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(26.3.24) BSドキュメンタリーWAVE 中国 pm2.5の戦いとその限界 上海市の事例

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  私は長い間中国人は大気汚染が好きなのだと思っていた。現在最も問題になっているpm2.5についても当初は北京のアメリカ大使館が発表していたのだが、北京の環境当局は「そんなものは存在しない」と居直っていたし、日本に飛来するpm2.5についても、「原因は我が国にはない」と言っていた。
だから私は中国人は大気汚染にめっぽう強く、世界中に大気汚染をばらまいて日本人のような軟な民族を絶滅させる戦略をとっているのではないかと疑ったほどだ。

 しかしさすがに北京上海の空がpm2.5によって視界がほとんどなくなり、住民でさえも危機意識を持つようになって中国当局もこの大気汚染の撲滅に乗り出すことになった。
李克強首相は中国政府の今年の9大目標の一つとして大気汚染撲滅」をあげ、「大気汚染企業は厳しく取り締まり、監督当局のサボタージュも許さない」との強い決意を表明していた。

 今回のドキュメンタリーWAVEはそうした取り組みを上海市でどのように実施しているかをレポートしたものだ。
中国は燃料の約70%を石炭の火力にたよっている石炭王国で、上海市には石炭ボイラーが約3000あるそうだが、pm2.5を20%削減するためにそれを来年の12月末までに石油や天然ガスのボイラーに転換をさせることを目標にしていた。
上海市の大気汚染の約3分の1は石炭からの微粒物質の飛散だからだという。

注)通常pm2.5の主要な原因は石炭と自動車の排気ガスと言われている。

 この取り組みを実際に指揮するのは上海市環境局の職員だが、取り締まりの対象は中小企業のボイラー食堂なので使用している石炭かまどで、この二つの汚染源に対しては熱心に指導を実施していた。

 中小企業の事例では400人規模の靴メーカーが採りあげられていたが、このメーカーは循環式のオイルヒーターに熱源を変えることになっていた。
主導していたのは創業者でもある会長で非常に熱心にボイラーを導入し、同時に靴の生産ラインの拡充を図ろうとしていた。

 しかし息子の社長はこうした設備投資に非常に懐疑的だった。
最大の原因はこの靴メーカーは北京の大手靴メーカーの受託生産なのだが、来年からは委託元の会社は靴の生産をベトナムやスリランカに発注し、上海市のような人件費が高騰してコストの高い工場への発注がなくなるからだという。
いま大事なのはボイラーを変えて靴の生産を拡大することでなく、異業種に転換することだ」と若い社長は言っていたが親父は聞く耳を持たず、ひたすら靴の生産拡大にまい進していた。

 また上海市環境局は実力で食堂の石炭かまどの撤去を行っていたが、こうしたかまどは上海市民の主食であるターピンを焼くための道具だ。
ターピンは石炭で焼かなくては美味しくないのよ」と食堂のおばちゃんが叫んでいたが、こちらの方は環境局の単なるパフォーマンスで、翌日には食堂は新たな石炭かまどを購入していつものようにターピンを焼いていたので思わず笑ってしまった。

 実は上海市には国営の石炭火力発電所があり、上海市の石炭の約5割を使用している。だから石炭かまどなどより火力発電所の排出するpm2.5の方がよっぽど問題なのだ。
番組ではこの火力発電所は脱硫装置が設置してあると説明し、この発電所に関するレポートは存在しなかったが(おそらく取材に応じなかったのだろう)、実際は発電所に設置されているとする脱硫装置こそが問題なのだ。
中国ではたとえ設置されていても効率化の問題があって稼働させていない場合が多い。
環境局の職員が現地視察に来た時だけ稼働させ、それ以外の日には止めてしまう。

 こうしたことは上海市のトップは当然知っているし、環境局も知悉しているが阿吽の呼吸で脱硫装置は稼働され問題はないとされるのが普通だ。
李克強首相のいう「監督当局のサボタージュも許さない」ということはそのことを指しているが、実際は環境局は国営企業に手も足も出ない
それは国営企業の幹部の方が共産党の序列が高いからで、中国では共産党の序列がすべてだから、なまじ下の者が真面目に仕事をするとすぐその役職からはずされてしまう。

 だから環境局は自分たちが指導できる中小企業とか食堂の商店主だけに圧力を加え、国営の発電所から排出されるpm2.5は見て見ぬふりをする。
弱い者いじめだが環境局としてはいかんともしがたい。
かくして今年の上海は最悪の重度の汚染が4回も発生した。

 李克強首相首相がいくら人民大会議場で演説しても地方幹部は生産が阻害するような措置はサボタージュする。何しろGDPの伸び率が出世を左右するのだから、なまじ脱硫装置など稼働させて必要な電力が供給されなくなればそちらの方が問題だ。
このドキュメンタリーはそれなりに興味があったが、いくら環境局が取り締まってもなぜpm2.5の排出量が減らないかの原因追及については不十分だったと言える。
実際は中国の環境汚染問題は中国政府の体質として解決不能の問題なのだ。

注)中国の大気汚染の実態については前にも記事を記載してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-af0b.html
 

 

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コメント

>いくら環境局が取り締まってもなぜpm2.5の排出量が減らないかの原因追及については不十分だったと言える。

だって、NHKだもの。

投稿: ポンタ | 2014年3月24日 (月) 08時14分

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