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(25.8.19) 鳥越俊太郎レポート 「原発と原爆 日本の原子力と米国の影」 その2

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(北アルプス白馬岳 トシムネさん撮影)

 この記事は昨日の続きなのでその1を読んでいない方はそちらから読んでください。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-bb0e.html



 私は全く知らなかったが、鳥越氏のレポートによると原爆投下後の残留放射能被害についてアメリカ政府は全く認めてこなかったという。
今では放射能が残留していることは常識で、たとえばセシウム137は30年の半減期だから、ほぼ半永久的に残留していることになる。

 このため今回の福島原発事故周辺ではこの残留放射能の除去が最大の課題となっているが、広島と長崎に投下された原爆では残留放射能被害はないことになっていた。
実際は爆心地から離れていた人でも、急遽家族や親類を助けようとして被災地に入り、黒い雨を浴びたため放射能被害を発症している。

注)映画「黒い雨」でその状況を克明に描いていたが、直接の被ばくをしていない少女が黒い雨を浴びて毛が抜けるシーンが衝撃的だった

 アメリカがどうしても残留放射能の被害を認めなかったのは、原爆が非人道的兵器だと世界に知られることを恐れたからだという。
第二次世界大戦終了後アメリカとソ連は核開発にしのぎを削っていたが、1953年8月にソ連がアメリカに先駆けて水爆実験に成功したことが、アメリカに危機感をもたらせた。
何としても水爆実験を成功させてソ連に対抗できるようにしろ。そのためには被爆国日本の核アレルギーを取り去って、水爆実験を容易にする環境を整えよ

 この戦略のもとにアイゼンハワー大統領1953年12月に国連で衝撃的な演説を行った。
核分裂物資の平時における最も有効な利用法に関する世界的調査を促進するとともに、その目 的のために妥当であるすべての実験の実施に必要な材料がすべて確実に準備できるようにする
従来核技術は秘密のベールに包まれていたが、核兵器の技術を平和利用に使用するためにアメリカが支援を行うとの内容だった。
原子力は戦争目的だけでなく、平和目的にも使用できる人類の資産だという。

 しかしこの戦略は日本に対してはあまり有効でなかったようだ。1954年10月にビキニ環礁でのアメリカの水爆実験で、近くで操業していた第五福留丸の船員23名が死の灰をかぶり、放射線障害が発生したからだ。
当時私は小学生だったが、何か日本中で大騒ぎになっていたことを覚えている。

 しかしこの時もアメリカ政府は残留放射能による放射線障害を認めず、核爆発で粉砕されたサンゴを吸い込んだからだと説明した。
アメリカとしてはソ連との水爆開発で後れを取ることは許されず、何があってもその非を認めることはできなかった(それに日本は敗戦国でアメリカの意向に逆らうことはそもそもできなかった)。

注)残留放射能を認めると実験場所が半永久的に人類が生存できない場所になってしまうため、実験場の確保が難しくなる。ソ連のような国では反対者を投獄できるがアメリカではそれをプロパガンダで行った。

 その後1960年に日本では東海村で日本初の原子力発電所が建設されてることになったが、この時の原子炉は英国から輸入している。
私は不覚にも最初から日本に原子力発電所建設技術があったと思っていたが、それはアメリカの同意のもとにイギリスから導入されたものだった。

 鳥越氏によれば原子力の平和利用と核開発は楯の表と裏で、平和利用を強調することで核開発を容認する世論を誘導するためのものだったという。
そういえば福島原発事故が起こる前までは、原子力は二酸化炭素を出さないクリーンエネルギーで日本の温暖化対策の切り札だと言われたのも、この原子力の持つ負の側面(メルトダウンによる放射能の拡散は核兵器の投下と同じ)を隠蔽するためのプロパガンダだったと言えそうだ。

 鳥越氏の2部にわたるレポートの中で、一部より二部の方がはるかに興味深かったが、平和利用とは所詮イチジクの葉だという指摘は示唆に富んでいた。

なお東日本大震災に関する記事は以下にまとめて入っております。http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43206851/index.html

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