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(26.1.11) タイが突きつける民主主義への疑問 「選挙がすべてか?」

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(河津桜)


 これが民主主義国家といえるのだろうか。タイの政局のことである。
正当な選挙で選ばれたインラック政権がデモの嵐にあって、再び総選挙をして民意を問おうとしたら、それは非民主主義的だと反対派を激怒させ総選挙の実施が危ぶまれている。

注)最近のタイの政争の詳細は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-7edc.html

 日本を含め先進国と呼ばれる国々では選挙がすべてであり、選挙で正当性を付与された政権が国政を担当する。失政が続いた場合は再選挙になるがその場合でも選挙結果がすべてだ。
しかしタイではインラック首相の提案した総選挙の実施はダメで、その前に政治改革が必要だという。
政治改革って何のこと??さっぱり要領を得ないのだが、「それはインラック首相の退陣だ!!というのが回答では回答にはならない。

 タイは1990年代を通じて東南アジアにおける民主主義国家のモデルと称賛されていたが、インラック首相の兄であったタクシン氏が政権を掌握したころ(2001年)から階級闘争のような側面が出てきた。
タクシン氏率いるタクシン派政権は東北部や東部の貧しい農村地帯と都市の下層労働者が支持基盤だが、一方反タクシン派は都市の中・上層労働者や資産家、それに軍隊と裁判所と国王が支持している。

 簡単に言ってしまえば貧しい者と、豊かな者との対立だ。
さらに問題を複雑にしているのはタイは王国で国王の意向を強く反映した政治が行われていたが(イメージは戦前の日本に近い)、タクシン派が政権を奪取したころから王室の尊厳を無視する傾向が強くなっていた。
タクシンは共産主義者ではないか・・・・・・
2006年タクシン首相が外遊中に軍隊が決起してクーデターが発生し、以来タクシン元首相は亡命生活を続けている。

注)貧しい農民や最下層の労働者を支持基盤とするタクシン派はどうしても社会主義的になり、王室の存在に懐疑的になる。しかしそうした態度は旧支配層にとっては我慢がならない。


 タイでは選挙ではタクシン派が圧倒的に強い。もともと農民が多いせいだが従来はこうした階層は選挙に関心がなかったのだが、タクシン派の巧みなオルグで票田に変わってしまった。
反タクシン派は選挙では勝てないので、インラック首相を退陣させた後は国王の権威で国民会議を招集してそこで反タクシン派政権を誕生させようとしている。
明らかに憲法違反だが、国王の意志であればそんなことは知っちゃいないというのが反タクシン派の主張だ。

注)インラック政権ができた経緯は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/22520-851d.html

 今最も問題になっているのは2月2日の総選挙を阻止するため、1月13日にバンコックの主要な交差点を占拠して首都機能をマヒさせようとしていることだ。
さらに1月18日はタイの陸軍記念日(タイの軍隊は陸軍が主体で陸軍は戦車や装甲車を首都に移動させており、タクシン派から見ると軍部がクーデターを計画しているように見える。

注)陸軍司令官は「クーデターは起こるとも言えないし起こらないとも言えない」と含みだらけの発言をしている。

 バンコクには日本のメーカーや銀行が進出していて東南アジアの拠点にしてきたので、上を下への大騒ぎになっている。
トヨタなどは販売員150名を郊外のオフィスに移動させて、予定していた新車発表会も郊外で行うことにした。ホンダも味の素も三井住友BKもイオンもANAも同じような対応をとらざる得ない。
この騒動でタイの株価指数は暴動発生前(13年10月)の1500から1300程度まで落ち、13年度のGDPは4.4%の当初予測から3%程度まで落ちるのではないかと予想されている。

 タイは日本のメーカーにとって日本と同規模の重要な拠点であり、特に自動車産業にとっては死活問題だ。2011年の洪水ではホンダの工場を始め多くの日本メーカーの工場が水に浸り、今また政争で首都機能がマシし始めた。
経済成長は平和で安定した場所でしか望めないので、タイの政局不安はタイ経済の根幹を揺るがしている。

 なぜタイではヨーロッパ発祥の民主主義が根付かないのだろうか。そもそも民主主義にも多様性があるのだろうか。タイの政局を見ていると民主主義とは何かという根源的な問いかけがなされているように見える。

 

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