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(26.5.9) タイ式民主主義は存在するか? インラック首相の罷免

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 日本人のように西洋式民主主義になれている国民から見ると、タイの政争は何か一時代前の政治情勢に見える。
あえて言ってしまえば19世紀だ。

 タイのインラック政権は西洋式民主主義の目から見るとまぎれもなく正当性を持った政権だ。下院の選挙で多数派を占めて政権を運営しており、日本でいえば自民党のような立場だから、これに異議を唱えるならば再選挙しか方法がない。しかしタイでは選挙そのものが政権の正統性を保証するものでなく、憲法裁判所こそがタイの第一権力だというのだから、何とも信じがたい状況だ。

注)これまでのタイの政争の経緯は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-61a4.html

 実はタイは豊かで実際に権力を握っている国民と、貧しく虐げられてきたと思っている農民に分裂している。
もちろん圧倒的多数は農民だが、かつては農民が政治に介入することはなかった。貧しいがひたすらおとなしく国王を敬愛して生きていたといえる。

 その農民に火をつけたのがタクシン元首相で、コメの高価格買い取り保証で農民の心をつかみ投票場に向かわせることに成功した。その点は日本の農業政策とさして変わりがないが、問題は国王に対する忠誠心に疑問符を投げかけたことだ。
君たちを守っているのは国王でない。このタクシンだ。タクシン派が勝利しなければ君たちの未来はない。ぜひタクシン派に一票を入れよう
タクシン派は農業団体と左翼が一緒になったような政権で、タイの王制に対しては批判的だ。

注)表面きって王政打倒を叫ぶことはないが、何かと国王を無視して国王をいらだたせた。

 こうして選挙をするたびにタクシン派は勝利してきたのだが、おさまらないのは実質的にタイの政治と経済を牛耳っている資本家や高級官僚、それと農民の左傾化を恐れる国王と国軍だ。
タクシン氏が外遊していた時を狙ってクーデターを起こして追放し、そのあと2007年に驚くべき憲法改正を行っている。
タクシン派には必ず選挙で負けるから、上院と憲法裁判所の権限を強化して下院がタクシン派に牛耳られても反抗できる体制を整えておこう

 最高裁判所(憲法裁判所)の判事は上院が任命し、さらに上院の過半数は最高裁判所(正確に言えば判事を中心とする委員会)が選出する仕組みを構築した。
これで上院と最高裁判所(憲法裁判所)は鉄壁の保守派の牙城だ。タクシン派が下院で多数をとってもすぐに政権をひっくりかえせる

 13年12月にタクシン派のインラック首相が下院を解散して総選挙を実施することにすると、野党が反対し実際の選挙では約2割の投票所で投票ができなかった。
これを見た最高裁判所(憲法裁判所)がさっそく動いた。
14年2月に投票が行われた総選挙は違憲であって、選挙は認められな
インラック首相は仕方なく14年5月に再選挙を行うと発表したが、再び憲法裁判所が動いた。

 「3年前に行った国家警察本部長の起用と国家安全保障会議事務局長の更迭は行政に対する不法介入であり、憲法に抵触する。したがってインラック首相とその人事に賛成した9閣僚は直ちに辞任しなければならない
どこの国でも国家の中枢を担う人事は内閣の先決事項だ。国家警察本部長は日本でいえば警察庁長官と言った立場だし、国家安全保障会議は日本では内閣に置かれ議長は首相が務めている。

 こうした中枢の人事をインラック首相がいじったらそれを憲法違反と言って、首相と9閣僚を罷免してしまうのだから、タイの憲法裁判所の権限は内閣以上だ。
こんなべらぼうなことがあっていいのだろうか・・・・・西欧的民主主義の信奉者だったら、思わずタイを「司法独裁国家」(実質は権力者の手先)と規定してしまいそうだが、これがタイの民主主義でもあるという。

民主主義はある意味で衆愚主義に陥るが、それでもそれ以外の体制よりましというのが西洋民主主義の経験則だが、タイではこの経験則に異議を唱えて最高裁に絶対的な権力を与えている

別件)1名生徒を追加募集します。
以下の条件に合致した場合はメール機能を使用して連絡ください。面接いたします

① おゆみ野在住者(遠距離ではやってこれない)
② 中学生、または小学高学年
③ 今教えられる時間帯は金曜日の5時からと、日曜日の9時からのみ
④ 数学または英語でつまずきを感じている児童

募集の趣旨は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-e7bf.html

 

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