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(25.12.10) 「ぽっぽや」とJR北海道 乙松の精神を引き継げない職員と経営者

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(おゆみ野道のシラサギ)
 
  久しぶりにBSで放送されていたぽっぽや(鉄道員)を見た。高倉健主演の映画で監督は降旗康男氏、1999年の作品である。
私はこの作品を何回か見ているがそのたびに泣いてしまう。
高倉健が演じる佐藤乙松という、何とも時代に適合しない武骨なまでの生き方が涙を誘うのだ。

 映画を見たことのない人のために説明すると、乙松は「ぽっぽや」としてカマタキから始め、蒸気機関車の機関手になり、その後幌舞線の終着駅、幌舞の駅長になる。最も駅長と言っても他に職員はおらずたった一人でこの駅を守っているという設定になっている。
元々は幌舞炭鉱石炭積み出し駅で、石炭産業が斜陽となると町は寂れ、ほとんどの人がこの街を去ってしまっている。
日に数本の列車しか運航されず、それも乗客はほとんどいない。完全な赤字線で本当はすることがほとんどないのだが、それでもひたすら乙松は職務を全し幌舞駅を守っている。

 妻(大竹しのぶ)との間には長く子供がなかったが17年めにようやく子供ができ雪子と命名したが数か月後には夭折する。また妻も身体が弱く町の病院に入院したがやはり死去する。
乙松は幌舞駅を一人で守っているため、雪子の時も妻の死去の時も死に目に会えない
ほとんど乗客がない駅を守るために妻子への情を抑えるという男の物語だ。

 乙松は正月のある日、豪雪の中を列車を待ってプラットホームに立ち続け凍死をするのだが、死ぬ直前に夢の中に死んだ雪子が現れ、夢の中で成長し17歳になって乙松をあの世の旅に迎えるという内容だった。
私はひたすら泣いてしまったが、この鉄道員一筋の乙松の死も、乙松の死と相前後して廃線になった幌舞線も、そして見捨てられた幌舞炭鉱もJR北海道の今をよく暗示させていた

注)私は幌舞線も幌舞も幌舞炭鉱も実在していたと思っていたが、これは原作者の浅田次郎氏の創作だった。映画の舞台になった幌舞駅は実際は根室本線幾寅駅だということだが、この場所を訪問すると幌舞駅という看板が立ち観光地化している。

 北海道は炭鉱と農業と観光で持っているような場所だったが、炭鉱は夕張炭鉱がそうであるように閉鎖され、農業は担い手不足になって特に自然条件が厳しい東部と北部で過疎化が進んでいる。
北の国から」は倉本 聰氏の脚本だが、富良野の六郷でも農業の担い手が次々に村を去っていく場面が何回も画がかれていた。

 乙松が勤務していた幌舞線は廃線直前のローカル線だから、乗客はほとんどいない。幌舞駅の日誌には乗客がいないので書くこともない。駅の前の食堂はかつては炭鉱夫でにぎわったが今では誰も食事に来る人がいなくなってしまった。
それでも几帳面に列車だけは走らせ、また駅には駅長がいる

 なぜそのようなことができたかというと、昭和62年の国鉄民営化前は国鉄は全国一律のどんぶり勘定で、都市部の黒字で僻地の赤字を補てんしていたからだ。
そして民営化後は政府による補助金によってJR北海道の職員の給与を支えていた。
だが、こうした役割を終えてしまった鉄道を、あたかも重要なものとして演じ続けるのは精神的につかれる。

注)JR北海道が補助金で支えられている構造については以下参照

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-f650.html

 JR北海道の役員も職員もどこか投げやりなのは、誰もが本当のことを知っているからだ。
必要もない線を保線したり、乗客のいない列車を走らせ続けるのはいやだが、そうしないとおまんまの食い上げになるから、何とか仕事をしているふりだけしよう
映画「ぽっぽや」の乙松はその無駄な努力をひたむきに続けてきたが、実際のJR北海道の職員は手抜きをすることで精神のバランスを保ってきた。

注)JR北海道の職員の手抜き作業については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/jr-7011.html

 人はその仕事が重要であり人の役に立っているときは頑張るものだ。しかし反対に何の役にも立たないことをただ給与をもらうために行うのはむなしさが漂う。そして次第に精神的に崩壊していく。
乙松は嵐の中をプラットホームに立ち続け凍死したが、今JR北海道では職員がひたすら仕事をしているふりだけをしてJR北海道を凍死させようとしている。

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