと言われても、高校生の時に世界史を学ばなかった人は何のことかさっぱり分からないだろう。
第一次世界大戦の最中にイギリスとフランス(のちにロシアも加わる)がオスマントルコの領土について分割協議をした秘密協定のことである。

 現在シリアとかイラクとか言われている場所は当時はオスマントルコの領土だった。オスマントルコはドイツ・オーストリアの同盟国側に立ってイギリス・フランス・ロシアと対抗して参戦していたが、その様子は映画「アラビアのローレンス」に詳しい。
ローレンスがベドウィン部隊を率いトルコの要塞都市アカバを攻略するシーンはラクダにまたがるローレンスの雄姿が焼き付く場面だ。

注)オスマントルコの宿敵はロシアだったのでロシアと戦争状態になった同盟国側にトルコは参戦した。

 だが考えてみればまだ大戦の最中に終戦後の植民地分割案を決めるというのはイギリスもフランスも相当こすい。現在のシリアはフランス領にそしてイラクはイギリス領にと決めたのだが(黒海沿岸はロシア領とした)、実際両国がこの大戦で勝利するとサイクス・ピコ協定のようにオスマントルコの領土は分割された。

注)正確に言うとイギリスは他にアラブとユダヤに対して別個の約束もしていたので、サイクス・ピコ協定通りにオスマントルコの領土が分割されたわけでない。

 こうしてシリアとイラクという植民地国家ができたのだが、第二次世界大戦の後の植民地解放のうねりの中でそれぞれの植民地は独立していった。
だがその後作られた国家は旧宗主国との妥協の産物だったから、宗主国と協調できる独裁者の支配する国家になってしまった。
イラクのフセイン、シリアのアサド、エジプトのムバラク、リビアのカダフィ、チュニジアのベンアリ等はすべて旧宗主国(のちにはアメリカ)の実質的支援のもとに独裁政治をしていたと言っていい。

 はっきり言えば「君たちがわが国の石油資本(経済権益)を保護してくれるならば、君たちの独裁には目をつぶって経済的軍事的支援をしよう」ということだ。
しかしこうした蜜月関係もアルカイダの2001年ニューヨークのテロ攻撃や、カダフィ大佐のように独裁者自身が民族主義に目覚めた政策をとったことから欧米との関係がぎくしゃくするようになってきた。

 そして3年前のアラブの春では欧米が独裁者を見限ったために次々に独裁政権が打ち倒され、その後には宗教色の強いイスラム政権が樹立された。
イラクはシーア派のマリキ政権、エジプトはしばらく前まではムスリム同胞団、リビアやチュニジアは宗教勢力と現世勢力が拮抗して武装闘争をしている。
シリアはまだアサド政権がアルカイダ系武装勢力と戦っているが、ここではテロとの戦いを支援しているのがロシアで、一方テロ組織を支援しているのがアメリカとヨーロッパというひどいねじれ現象が発生している。

 独裁者が倒され民主的な選挙をすれば当然圧倒的多数は教育がないが宗教心が強い大衆が占めているのだから、イスラム宗教国家ができる。
このあたりまでは欧米列強も「選挙結果は重視せざる得ない」という投票民主主義の立場をとってきたが、シリア内戦で実力を蓄えたスンニ派の過激派組織がイラクに攻め入り、シリアとイラクをまたがるイスラム国の独立宣言をしたのには度肝を抜かされた。

注)イラクのマリキ政権が実質的に崩壊したことは前に記した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-22fb.html

 しかも独立宣言で「サイクス・ピコ協定は破棄された」と主張しているから100年を経てオスマントルコのイスラム国家が復活したことになる。
何しろ指導者はカリフ宗教的指導者)というのだから、オスマントルコそのものだ。
現在のトルコはオスマントルコの末裔ではない。西洋に屈した豚だ。我々こそオスマンを復活させる」と意気軒高だ。
最もこの国家は今のところどこも承認していないから、とりあえずは言ってみただけという状況だが、イスラム過激派集団が何を目指そうとしているか明確に分かる。

 西欧列強にとっては独裁者がいるころの方がまだ話し合いができるだけましだった。イスラム宗教国家になるとイスラム教国とキリスト教国の宗教戦争になるから、妥協のしようがない。
イスラムが復権し、1000年前の十字軍の昔に戻ってしまったような錯覚を持つ。

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