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(26.1.7) オランダの農業革命が世界を変える 中国への進出と日本

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  世界で最も農業革命が進んでいる国はオランダである。オランダは日本の農地の2分の1で、農業人口は20分の1だが、世界で二番目の農産物輸出国であり、第一位のアメリカの7割程度の規模だから、農業だけでいえば世界第二位の輸出大国だ。

 輸出品はトマト、キュウリ、パプリカと言った野菜が中心でマーケットはヨーロッパ全土に及んでいる。
オランダがこのような輸出立国になったのはスマートアグリと称する農業生産方式に成功したからで、完全に自動化されたハイテクハウスの中で、コンピュータによって管理された栽培方法が確立されており、人手は収穫時以外はほとんど必要としない。

注)オランダのスマートアグリについては前にクローズアップ現代で取り上げていた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-5127.html

 今このスマートアグリが世界的な規模で拡大されようとしており、その重要なターゲットが中国だとNHKがドキュメンタリーWAVEで報じていた。
中国は日本と同様の小規模農家による低生産農業で農民の所得は極端に低い。そのため働き盛りの夫婦は農民工として都市に働きに出て、農村は2ちゃん農業(じいちゃん、ばあちゃんだけでかあちゃんはいない)になってしまっている。

 こうした低生産性農業を何とかして一般工場並みの生産性を確保しようと中国政府は農業革命の後押しをしており、この時流に乗ってオランダのハイテクハウス施設メーカープリバ社ハイテクハウスのシェアが世界で最大)が猛烈な売り込みを行っていた。
中国には土の壁を利用したビニールハウスはあるのだが、管理は人手でとてもスマートアグリとは言えない。

 オランダのメーカーが売り込む先は零細な農家が相手ではなく都市で成功している企業家である。
企業家は工場を建設する感覚でスマートアグリのビニールハウスを建設してコンピュータで管理し、収穫は近在の農家の主婦を農業労働者として雇用していた。
農家の主婦は「今までのような長時間労働でなくなり賃金も安定的に得られるので助かる」とコメントしていたがその通りだろう。

 また中国の消費者にとっては残留農薬の問題が最も緊急の課題であり、農薬だらけの野菜を食べることによって健康被害が拡大している。
消費者は「よく洗って表面の葉っぱは食べないのよ」と言っていたが、スマートアグリでは農薬の使用が基本的にはゼロなのでこうした健康被害も出ない。

注)土は使わず水は循環しているので外から雑草や雑菌が入ってこない。

 オランダはこうしたスマートアグリの海外進出を積極的に進めており、隣の韓国ではパプリカの栽培をこのスマートアグリを導入することで成功し日本で輸入されるパプリカの60%は韓国産になっている。

 安倍総理は「農業は成長産業だ」としばしば述べているが、それはこうしたオランダの成功体験を知っているからで、林農林水産大臣もオランダに視察に出向いており、日本にこのスマートアグリが導入できないか検討している。
現在日本政府はTPP交渉の大づめを迎えており、何としても日本農業の生産性向上が急務だからだ。

 しかし日本には生産性向上に対する抵抗勢力があまりに多すぎる。
農家も農協も農業団体も農水省も全員反対なのだが、その理由はこのスマートアグリが日本で大々的に導入されると農家がほとんど淘汰されるからだ。
そのような改革には絶対反対で「農家の保護が大事で農業の生産性なんてどうでもいい」ということだ。

 このスマートアグリは農地は必要としない。土地は必要だが日本には余った工業用地がいくらでも存在する。そこにハイテクハウスを建設して農地に依存しない農業を確立すればいい。

 一方日本の農政は農地法によって農地を農家以外の人手に渡ることを阻止しようとしてきた。
実際は農家がそこにアパートを建設したり資材置き場と称して自動車駐車場にすることはできるのだが、絶対に認められないのが企業が農地を借りて農業を行うことである
日本では企業の参入を阻止することでかろうじて農家による農業を守っているというのが実態だ。
だからオランダのスマートアグリ施設会社は日本をターゲットにすることを諦めて中国や韓国で事業展開をしてきた。

注)日本がTPP交渉に参加することになってからプリバ社の社長が日本を訪問している。日本にはハイテクハウスが約40か所あるが、企業が試験的に経営している。

 こうした鎖国政策をいつまで続けられることができるだろうか。私はいずれ世界中にスマートアグリが普及すれば日本も対抗上この農業革命に参加せざる得なくなると思っている。
農業革命とは農地を必要とせず工業生産方式で農産物を生産する方式だから、当然農家はいらない。そして農協や農業団体も農家がいない以上その存立基盤がなくなり、農水省も経済産業省に吸収される。
そうした未来図が今静かに日本に押し寄せようとしている。

注)オランダは経済産業省の一部として農業部があるが、日本もいづれそうなる可能性がある。

 

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