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(25.12.2) 再び始まったタイの不可思議な政争 反タクシン派の逆襲

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(長柄町周辺)

 タイの政局はいつ見てもよく分からない。今度は政権党のタクシン派に対して反タクシン派が逆襲を始めた。
ことは今年の10月に反タクシン派の野党党首前首相アピシット氏を現政権のインラック首相殺人罪で起訴したことに始まる。
3年前のタイの暴動90人余りの死者が出たがその責任を問うたものだ。
さらにタクシン派タクシン元首相の恩赦法を制定しようとして、多数を占めている下院で強行採決したことが反タクシン派の怒りを買った。

注)2年前の総選挙でタクシン派が反タクシン派を破りインラック氏が首相になり、アピッシト氏が下野したのだが、その時の経緯は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/23628-d1ec.html

 この10月以降反政府デモが発生し、デモ隊がいつものように財務省や内務省や労働省を占拠しまた通信会社を抑えたりしていたが、今は首相府からインラック首相を追い出そうとし始めた。
タイのデモでは主要な政府建物や飛行場、通信設備をデモ隊が抑えるのが常だが、不思議なことに警察がデモ隊を阻止したり強制排除することはほとんどない。
3年前の暴動の時は当時のアピシット首相が警察を動員してデモ隊を排除し、90名の犠牲者が出たのだが、これはまれなケースだ。
今回インラック首相はあくまで話し合いで解決するとひどく低姿勢だが、一方でタクシン派と反タクシン派のデモ隊同士の衝突で死者が出始めた。

注)本来タイでは銃撃戦のようなことも強制排除もなかったのだが、3年前の暴動で初めて警察権力の実行が行われた。その時の経緯は以下参照。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/22520-851d.html

 もともとのタクシン派と反タクシン派の対立の構図は農村と都市下層階級を支持基盤とするタクシン派都市の上層中層階級と、軍隊、裁判所等を支持基盤とする反タクシン派の対立にある。
大雑把に言ってしまえば「貧しいもの」と「豊かな者」の対立だが、圧倒的にタイでは貧しい者が多く、選挙をすればタクシン派が圧勝する。

 2年前の選挙でタクシン派はいつものように圧勝してインラック氏を首相に指名したが、インラック氏は2006年のクーデタで国外に追放されたタクシン氏の妹だ。
その妹がタクシン氏の復権を狙って恩赦法を制定しようとして両派の対立が激化した。

 これまでの経緯は2006年9月にタクシン政権を軍事クーデタで崩壊させ、その1年後に総選挙を実施したら再びタクシン派が勝利した。
そのタクシン派の首相を最高裁判所を使って汚職容疑で追放し、タクシン派の政党を解党させて2008年、反タクシン派が権力を握りアピシット氏が首相になったが、それもつかの間で2011年の総選挙で再びタクシン派が勝利して反タクシン派は追い落とされてしまった。

注)2006年、タクシン氏を軍事クーデタで追放した後のタイ政局のドタバタ劇は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/20127-2433.html

 何とも不思議なのは総選挙ではタクシン派が常に勝利するので、反タクシン派は選挙を避けてタクシン派を引き摺り下ろす手段を考えることだ。
まず街頭デモと官庁の占拠をし、それを頃合いを見て軍隊がクーデタをおこしたり、最高裁判所がでっち上げの容疑でタクシン派政権を押しつぶすという構図だ。
選挙はだめだ。非常事態を作ってクーデタを行うか最高裁判所がタクシン派の政治活動を停止させろ

 今回の反タクシン派による財務省や通信施設の占拠についてもインラック首相は話し合いで解決し、武力行使は行わないという。
何とも平和が好きな国民と感心してしまうが、実際は警察や軍隊や最高裁判所が中立を保ってまともに動いてくれないので、仕方なしに平和的手段をとらざる得ない。
私が首相なのに、この国の警察はいつも中立ばかり言って何もしてくれない」歯ぎしりする思いだろう。

注)治安警察は政府側につくことがあるが、それもいつ寝返るか分からない。

 実際はこの国には隠れた権力があり、それが王室なのだが王室の意向を受けて警察も軍隊も最高裁判所も動く。だから反対に王室の意志が分からない間はこうした組織(保守派という)は静観するのだ。

 タイは日本にとってアセアンのかなめの国で、実際にここタイに進出した日本企業は7000社にも及ぶ。特に自動車産業は日本本土と同じくらい重要な拠点になっている。またミャンマーやカンボジア等の周辺諸国に進出するときの起点もまたタイだ。
だからタイの政局安定は何としても日本の利益になるのだが、このタイ政治に現れる不安定性は日本の政治・経済戦略の不安定性になってしまう。
何とか早急に解決してもらいたいものだが、タイの病巣も言えるこのタクシン派と反タクシン派の政争は今後とも続きそうだ。

 

 

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