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(25.12.11) ネルソン・マンデラ氏の遺産と南アフリカの現実

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 おそらくこれほど多くの人からその死を悼まれた政治家はほかにはないだろう。南アフリカのネルソン・マンデラ氏のことである。
アパルトヘイト人種隔離政策)に反対し、それを止めさせただけでなくそれまで黒人を差別してきた白人と、憎悪と怒りに満ちていた黒人の融和を図り「虹の国(人種間の融合した国)を作った政治家だからだ。

 葬儀には日本からは皇太子殿下福田元総理が出席するが、アメリカからはオバマ大統領を始め歴代の大統領がほとんどが出席することになっており、他にフランスのオランド大統領やオーストラリアのアボット首相も出席する。
安倍総理は日本でASEAN特別首脳会議が13日より開催されるため出席を見送ったが、私は無理をしても出席したほうがよかったのではないかと思っている。
世界のマンデラ氏に対する哀悼に比較して、日本はやや消極的な感が免れない。

 南アフリカでアパルトヘイトが終了したのは1990年のころだから、ほんの20年前だ。このころまでアパルトヘイト自体があったのが不思議なくらいだが、この年マンデラ氏が27年間の獄中生活から解放され、その4年後の選挙で大統領に選出された。
一般に白人支配の国から黒人支配の国に変わると白人に対する迫害が始まり財産は没収され場合によったら殺害されるのが普通だった(隣国のジンバブエではそうなっている)。

 この時マンデラ氏が唱えたのは「融和」で「私の理想はすべての国民が平等な新しい南アフリカだ」と演説して憎しみと憎悪からなる黒人の復讐を許さなかった。
世界がマンデラ氏の功績を認めたのはこの融和策の採用で、のちにマンデラ氏はノーベル平和賞を受賞している(一般にノーベル平和賞を政治家が受賞した場合は胡散臭さが付きまとうが、マンデラ氏は正真正銘の平和主義者だった)。

 マンデラ氏は大統領を一期でやめてその後政界を引退したが、南アフリカでの政界や産業界には黒人の一定割合を雇用する法律を制定したことで、黒人の地位向上が図られてきた。
さらに2000年以降は中国の資源外交のおかげで鉱物資源や貴金属の輸出が順調に伸び年率5%前後の経済発展が遂げられた。
2010年にはワールドカップ南アフリカ大会が開催されたが、この時が南アフリカの最も輝いた時だった。

注)南アフリカの貿易相手国としては中国が最大の相手国。中国人も40万人近くが南アフリカで働いている(日本人は1400人程度)
中国と日本の資源争奪戦(実際は中国の一人勝ち)については以下参照

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat55384608/index.html

 その後中国経済の急減速により、中国への資源関連の輸出が急停止し始めると景気は一挙に下降し、経済成長は年を追って低下し13年度は2%以下となりそうだ。
日本であればそこそこの成長率だが、新興国にとっての2%は経済成長がないのも同然だ。
失業率は40%程度に跳ね上がり、首都ヨハネスブルグでは殺人事件は日常的に発生して、今では世界で最も危険な都市と言われている。

注)南アフリカは新興国としてテイクオフする寸前に中国経済が失速し、資源以外に主要な輸出品がないため(輸出の50%が資源関連)、急激な景気後退に見舞われている。

 自動車産業では賃上げを求めてストが頻発し、また鉱山労働者が外国人排斥を求めて暴動を起し、これに対して警察が実力行使をしたため12年8月の衝突では34名の死亡者が発生した。
現在南アフリカでは黒人の約10%と言われる富裕層が残りの90%を支配するという構造になっており、黒人間の富める人と貧しい人の対立が激化している。
これじゃ新アパルトヘイトだ。富める黒人が貧しい黒人を差別している」怨嗟の声が満ち満ちている。

 マンデラ氏は黒人と白人の融和を唱えてそれには成功したが、今は黒人内部の富める者と貧しい者との対立が激化し、それを解決する手段を持たない。
アフリカの資源大国は中国の成長とともに成長したが、今は中国の失調に合わせて経済が失速し国内問題が先鋭化している。

  21世紀の最初の10年間は中国の時代だったがそれが終わりを告げ、アフリカの資源国は新たな成長機会の模索にとりかからざる得なくなっている。

注)なお南アフリカを含めアフリカが資源大国であることは以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/22518nhk-f3d0.html

 

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