« (26.3.12) 危険水域に入ってきた日本経済 経常収支の赤字基調の定着 | トップページ | (26.3.14) ためしてガッテン 胃の慢性不調の原因が判明した »

(26.3.13) 日本の輸入天然ガス(LNG)の高価格体質  なぜか?

Dscf0010  
  なぜこんな価格推移になるのだろうか。天然ガスの地域別価格推移についてである。
リーマンショック後アメリカの天然ガスは5ドル前後、ヨーロッパでは12ドル前後、そして日本では18ドル前後で定着している。
日本が輸入する場合は液化しないと運べないからLNGにするための費用や輸送費がかかるのは分かるが、それにしては乖離が大きい。たとえばアメリカから輸入すると仮定するとそうした費用を加えてもヨーロッパ並みの価格になるはずだ。

注)天然ガスの価格推移については以下のグラフ参照
http://ecodb.net/pcp/imf_group_ngas.html

 専門家に言わせると日本を含むアジア向けは石油連動型の価格設定になっており、石油価格の上昇要因が大きいのだという。確かに石油価格はこのところ100ドル前後に張り付いたままだが、それならなぜ価格決定方式を変えないのだろうか。天然ガスは天然ガス独自の価格設定があってしかるべきだと私などは思うがそうはならないという。
これなども交渉力の問題だと私は思うが、まったく資源国にやられっぱなしだ。

注)石油の価格推移については以下参照
http://ecodb.net/pcp/imf_usd_poilwti.html

 もっとも日本の場合は特殊要因があって東日本大震災で日本の原発がほとんど停止してしまい、従来30%あったシェアを火力発電所が代替している。
震災前のLNGの輸入量は約7000万トンだったのが、現在は8700万トンだから約25%UPしているが、価格上昇要因の方が大きくトン当たり5000円が9000円まで上昇している。
価格上昇率は大げさに言えば2倍だ。

 天然ガスを輸入するには西欧のようにパイプラインで運ぶか、日本のようにLNGにして運ぶ以外に方法はない。
問題はLNGにする施設が整備されている国は少数で、日本向けは主にカタール、オーストラリア、マレーシア、ロシアである。そしてこの中で輸出余力を持っているのはカタールだけだから、電力各社は大震災後カタール詣でをしていた。

注)地域別のLNG輸入先は以下参照
http://bylines.news.yahoo.co.jp/fuwaraizo/20130829-00027509/

 日本の価格が世界標準からみて特に高いのは大震災後の需要で足元を見られたことが大きいが、それ以上に電力各社が価格引き下げ交渉をしてこなかったことが大きい。安定供給されれば良しとの態度だったが、それは輸入価格を消費者に転嫁できたからだ。
金はどうせ消費者が払うんだから価格はどうでもいい。ただ安定供給が大事です

 大震災前は原子力発電のウェイトは約30%で、それを50%まで引き上げるのが国の方針だった。LNGの輸入量は長期的には減少するとみられていたし、当時は円高でLNGの価格推移などはどうでもよいような状態だったことも確かだ。
しかし好事魔多しだ。大震災でそうした戦略が一気に崩壊してしまった。
原子力発電はゼロになってしまい、石炭火力発電所はこれ以上の電力供給ができなかったのでLNG発電が増産を始め、必要な燃料はカタール依存が高まった。

 今日本経済は嵐のただなかにある。ミクロ的には企業の業績回復が顕著だが、これは主として株式の含み益が増加したからで本業でのもうけが増えたとはいいがたい。
マクロ的には日本経済は完全に不調だ。貿易収支の赤字幅は月を追って増大しており、経常収支もここ4か月は赤字になって通年(13年4月~14年3月)でも赤字がほぼ確実になった。
飛行機でいえば乱気流に巻き込まれて失速しているが、飛行機の中で宴会している人はそれに気づかずはしゃいでいるようなものだ。

注)日本経済の現状については昨日も記載しておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-762e.html

 LNGの輸入量を減らさない限り日本再生の道はないのだから、安倍首相としては決断の時期が来ていると思う。たとえ反対が多くとも安全確認が取れた原子力発電所はその段階で再稼働させるべきだと私は思っている(ただし100%の安全保障はできるはずはないので、実際は政治決断という要素が強くなる)。

 

|

« (26.3.12) 危険水域に入ってきた日本経済 経常収支の赤字基調の定着 | トップページ | (26.3.14) ためしてガッテン 胃の慢性不調の原因が判明した »

評論 日本の経済 日本再生」カテゴリの記事

コメント

輸出が弱く、輸入品だけが値上がり貿易収支、経常収支の悪化が続いている。
これは、日本のエンジン出力の低下が基本の問題であり、当座の小手先の対策、 原発再稼動などでカバーできる問題ではない。

こと天然ガスに関しては、電力各社の必死の原料手当に対する不作為が大きい。
その不作為の根本原因は、消費者にコストを容易に転嫁できる仕組みにある。

しからば、コストを容易に転嫁できない仕組みにしないと抜本解決にならない。
発送電分離、電力の自由化対策等の政治決断が求められる。

 今、安全技術がないことがはっきりした、東電に原発の再稼動をさせることは、 「気違いに刃物」の類だろう。又安易に原発再稼動などを認めると、東電のゆでガエル体質が助長され真の改革が遅れるばかりだ。東電の膿は出ていない。

投稿: | 2014年3月13日 (木) 17時11分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (26.3.12) 危険水域に入ってきた日本経済 経常収支の赤字基調の定着 | トップページ | (26.3.14) ためしてガッテン 胃の慢性不調の原因が判明した »