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(26.5.20) 長谷川慶太郎氏の軍事分析 「中国崩壊前夜」

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 長谷川慶太郎氏
といえば1980年代から2000年ごろまでは日本を代表するオピニオンリーダーで誰もが氏の言説に注意を払っていたが、21世紀になってからは全く精彩を欠いていた。
いくつか理由があるが、氏が鉄鋼業のような旧来の製造業にあまりに重きを置いて21世紀のIT革命の波にうまくフィットしなかったことと、かつてはあれほどあった政治家(竹下総理や小渕総理の実質的ブレインだった)との絆が薄くなったからだと思う。

 いわば忘れられた評論家と言った立場だったが最近になって急復活し始めた。中国の政治・経済・軍事分析で他の評論家の追随を許さないような鋭い分析を再び始めたからだ。
氏が最近出した「中国崩壊前夜 中国は分裂し連邦国家となり、朝鮮半島には(韓国主導の)統一国家が誕生する」という評論を読んで、氏の軍事分析の鋭さに驚いてしまった。

 日本には多くの経済評論家や政治評論家はいるが軍事評論家といえる人はほとんどいない。特に政治・経済と結び付けて軍事力の分析をできる人はいないが長谷川氏はそれができる稀有な人といえる。
なぜ中国分析に軍事分析が必要かというと、中国は共産党と軍部の間で厳しい対立があり、その力のバランスの上に対外政策が決まるからだ。

 これは旧日本軍と全く同じで、革命後60年余りたって毛沢東や鄧小平のような軍部を抑えられるカリスマ政治家がいなくなり、軍部の棟梁跋扈を抑えられなくなってきたからだ。
日本は明治の元勲がいなくなったころから軍が独自の行動を起こすようになり、関東軍のような国家内国家を形成したが、現在中国で起こっていることはそれと同じだという。

 中国には7つの軍管区があるがその中で最大の軍管区が北朝鮮国境に張り付いている瀋陽軍管区である。ここに中国軍の装備と兵隊の約6割が配置されているが、中国にとっての前線がここ北朝鮮でいつ何時在韓米軍と韓国軍が北朝鮮に攻めてくるか分からないとして、ここに装備の大半を集中している(日本から見ると攻めてくるのは中国と北朝鮮だが中国の見方は違う)。

注)軍管区とは日本のような陸・海・空と別れた組織でなくそれをすべて含んだような組織で、中国に7つの異なった軍隊があると思うとイメージがわく。


 ここからが長谷川慶太郎氏の独断場のような分析なのだが、北朝鮮を実質的に抑えてきたのがこの瀋陽軍管区で北朝鮮はその傀儡に過ぎないという。そして北朝鮮が行ってきたミサイルの発射実験や核実験はすべて瀋陽軍管区の指示のもとに行われてきたという。
北朝鮮のNO2だった張成沢氏は北京とのパイプではなく瀋陽軍管区とのパイプを待った人物で、張氏が粛清されたということは北京政府が瀋陽軍管区との闘争に一時勝利し、その結果として見せしめのために張成沢氏をパージしたというものだというのだ。

注)張成沢氏のパージについては日本では一般に以下のように考えられている。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-0ee7.html

 私などは「本当だろうか??と思ってしまうが、実際に軍部を北京政府が抑えていなかった事件は枚挙にいとまがない。
13年1月に中国海軍の艦艇が海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」に向けて火器管制レーダーの照射を行ったが、北京政府はこの事実を知らなかった。
中国外務省の女性スポークスマンが当惑しながら「我々が握っている情報は日本政府の発表した内容通りのものです」と苦しまぎれに答えていたが、本当は何も知らなかったのだ。

 また13年11月に経団連のミッションが北京を訪れて日中間の雪解けを演出したとたんに、その数日後に突如防空識別圏の設定を宣言した。
一方で日本資本の導入を期待しながら、同時に日本国民の背筋を寒からしめるのだから、「中国は精神分裂症にでもかかったのか」と思ったが、前者が北京政府で後者が軍部が行った行為で相互に全く意志疎通がないとすれば中国の行動も理解できる。

 長谷川氏によれば防空識別圏を設定してもそもそもスクランブル能力は中国空軍にはないので何の意味はないのだという。それでもこうした強硬姿勢をとるのは国内向けメッセージだという。
日中間の雪解けなど軍部は絶対に認めないぞ!!
軍隊というものは外に敵がないとすぐに軍縮の対象になり予算が削られるので、何としても日中間で戦争一歩手前の状況を作り続けなければならないというの中国軍部の立場だという。

注) 中国軍が如何に張り子のトラかの例として空母遼寧をあげているが、遼寧には35機の艦載機を搭載できるが実際に訓練を終えたパイロットは今現在5名だという。
一方アメリカ空母ニミッツには80機の艦載機が搭載されているが、配置されているパイロットは200名だそうだ。
これは3交代制で艦載機の運用を行っているためで、パイロットは飛行機の数の3倍いるというのが常識で、中国海軍は1機か2機の艦載機を飛ばすのがやっとで、これで「一体何ができるの」というのが長谷川氏の分析だ。


 政府と軍部との間には絶対的な壁があり、政府は如何に日中間のデタントを望んでも軍部が許さない構図はこれからも続くという。
党が強くなれば和解に走り、一方軍部が強くなれば対日強硬策が前面に出るという構図だ。
現在の状況は長谷川氏の分析ではシャドウ・バンキングの失敗で今は軍部がおとなしくなりつつあるのだという。

 シャドー・バンキングと軍部がどうして結びつくかというと、毎年初め各軍管区に予算配分されるのだが、それを使用するまで時間的余裕があるため、各軍管区はダミー会社を設立して短期の資金運用に乗り出した。ところが使用先の不動産投資が焦げ付き次々にシャドウ・バンキングが倒産の危機に陥ったのだが、習近平政権は俺のいうことを聞けばお前のシャドー・バンキングを救ってやる。もし拒否するなら倒産だ」と脅して、金で軍を抑えつけたというのだ。
瀋陽軍管区もそのうちの一つで、その証として瀋陽軍管区の北朝鮮の傀儡分子だった張成沢氏をパージしたという。

 北京政府と軍とは一触即発の関係にあり北京政府が政治・経済運営に失敗すれはすぐに軍管区ごとに独立してしまう機運にあると長谷川氏は見ている。
とても面白い見方で参考になったが、これが事実かどうかはこの先各軍管区が北京政府と対立し、長谷川氏の予想通り中国が分裂し各軍管区ごとに独立が行われるか否かによるようだ。

別件)1名生徒を追加募集します。
以下の条件に合致した場合はメール機能を使用して連絡ください。面接いたします

① おゆみ野在住者(遠距離ではやってこれない)
② 中学生、または小学高学年
③ 今教えられる時間帯は金曜日の5時からと、日曜日の9時からのみ
④ 
特に数学の特訓を受けたい人を歓迎します

募集の趣旨は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-e7bf.html

 

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コメント

お世話になります。長谷川慶太郎さんのことを書かれてますが、まったく精彩を欠いていたというコメントがありますが、それはいっさい見当はずれです。氏の言説は、いっさい変わりません。
マスコミの都合だけで取り上げたり取り上げなかったりだけで、氏の関心は、世界を動かすメカニズムは何か。軍事・技術・経済・金融・政治と国際情勢のカラミから、その先を読み込む、まさに先見力に氏の真骨頂があるのです。最近の中国・北朝鮮の関係もその主張は一貫しています。復活と言われますが、氏のように軍事を絡めてこの手の問題を分析「できる人間がいないので、氏に意見をもとめてくるだけで、氏の歩み・主張は一貫しています。また、氏は大平首相のブレーンです。86歳の現在も最新の情報を分析し、メカニズムを提示する先見性を持った国際エコノミストです。

投稿: 内田多栄 | 2014年11月 1日 (土) 12時56分

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