« (26.6.12) がんばれ、日本再生計画!  安倍首相の執念の取り組み | トップページ | (26.6.14) シャープの大復活の予感 アベノミクスの効果とシャープのリターンマッチ »

(26.6.13) 文学入門 中村文則 「掏摸(スリ)」

Dscf6666

 中村文則氏と言っても私は普段小説を読まないから誰だかさっぱり分からなかった。
今回の読書会のテーマ本は中村文則氏の「掏摸(スリ)だという。私はスリなどという言葉はカタカナでしか書いたことがないから「掏摸」という漢字があることに驚いた。
スリという言葉は英語からきた言葉だと思っていたが、日本固有の言葉のようだ。

 この小説は2010年に大江健三郎賞を受賞しており、つい最近の作品で中村氏は30代の若さの新進気鋭の作者のようだ。
読み始めてみたが、すぐにこの種の小説を好まないことが分かった。何しろ腕のいい主人公の「というスリが如何にたくみにスリを行うかの手口が延々と書かれていてうんざりする。
金持ちを目ざとく見つける方法や指の使い方や集団で財布を受け渡す方法などだ。
中村さんにはスリの友達がいるんだろうか。しかしスリの手口を知っても何の役にも立ちそうにないな・・・・・

 しかしこの小説は途中から転調する。私はスリの指南書だと思って読んでいたら、急に日本の暗黒街のフィクサーが出てきて、この「」のスリの運命を変えていく。
転調はとその仲間2人が、ある押し込み強盗に引き込まれるのだが、当初は金だけが目当てと聞かされていたのに、実際は押し込んだ先の老人(保守派の政治家のようだ)の殺害が目的だった。

 3人には老人の愛人を縛るだけの役割が与えられそれぞれ報酬は500万円という破格なものだったが、これは3人が押し込みが失敗した時に犯人に仕立てられ殺されるダミーだったからだ。
そのことに気付いた仲間の1人は殺され「」も逃げるのだが、押し込み強盗を計画したフィクサー「木崎」は「」を逃さない。

 木崎につかまり「」は木崎の指示に従って3件のわけの分からないスリを命じられ、失敗すれば殺されることになる。「は懸命に努力して3件のスリを成功させるのだが、その報酬は死というものだった。
何ともわけの分からない理不尽な殺され方だが、木崎の哲学によると「人はすべて木崎の書いた筋書き通り行動し、そして生き死にも木崎の筋書き通りになる。「僕」はスリを成功させたことで死ぬという筋書きがかかれていたので死ぬことになるのだ」という。

 カミュの異邦人のような無意味な殺人と死が繰り返されるので、読んでいて非常に不気味だし読後感は最悪だ。
一体、この木崎とは何なのだ!!!!
アメリカ映画によくある権力の中枢による犯罪というような感じもするが、木崎はあくまでも裏に潜んだ悪で全能の支配者のようにふるまう。

 この小説の中で唯一興味が惹かれたのは木崎がにしゃべった挿話だった。
それは奴隷制度が残っていた時代のフランスの貴族の話で、すべての富と権力を手に入れて人生に飽きがきていた貴族がある試みを思いついた。
それは一人の美しい少年奴隷がいるのだが、この奴隷の生涯をすべて貴族の手で規定してしまおうということだ。

 貴族は少年の一生の筋書きを紙に書き、その通りに少年が人生を送るようにする。
少女との恋も別れも貴族の差金だし、有能なサーバントに仕立て上げられるのもそうだし、成人して貴族の奥方を誘惑して深い関係になるのもまた同じだ。
最後は自分の人生がすべて貴族によって記載された筋書きそのものだったことを読まされ、読み終えたら殺害されることになる。

 この小説のフィクサーは奴隷時代の貴族と同じ立場だというのだが、中村氏は一体何を書こうとしたのだろうか。この社会には隠れた権力が存在しそれに操られているといいたいのだろうか。
または全能の神のような存在があって、人の運命はその神によって操られるとでも言いたいのだろうか。
不気味な小説ではあるが私好みではないし、読書会のテーマ本でなければ決して読まない種類の小説だろう。

なお文学入門の記事は以下にまとめて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43898465/index.html

 

 

|

« (26.6.12) がんばれ、日本再生計画!  安倍首相の執念の取り組み | トップページ | (26.6.14) シャープの大復活の予感 アベノミクスの効果とシャープのリターンマッチ »

個人生活 文学入門」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (26.6.12) がんばれ、日本再生計画!  安倍首相の執念の取り組み | トップページ | (26.6.14) シャープの大復活の予感 アベノミクスの効果とシャープのリターンマッチ »