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(25.9.1) 実に愚かなアメリカの懲罰戦争 「アサドに罰を与える」

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(ネパールの山村の少女)

 実に愚かしいアメリカ政府のシリア・アサド政権に対する対応だ。
オバマ大統領が「多数の民間人が化学兵器使用で死亡したこと」「アサド政権による再度の化学兵器使用の可能性を排除」するため「」を与えなければならないという。

 地中海に展開した駆逐艦5隻に搭載されたトマホークミサイルでアサド政権側の軍事施設を攻撃しアサド政権に一定の打撃を与えようということだが、それは限定的な攻撃でおそらく1日程度の作戦になるという。

 本来ならば国連安保理の承認のもとに攻撃を行いたいが中露両国が反対しているので、安保理の承認は得られる見込みはなく、あとは1993年に締結された「化学兵器禁止条約違反」という人道的立場での攻撃になるらしい。

 だが今回のアメリカの攻撃については多くの問題点がある。
最大の問題点は「本当にアサド政権側が化学兵器の使用を行ったのか」であり、これについては国連の調査団が調査しているものの、たとえ化学兵器の使用が確認されてもそれがアサド政権側から使用されたのかどうかは分からないだろう。

 アメリカのケリー国務長官は「化学兵器を搭載したロケット弾がいつどこで発射されたかを把握している」と大見得を切ったが、アメリカの戦争理由はいつも眉唾だ。
2003年、イラクに大量破壊兵器が存在しているとしてサダム・フセイン政権の打倒を図ったイラク戦争では、大量破壊兵器の存在はCIAのでっち上げだった
また1964年のベトナム戦争参戦時のトンキン湾事件はアメリカの艦艇が北ベトナム海軍の攻撃を受けたことになっていたが、実際はアメリカ海軍の自作自演だった
太平洋戦争についてもルーズベルト大統領が日本を追い詰め窮鼠猫を噛む方式で戦争を誘発したものだ。

 イギリス議会はアメリカのこうした世論誘導方式に嫌気をさして、キャメロン首相が推し進めていたシリア懲罰戦争への参加にNOのサインを示して、戦線から離脱させた。
残ったのはアメリカとフランスで両国は大統領に戦争実施権限があるが、オバマ大統領は自身の責任で戦争を実施する自信を失い、議会の承認を得る方式で責任分担を図ろうとしている。
シリア懲罰戦争に議会も賛成したんだから大統領だけの責任ではない」という具合だ。

 今回国連の調査によって化学兵器が使用されていたことが判明しても、それはアサド政権側からの使用とはとても断言できない。
サリンについては日本のオウム真理教の信者がサティアンという最低限の設備で製造しており、反政府側主としてアルカイダ)がサリンを製造することはいたって容易だ。
だから化学兵器が使用されたとしたら互いに使用した可能性の方が高い。

注)片方で化学兵器を使用すれば対抗上他方も使用するのは第一次世界大戦での例がある。

 さらにいうと「化学兵器禁止条約」をシリアもアルカイダも承認していないのだから、承認していない当事者がそれを使用したとしても国際法違反とは言えない。
それを無理やり国際法違反としてでっち上げるのはそれこそ国際法違反だ。

 前にも言ったが人類に戦争はつきもので、戦争をしたければやらせておけばいいのだ。いわばやくざ同士の抗争のようなものでシリアのアサド政権も反体制派アルカイダも人道主義とは程遠いが、そうした勢力は共倒れにしてしまうのが一番いい。
国連や日本がすべきことはこうした地域から逃れてきた難民(200万人程度に達している)を救うことで、難民は戦争行為を避けるために難民になっているのだから、これこそ人道主義に基づいて救ってやらなければいけない。

注)黒沢明監督の「用心棒」という映画は敵対するやくざ同士をあおって共倒れにさせて住民を守ったという筋だったが、それが成熟した大人の知恵だ。

 アメリカが今行おうとしている限定的なシリア空爆ほど愚かしいものはない。サりンを使用しての殺し合いは「21世紀で最悪の出来事」ではなくどこにでもある戦争行為だ(日本の地下鉄もかつて攻撃された)。
アサド政権側だけがサリンを使用しているという証拠もないのに、一方的に懲罰を与えるとは、そんな権限がアメリカにあると思っているのだろうか。
アサド政権を弱体化させて、アルカイダを強化するのがそれほどアメリカの国益にかなうのだろうか。
実に愚かしい作戦としか言いようがない。

なお、アサド政権がなぜ崩壊しないかについては以下の記事を書いてある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/nhk-7e7f.html


 

 

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