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(26.6.17) バクダッドを死守せよ!!  イランとアメリカの意外な共同戦線

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昨日の敵は今日の友」とはよく言ったものだ。互いに鬼畜として罵り合っていたイランとアメリカが手を携えてイラクのマリキ政権の支援に乗り出した。
ただしイランは本気で革命防衛軍の精鋭部隊数千人を派遣したが、アメリカは及び腰でリップサービスの水準にとどまっている。

 ISIL(イラク・レバント・イスラム国)などという集団はつい最近までは無名だったが、もともとはイラクの北部のスンニ派地域を拠点とした過激派組織で、まだアメリカがイラクに駐留していた二年半前まではアメリカ軍が掃討作戦を展開して組織を押しつぶしていた。

注)ISILの名前の由来はイラクと地中海沿岸(レバント)地域を包含したイスラム国家を建設すると言う意味

 このISILが勢力を挽回したのは、12年夏から始まったシリア内戦で反政府軍の精鋭部隊として活躍したからで、シリア北部とイラク北部を完全に制圧して今度はイラクの首都バクダットに進軍を始めた。
ISILはイスラム教の教義を厳格に適用する原理主義者の集団だが、アルカイダより原理主義的で、女性にはニカブ全身を黒い布で覆って目だけ出した衣装)を義務付け、窃盗犯は手を切り落とす等イスラム法の原則を守っている。

 何か中東には次々にイスラム原理集団が現れて急進化するので、いままで厳格なイスラム法の適応を義務づけていたイランなどすっかり「世俗化した堕落集団」とISILに見なされている。
私などスンニ派とシーア派の対立などといわれても何が対立軸かさっぱり分からないが、過激派と世俗派との対立はよく分かる。

注)イランの宗教政策については前に記事を作成してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-c824.html

 この宗教対立と石油の利権をめぐっての対立軸が相互に作用するのが中東だ。だからイラクの油田地帯キルクークの制圧を誰が行うか注目されていたが、マリキ政権の守備隊が逃げた後キルクークを制圧したのはクルド人治安部隊だった。
現在イラクは3つの勢力に分割されており、バクダットより南は貧しく何もないマリキ政権のシーア派の地盤、シリア北部からイラク中部をISILが抑え、北部を石油利権とともにクルド人が抑えている。

 一時期ISILはバクダッドの北80km地点まで進軍し、「バクダット陥落」もあるかもしれない情勢になったが、イラクのマリキ政権を実質的に支援してきたイランが本格的な軍事介入に踏み切ったので、なんとかISILの進軍を押しとどめている。
アメリカも空母ジョージ・ブッシュをペルシャ湾に派遣し、無人機による空爆を示唆しているが、これはバクダットが陥落しそうになった時の最後の手段で、イランが本格介入した以上アメリカの出番はなくなりつつある。

 考えてみればアメリカはイラクで愚かな戦争をしてきたものだ。2003年のイラクへの進撃以来8年余りも軍隊を駐留させてきたが、その結果はアメリカの敵イランの傀儡政権を樹立させただけだった
もともとは石油利権確保が目的だったが、アメリカではシェールガス革命が進展し中東の石油の魅力は全くなくなった。
もうどうでもいいから勝手に戦争をしてくれ」というのがオバマ政権の本音だから、マリキ政権支援はリップサービスにとどまるのも已むおえない点はある。

 このまま行くとイラクは実質的に3分割されるだろう。クルド人支配地区、スンニ派のISIL支配地区、そしてシーア派のマリキ政権とそれを支援するイランの支配地区だ。
前にも書いたがアメリカが世界の警察官を降りてからは世界中で騒乱が始まっている。
ウクライナでは親欧派と親ロ派の対立で国が二分されつつあり、中国ではウィグルでイスラム原理主義者がウィグルの独立を画策してテロを強化している。
一方その中国はアメリカが動かないのをいいことにベトナム、フィリピン、日本から領土を掠め取ろうとしているといった具合だ。

 今まではアメリカが出張っては「まあ、ここはあっしに任せなせい!!」なんて言って納めていたが、世界の警察官がいなくなった以上世界各地で騒乱が始まるのは致し方がない。
パックス・アメリカーナの時代が終わって世界は地域の覇権争いになってしまった。

 

 

 

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