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(25.8.18) 鳥越俊太郎レポート 「原発と原爆 日本の原子力と米国の影」 その1

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(四季の道に隣接する家屋の庭に咲いていた。名前は知らない)

 民放で鳥越俊太郎氏がキャスターになって「原発と原爆 日本の原子力と米国の影」という放送を行っていた。
8月に入ると報道番組ではNHKだけでなく民放も戦争関連の放送が多くなる。

 番組は二部構成になっていて第一部福島原発事故について当時の当事者(菅総理、北沢防衛大臣、細野補佐官、それにアメリカのNRC等)の証言をもとに、主として「なぜ自衛隊のヘリコプターによる放水が行われたのか」を追っていた。
あの自衛隊による放水場面は私もよく記憶しており、見ていたら全く効果がなくがっかりしたが、それが実行された経緯である。

 第二部はアメリカは戦後なぜ原子力に関する技術を公開し、原子力の平和利用を日本を始め同盟諸国に働きかけたかの理由について追及していた。
原子力技術はもっぱらアメリカとソ連が独占していたが、1953年アメリカのアイゼンハワー大統領は突如原子力の平和利用について同盟国に技術供与を始めたのである。
そこに深謀遠慮があったというのが、鳥越氏のレポートの内容になっていた。

 3月11日から始まった福島第一原発事故についてはいろいろな側面からアプローチが可能だが、この報道では日本政府がアメリカ政府にせっつかれて何とか自主的な災害救助活動の実績を残そうとしたのがヘリによる放水だったという。
事故直後からアメリカはNRC(アメリカ原子力規制委員会)を中心に情報収集に努めたが、アメリカにとっての最大の課題は在日米軍の兵士と家族を放射能災害から守ることだった

 日本では日本人のことしか頭になかったが、日本には家族を含めると約10万人の在日米軍が駐留しており、そのうち半分は沖縄で残り5万横田や横須賀や三沢や岩国等に駐留している。
アメリカにとって特に東京周辺に展開している米軍とその家族の安全を守ることが最優先の課題だった。

 一方日本では菅総理をトップとする緊急災害対策本部があったが、地震と津波対応が主体で福島第一原発の事故処理については当初は東電任せだった
これをオンサイトの原則というのだが、それまで日本全体を揺るがすような原子力災害はなく(東海村で被ばく被害があったが限定的なものだった)、日本全体での問題として取り組む姿勢はなかった。

 一方アメリカではスリーマイル島の事故を受けて、原子力災害は国家を上げて取り組むものとの姿勢が確立していたため、アメリカから見ると日本政府の原発事故の対応は何とも鈍重で事故の重大性を全く理解していないものに見えた。
アメリカは日本政府に対し情報収集のためのスタッフを官邸の災害対策本部に常駐させるように要請し、このことが菅総理のいつものヒステリーに火をつけた。
俺だって状況を把握し切れてないのに、アメリカ政府がでしゃばって来てあれこれ指示されたら、日本の総理としての面目がたたない

注)菅総理は地震・津波被害対策が日本政府が行うミッションと思っていたところ、アメリカから福島原発対策が最優先の課題だと指示されてパニックに陥ったのだと思う。

 アメリカからは「英雄的な犠牲を払え」とのメッセージが発せられていたため、3月15日菅総理は急遽東電本店に乗り込み「このままではアメリカが災害対策の指揮権を握って指図することになるので、決死の覚悟で対処せよ」と怒鳴りまくった。
当時の最大の課題はメルトダウンを防ぐための水の注入だったが、高圧放水車による注入とヘリによる放水が検討されていたという。

注)3月14日に3号機が水素爆発を起こし、2号機も危機的状況にあった。

 対策本部の順番ではまず高圧放水車の放水で放射線量を下げてから、ヘリによる水の散布をする予定だったが、オバマ大統領との電話会談の直前にこの順序が入れ替わった。
世界に日本政府が英雄的な犠牲をしているところを見せるためだったが、当初からその効果は疑問視されていたという。

 アメリカ政府は災害発生当初からの日本政府の対応に疑念を持ち、3月16日には在日米軍とその家族を原発から80㎞範囲外日本政府は20km)への避難勧告を出した。
日本政府とアメリカ政府の非難範囲が異なって諸外国に奇異な感じを与えたが、アメリカとしては「とても日本政府に付き合っていられない」という状況だったようだ。

 結局自衛隊のヘリによる放水は17日に実行されたが、これは全くのパフォーマンスで実際の災害対策としては何の役にも立たなかった。
鳥越氏はこうした無駄な対応がアメリカからの圧力を回避するために実施されたことの疑問を呈していた。

 確かに原発事故対応としてはお粗末極まりないものと言えるが、私は菅総理がアメリカから圧力を加えられるたびにヒステリーを起こし、東電幹部を怒鳴りまくっていたことが事故を拡大させたと思っているので、ヘリコプター散布はその中の一部だと思っている。
鳥越氏のレポートはそれなりに興味があったが、菅総理の責任の追及に弱さがあり、「ヘリコプター散布だけじゃないだろうというのが私の放送を見た感想だった。

なお第二部、「原子力の平和利用とは何だったか」は明日記載する。


注)震災直後(3月12日)の海水注入にかかるドタバタ劇については以下に記事をまとめておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-c0f8.html

 

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コメント

まったく同感です。
ただこの件に関しましは小さな美談も耳にしました。

ヘリコプターからの放水を命じられた若い隊員を、40代の師官が制止して、君たちには将来があるから、我々が捨て石になろう、とすすんでヘリに乗り込み、放射能被曝業務に当たったそうです。
行動の良否はともかく、自衛隊内の結束は固まったそうです。

それにしても、トップが無能だと現場は本当に苦労しますよね。

投稿: 三太郎 | 2013年8月18日 (日) 13時27分

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