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(26.2.2) NHK 東大紛争秘録 45年目の真実

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(四季の道の梅)

 久しぶりに昔を思い出してしまった。NHKのクローズアップ現代で「東大紛争秘録 45年目の真実」という番組を放送していたからだ。
そうか、あれから45年たったのか!!!感慨もひとしおだ。
東大紛争とは1968年から69年にわたって戦われた学生運動で、69年1月東大安田講堂の落城によって終止符が打たれた。

 私が大学を卒業したのが1970年だから、私の学生時代はちょうどこの東大紛争の時期に重なり、私も好むと好まざるとにかかわらずこの学生運動に巻き込まれている。
当時の学生は大きく分けて3つに分類された。学生運動を行っている者、勉強に情熱を傾けている者、バイトやクラブ活動にいそしんでいる者である。

 私が通った大学は東大ではなかったが御多分に漏れず学生運動が燃え盛り、授業が1年間にわたって中止になっていた。仕方なく私は友達のY君と教室でサムエルソンの経済学や当時流行だった計量経済学経済学を数学で解こうとした経済学)の勉強会を二人でしていた。
窓の外ではいつものように対立する学生の派閥同士が殴り合いのけんかをしていたが、二人はそうした運動とは無関係にほぼ一年にわたってこうした自主的授業をしたものだ。

 最も当時は完全に東大紛争から逃れることができず、友達の民青支持者からよく動員をかけられた。本郷の安田講堂以外に駒場の教養学部でも全共闘系の学生がある建物を占拠していたが、その奪還行動に兵士の一員として参加させられた。そこでの私の役割は全共闘の学生に石を投げつけるスナイパーだった。
中学時代野球部の投手をしていた関係で抜群のコントロールとイチロー並のスピードで石を投げたので、ゴルゴ13のように恐れられたものだ。

 今回クローズアップ現代で放送した内容は東大紛争の一方の当事者だった大学当局の指導部がどのようにこの紛争を解決すべきか苦闘した会議の記録だった。
原稿用紙600枚に渡り、参加者の一人だった植村泰忠理学部教授が会議録を書き残したものである。

 もともと東大紛争は医学部の学生が当時のインターン制度を一種の奴隷制度だと告発したのが始まりで、医学部の改革闘争だった。これに対して大学当局は断固拒否の対応をしたため怒った学生が医学部を占拠し、それに対し大学が機動隊を導入して排除したことから闘争が全学部に広がった。
大学に機動隊を導入して学生を排除したのは大学が守ってきた自治権の放棄だ」というのが学生の主張だったが、その理論的支柱は羽仁五郎氏の「都市の論理だった。

 今では読まれることのないこの本は当時の学生のバイブルのような存在で「ヨーロッパで存在した都市はいづれも自治権を持ちイタリアのボローニャがそうであるように大学はこの自治都市の一つだ」というもので、「だから大学には自治権があ」と主張されていた。
大学自治の根拠は都市の自治権だという主張は当時の学生のこころを捉え、東大紛争とは東大に自治国家を作ろうとしたのだといえる。

 一方教授会側もこの自治権を守ろうとして、「自治権とは教授会の自治」だと主張していたが、こうして大学当局と学生は誰が自治権を持つかの主導権争いをしていた。
なんとも不思議な光景だったが、羽仁五郎氏が「都市の論理」でそっと伏せていたことは、都市国家はその自治を守るために軍隊(傭兵)や警察が必要で、それなくしては周りの都市国家や王国にひとたまりもなく飲み込まれてしまうことだった。

 実際医学部学生を排除した時も、またその後紛争が全学に広がり全共闘が安田講堂を占拠して立てこもった時も、これを排除をしたのは機動隊だったがそれは大学の自治とはこうして警察権力で守っていくものだと示したものだった。
当時の大学教授も学生も互いに大学の自治を叫んでいたが、警察権力を持っていない以上最後は国家権力で押しつぶされるのは致し方がないことだった

 この安田講堂陥落ののち当時の大学指導部は、安田講堂から全共闘の学生を追い払ったのだから入学試験を行いたいと文部省に哀願したが「全共闘を追い払ったのはあなたたち教授会ではなく警察だ。したがってあなたは我々の言うことに従わなくてはならない」とにべなく入試を拒否された。
入試をするかしないかの権限は大学当局にある」と一部教授は叫んだがそれは犬の遠吠えに過ぎなかったことになる。

 以来学生が大学に自治国家を作って国家に対立することはなくなったが、軍隊や警察のような実力装置を持たず自治を主張することの愚かさをこの東大紛争は示している。
あれから45年、再び大学に紛争の嵐が吹くことはなくなり、多くの大学はサロンになっている。
こうして羽仁五郎氏のアジテーションは風化し今は誰の耳にも届かない歴史のかなたに消えてしまった。

なおクローズアップ現代のシリーズは以下にまとめて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nhk_2/index.html




 





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