(26.7.25) パックスアメリカーナの終焉とウクライナ、ガザ紛争 誰も止める人がいない!!
アメリカが世界の警察官を止め、パックスアメリカーナの時代が終わったとたんに世界中で一斉に紛争だらけになってきた。
もちろん今までも紛争はあったのだがアフリカのソマリアやコンゴと言ったいわば辺境の地での紛争で、どちらに転んでも問題のない地域が多かったが、今やウクライナ、イスラエル、中国と言ったれっきとした国家が紛争の中心になっている。
最近特に喧しいのがウクライナとイスラエルで、こうした重要な拠点の紛争は従来はアメリカが出っ張っていって「まあ、ここはあっしの顔をたててひとまず矛を収めておくんなせい」なんて言えばそれなりに問題が解決した。
しかしアメリカがシリア制裁に失敗し全く軍事力による仲裁の気持がないことが分かってから、誰もアメリカのいうことを聞かなくなってしまった。
注)ウクライナ上空でのマレーシア機撃墜事件については前に記した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-afae.html
パックスアメリカーナを支えるためには経済、政治、そして軍事による抑え込みが必要なのだが、今は経済と政治による抑え込みしかできず、軍事力の行使はなされないからどこからも足元を見られている。
ウクライナ問題ではアメリカとその同盟国がロシアに対する経済制裁を発動しているが、紛争を止める効果はない。経済制裁は確かに一定の効果はあるが、はっきり言えば耐えられるもので、イランや北朝鮮などは数十年にわたって経済制裁を受けているが意気軒昂だ。
また政治制裁では先進国首脳会談からロシアを閉めだしたが、さっそく中国と図ってBRICS首脳会談を開催し、BRICS開発銀行を設立していた。
「おれにゃ、まだ強い味方があったんだ」中国・ロシアの嫌われ者同盟を結成している。
ウクライナにロシアは実質的に軍事侵攻しているが、この動きにアメリカが軍事的に対抗できない以上はウクライナ問題はロシアの思うがままだ。
イスラエルについてはひところまではアメリカの顔を立てて仲裁に応じるのがイスラエルの対応だったが、この8日から始めたガザ侵攻については、ネタニアフ首相はアメリカのいうことを全く聞く気がない。
「今回はガザにあるハマスの拠点を徹底的につぶして、二度と立ち上がれなくしてやる!!」
イスラエルが十分と判断するまでガザ地区への侵攻はやまないだろう。
ハマスは本部を病院や公共施設に設置しそこからロケット弾を撃ち込んでいるから、イスラエルの攻撃も病院やその他の公共施設になりすでに700名近い住民が死亡している。
国連は即時停戦決議を採択しようとしているが、イスラエル非難はアメリカが拒否権を発動するので単に「喧嘩は止めなさい」程度の決議案しか出せない。
パックスアメリカーナの神髄は経済と政治だけではない。最後の手段としての軍事力が必要で、どうしてもいうことを聞かない相手には軍事侵攻を行って相手を黙らせるのが、パックスアメリカーナだ。実際ブッシュ親子はそうしてイラクを黙らせた。
しかしアメリカが軍事力を行使しないことが分かるとロシアのプーチン大統領、イスラエルのネタニアフ首相、そして中国の習近平主席が自由気ままに軍事力を行使するようになっている。
今思えばパックスアメリカーナの時代は気楽な時代だった。「アメリカおじさん、あの子がいじめっ子なので懲らしめて」と言っていれば済んだ時代だ。今や地域の強国は思いのまま軍事力を行使するから、周辺国はこの軍事的圧力に対抗するための措置が必要になっている。
簡単に言えば自衛力の強化が必要で、日本が自衛力を強化しなければならないのはアメリカの時代が終わったからだ。
幸い安倍首相はそうした世界の動きにキャッチアップしているから救われれるが、民主党政権が続いていたら日本は韓国並みに中国の属国に落ちていたろう。
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