(26.1.17) 悲しみの山河 なぜJR北海道の社長は自殺するのか!!
(JR北海道 根室本線の無人駅)
再びJR北海道に衝撃が走っている。今度は2代目社長だった坂本真一氏が自殺を図ったからだ。11年9月には4代目社長だった中島尚俊氏が自殺しているから、過去5人いた社長のうち二人が自殺を図ったことになる。坂本氏は中島氏と同じ入水自殺だったが、これが異常でなくて何であろう。
注)中島尚俊氏の自殺については以下の記事を参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/23921.html
かつてプロイセンの軍人は作戦の失敗や汚名を着せられると敢然とピストル自殺を図ってきたが、何かそれに似てきた。
坂本氏は北海道新幹線の誘致や札幌駅開発で手腕を発揮したが、いっぽうでJR北海道の持つ赤字体質の改善に失敗し、また労使間の紛争も解決できず旧国鉄並の親方日の丸で過ごすうちに、JR北海道にトラブルが多発し始めた。
「私の責任でもある」と毎日新聞の取材で述べられていたが、責任感の強い方だったのだろう。
私はJR北海道を見ていると、もはや存在意義を失った鉄道が国の補助金で生き延びながら、結局は精神的に崩壊していく様を見ている気持ちになる。
JR北海道に乗ってみると分かるが、ローカル線などはほとんど運送手段として機能していない。
乗客は私のようなおそろしく暇な観光客か学生だけで、働き手が鉄道を利用することはない。
それは当たり前で本数は日に数本であり、無人駅などに降りてしまうと次の列車が来るまでに半日程度待たされてしまう。
こうした駅にはここを訪れた人が記載する帳面が置かれており、「こんな何もない自然に満ちた場所があるなんて感動的だ」なんて書かれているが、それは観光客だからそう思うので、書かれている帳面も数年分で1冊だから実際は誰も降りていないのと同じだ。
JR北海道は営業収入で営業支出を補えない完全な赤字会社なのに、それでも営業ができるのは政府の補助金が約9000億円あるからだ。
JR北海道はこの補助金の利息(元本は取り崩せない)で従業員の給与を賄っており、その利息収入は300億円から500億円の間だ。
私がかつて勤めていた金融機関はロンドンに証券子会社を設立していたが、この企業はJR北海道と全く同じで自身で収益を稼ぎ出すことができなかった。それでもかなりの間存続したのは親会社が100億円の資本金を支出し、その利息7億円相当が従業員の給与になっていたからだ。
「山崎さん、どうにもなりませんね。親会社にただ食べさせてもらっているだけです」と証券子会社の社長が恐縮しながら述懐していた。
この証券子会社はその後閉鎖されたが、民間会社だからそう決心できたのでJR北海道のような旧国鉄そのもののような会社はそれほど単純ではない。
私は中島尚俊氏の自殺の時もそう感じたが、JR北海道の社長になると完全な閉塞感を感じて自殺しか手段が残されていないのだと思う。
赤字からはほぼ絶望的に脱却できず、顧客離れが進んで業績はさらに悪化し、そして列車は片っ端から火を噴くし、職員は保線もせず嘘の報告だけをあげ、運転手は自動停止装置をハンマーで打ち壊す。
注)JR北海道の役職員に蔓延するやる気のなさについては以下に述べておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-f650.html
国交省からは業務改善命令を出され、本社からは何度も注意文書を流すが中間管理職は労組を恐れて有効な対応をせずサボタージュする。
「俺はいったいどうすればいいんだ」私でも自殺するだろう。
注)事故の実態については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/jr-7011.html
JR北海道が生き残る手段は札幌新幹線と札幌周辺の都市交通を除いてあとの路線から完全撤退することだが、そうすれば現在7000名いるJR北海道の職員の半数以上は不要になる。
特に問題の多い保線などは路線がなくなるのだからほとんど不要になってしまう。
経営者としてそうした決断をするのは何としてもつらい。しかししなければJR北海道は生き残ることはできない。
かつて国鉄民営化で6つのJRに分割されたが、今度はJR北海道の中で採算路線と不採算路線の分離がされ、不採算路線は整理機構に引き継ぐより手段はなくなりつつある。
(別件)四季の道ミニマラソン大会(約5km)の募集が始まっています。
・日程 2月16日(日) スタート9時35分(四季の道駅伝の一環です)
・集合場所 有吉中学校正門前
・具体的なレースの詳細、およびエントリー方法は以下の「おゆみ野四季の道駅伝公式ホームページ」
http://www.oyumino-shatai.com/ekiden/
を参照して下さい。
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