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(26.2.1) NHK クローズアップ現代 グローバル企業の人権リスク

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 「おそらくこの問題は一筋縄ではいかないな」と思った。NHKのクローズアップ現代がとりあげていたグローバル企業の人権リスクについてである。
現在世界企業はどこでも低賃金労働を求めて労働力の安価な国々に進出している。
バングラディシュ、ミャンマー、カンボジアと言った国々だが、こうした国では昔日本でもあった長時間労働劣悪な労働環境低賃金そして児童労働が常態化している。

 特に今人権問題になっているのが児童労働で15歳以下の子供が学校に行くこともなく、最も安価な労働者として長時間、劣悪な環境で働かされていることだ。
世界のNGO団体や国連が立ち上がってこうした児童労働の撲滅に乗り出しており、一方進出企業も建前では15歳未満の児童を雇ってないと主張している。
しかし、抜け道がいくらでも存在しており児童労働は相当の規模にのぼっているのが実態だ。

 こうした最貧国ではまともな働き場所などない。どこでも雇ってくれれば恩の字だから、年齢を詐称して仕事につこうとする児童が後を絶たない。企業もそれは心得ていて作業員が必要な時は目をつぶり、一方生産過剰になって従業員を馘首しなければならなくなると年齢詐称を理由に首切りを行う。
また長時間労働や劣悪労働に不満を言えば「お前の年齢は本当は分かっているんだぞ」なんて脅しの道具にも使える。

注)アメリカ映画を見ていると不法移民に情報提供を警察が求めるときの常套句として「不法滞在は目をつぶってやるから、Aの動きを逐一報告しろ」なんてセリフがあるが、それと同じだ。

 NHKの取材にグローバル企業のアシックスが応じていた。アシックスは私が最も好きな運動靴メーカーでマラソンシューズであればアシックスを買えば間違いないし、スポーツウェアも日本人の体形に合わせてあるからすべてフィットする(アディダスなんかを購入すると欧米人向けの体形や足に合わせてあるのでいつも不満が残る)。

 アシックスの製品は中国でもベトナムでもインドネシアでも委託生産されているが、今回の委託生産の事例はカンボジアだった。
カンボジアには7つの委託会社があるそうで、アシックスは企業の責任としてそこに年2回の労働条件監査を行っていた。
監査項目は240項目で、特に児童労働については厳しく2つ以上の証明書による本人確認を求めていた。

 しかしそれだけでは世界の人権団体は納得しておらず、委託会社の再委託先についてもグローバル企業は責任を持つべきだと主張している。
しかしこのあたりになると実際は監査や調査のしようもない世界に入っており、アシックスも委託会社への研修でごまかしていた。
君たちが再委託会社を指導するんだ。そのための研修はしよう」というわけだ。

 実際問題としてカンボジアにおける労働環境を日本と同程度にしなければならないとすると企業が進出を図るメリットはなくなる。その国が主要な消費市場であればそれを目的に進出することもあるが、低賃金が目的の場合は全く進出するメリットはない
なにしろカンボジア人が1万円近くするアシックスのマラソンシューズを購入するとはとても思われないからだ。

 だから人権団体や国連がグローバル企業に先進国並みの労働条件を求めれば、進出企業はほぼゼロになるから、こんどはこうした国々は発展から永遠に取り残されてしまう。
これは「いつまでも貧乏でいれば人権問題は発生しない!!と言っているに等しい。
したがって現実的には「児童労働さえなければいいとしよう。それも委託先まででそれ以上は知らない」というところで受入国も委託先の企業も手を打っているのが実情だ。

 どこの国もマルクスのいう資本の原始的蓄積という段階を通る。マルクスは19世紀初頭のイギリス経済を見て「労働者は鉄鎖以外失うものはなにもない。万国の労働者よ団結せよ」と叫んだが、実際はその後1世紀に及ぶパックス・ブリタニカの繁栄の始まりだった。当時の長時間労働と劣悪な環境がイギリスのその後の繁栄を支えたのだ。

 個人であり国であっても苦しんで努力をしなければならない時期というものはあるのだ。
学生は学生時代に勉強をしなければその後の人生はほぼしれている。
日本は明治期にこの資本の原始的蓄積を行ったが、それは一方で女工哀史の時代だった。
どの国もこうした努力をスキップして一気に先進国並みの生活が可能になることはほとんどない。
カンボジアやバングラディシュやミャンマーはそうした段階にあり、この資本の原始的蓄積段階が終わらない限り、いくら人権問題を騒いでも致し方がないというのが実態だ。

注)上記の結論は人権原理主義者には不満だろうが、人権もその国の歴史的段階によって位置づけられるもので、抽象概念としてすべての国に等しく適用されるものではない。

なおクローズアップ現代に関する記事は以下にまとめて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nhk_2/index.html


 

 

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