(26.1.14) NHK 日本式生活インフラを輸出せよ ジャパン・ブランドの時代
日本に住んでいると日本様式が全く当たり前になって、水道水が直接飲めたり、鉄道はほぼ定時に運行されていたり、下水が整備され多摩川でさえ泳げるようになっていたり、アマゾンに本を依頼すれば翌日届くのが当たり前になっている。
だからこうした日本式生活システムのありがたさは空気のようなものだが、海外で生活したり旅行をしたりすると日本の持っているありがたさに涙を流したくなるほど感動する。
2年前にネパールに旅行した時はローカル航空のパイロットが酒浸りになったり、結婚式に行ったりして3日間にわたって飛行機が飛ばなかったが、こうした原因で日本で飛行機が飛ばないことはあり得ない。
また暮らした村には電気も水道もガスもなく、夜になったら真っ暗になってろうそくで生活したが、これもかなり前の日本の山小屋にしか残っていなかったスタイルだ。
日本ほど生活インフラが整備されている国はないのだが、今日本は自動車や家電商品ではなく生活インフラその物を海外に輸出する戦略を取り始めたことをNHKが報じていた。
具体的には格安で安全な水道システムであったり、遅れることのない鉄道の運行システムであったり、健康志向の給食システムといったところだ。
今まで日本はこうした生活インフラが海外に輸出できるとは全く思っておらず、もっぱら自動車や家電と言った商品輸出に特化したり、また発電所や橋梁やパイプラインと言った旧来型のインフラ輸出に注力してきたが、こうした部門では安さが売り物の中国と韓国に追い上げられてシェアを著しく低下させている。
日本産業の衰退と言われているのがそれだが、一方で日本の生活インフラについていえば世界最高水準でこれが輸出されるようになれば鬼に金棒だと気づき始めた。
注)戦後アメリカンライフが世界を席巻したが、今日本ライフが世界を魅了しつつある。
成功事例として北九州市が手掛けたプロジェクトがある。ベトナム第3位の大都市ハイフォンでは北九州市の上水道施設を導入したのだが、建設費が半分でランニングコストが20分の1という驚くべき効果的な水道施設になっていた。
「初めて水道水をそのまま飲めるの」と住民が感動していたが、今までは沸騰しても危なかった。
このプロジェクトは北九州市がオルガナイザーで北九州市にある関連する中小メーカーを結集してこの事業を成功に導いていた。
私は当初「なんで北九州市か?」と思ったが、水道事業の運用主体は地方自治体で、それをサポートする企業群というのがあるのだが、企業の業績低下に悩んでいた。人口が減るにしたがって水道事業は規模を収縮することになり、事業者は北九州を諦めて撤退していたからだ。
「まずい、このままでは北九州市そのものがただ衰退するだけだ。企業は撤退し人口は減り、自治体の税金が減少する」
こうした危機を乗り越える唯一の方法は北九州市がオルガナイザーとなり、水道施設を海外に売りこみ関連会社が収益を上げて従業員を増やしてもらう以外に方法はないという。
かつて自治体は地区に工場団地を整備して企業誘致を図るのが産業政策だったが、いまは自治体そのものが海外に活路を見出して輸出攻勢をかけることが産業政策になっている。
もう一つの成功例はタイバンコクの都市交通の車両導入の事例だ。私は全く知らなかったがバンコクの都市交通の線路や駅は日本のODAで建設されているが、運行されている車両はドイツのシーメンス製だ。
この理由はタイの交通システムがヨーロッパ基準になっているからだという。
注)車両にそれぞれ基準があることをこの番組で初めて知った。
私などは日本基準の方が優れていると思っているが、タイは長い間ヨーロッパ基準で鉄道を管理してきたため、すべてヨーロッパ基準を満たさないと車両の導入ができない(法的にそうなっている)。
日本は日本基準を主張してシーメンスに敗れてきたが、今回車両を① 全面的にヨーロッパ基準に合わせたこと、および② 世界でも例を見ない運行管理システムを導入したこと、さらに③ エキナカという日本独特の収益システムを提案して、日本車両の導入が決まったそうだ。
このプロジェクトの成功は相手の基準に合わせて日本の製品を改良したことがいちばんだったそうだ。
今はっきりしているのはハードだけでは中国や韓国と言った低価格製品にかなわない。だが現在有利にあるソフト込みで売り込めばそれが受注につながる。
日本の生活スタイルはほとんどがソフトの優位性で成り立っていることを見なおして、ハードとソフトを一体化した生活インフラとして輸出する戦略がいま日本にとって最も重要だとこの番組のコメンテーターが総括していた。
注)経済成長に関する一連の記事は以下にまとめて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43696146/index.html
(別件)四季の道ミニマラソン大会(約5km)の募集が始まっています。
・日程 2月16日(日) スタート9時35分(四季の道駅伝の一環です)
・集合場所 有吉中学校正門前
・具体的なレースの詳細、およびエントリー方法は以下の「おゆみ野四季の道駅伝公式ホームページ」
http://www.oyumino-shatai.com/ekiden/
を参照して下さい。
ここからエントリーできます。
| 固定リンク
「評論 日本の経済 経済成長」カテゴリの記事
- (31.1.31) 日銀の愚かな見込み違い 何をやっても物価は2%上昇しない(2019.01.31)
- (29.6.12) 在庫変動こそがGDPの最大の構成要素 この馬鹿げた現実(2017.06.12)
- (28.8.27) 一体GDPはプラスなのかマイナスなのかさっぱりわからないじゃないか!! 内閣府と日銀の論争(2016.08.27)
- (27.11.8)「 日本経済異常なし」 高原状態続く(2015.11.08)
- (27.5.22) 「日はまた昇る」 日本大復活と中国の凋落 それは14年夏に始まった(2015.05.22)
コメント