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(25.7.18) クローズアップ現代 「潜入 違法ハウス 住宅弱者をどう支えるか」 

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(フランス南部 巡礼のスタート地点ル・ピュイの近郊) 

 私がまだ現役で働いていたころ浮浪者がうらやましくて仕方がなかった。
当時京葉線を使用して東京に出ていたのだが、京葉線の東京駅地下コンコースは夕暮れ時になるとどこからか浮浪者が集まり、新聞紙一枚を引いて寝込んでいた。
この場所は雨風は防げ、夏は冷房・冬は暖房の効いた最適な環境で「こんなところで一日中寝転んでいられるなんてなんて幸せな人々だろう」そう思って見ていたものだ。

 しかしどうやらことはそれほど単純でないらしい。
このたびクローズアップ現代で「潜入 違法ハウス 住宅弱者をどう支えるか」という番組を放映していたが、社会人として認めてもらうパスポートが住所のあること、さらにいうと住民票を提出できることだと聞いて、「確かにそれはそうだ」と納得した。

 私たちの生活はすべてこの住民票を中心に回っている。運転免許証やパスポートを取るにも必要だし、住民税は住民票を基礎に課せられている。また選挙権は住民票のある場所に送付されてきているし、郵便物も基本的に住民票のある場所に送られてくる。

 私は日本人は住居を持ち、また持たなくとも賃貸住宅に暮らしており、住所があるのが当たり前だと思っていたが、それは日本が高度成長を遂げていた時代の話で、停滞の20年間に様相が変わってきたようだ。
この間のもっとも大きな変化は非正規労働者が激増したことで、20代の若者の二人に一人、全労働者の3人に一人は非正規労働者で、こうした人々の所得は相対的に低く、今や年収200万円以下の労働者が1000万人にも達しているという。

注)私が働き始めたころは労働者を囲い込むほうが大変で、ほとんどの人が正規労働者だった。なお雇用の実態については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-5b4f.html

 低所得者にとって最も問題なのは住居で、敷金礼金を払ってさらに高額の家賃を支払うことができなくなっている(さらに保証人を見つけるのが難しい)。
そうした人々を対象に今違法ハウスと称する一人当たり1.5畳程度の空間しかない賃貸住宅が爆発的に増加しているらしい。

注)オフィスや一軒家をべニアで間仕切りして1.5畳程度の空間に区分する。ちょうどインターネットカフェの個室のような感じ。

 正確な統計はないが都内だけで100棟、2000人以上がこうした違法ハウスで暮らしているという。
番組に出てきた男性はこの1.5畳程度の空間を2万8千円で賃貸しており、敷金・礼金なし、保証人なしなので、ここにしか住めないと言っていた。
確かに通常のアパートを借りるとなると5万から10万程度の家賃は支払わなければならず、この男性の給与は月収10万以下だったので他に住むところはないのだろう。

 一方でこうしたハウスは消防法窓がない)や自治体の条例(4.5畳以上なければならない)や建築基準法住居をオフィスや倉庫と言って登録している)に違反しているので当然行政指導の対象になるが、問題はこうした場所でしか生きられない人々の扱い方になる。

 番組に出てきた男性は、住んでいたハウスが行政から違法だと指摘されて閉鎖されることになり、区役所に相談していたが、「それなら仕事を止めて、生活保護を申請したらいかがですか」と言われた言葉を失っていた。
自立して生きようとしているものから住居を追い出し、その後は生活保護で生きろというのはひどい矛盾だ。

 なぜこんなひどい話になるかというと、自治体が住居をあっせんする相手は生活保護者だけで、職を持っているものは対象にならないからだ。
だが実際は生活保護費より低い給与で働かざる得ない人々もおり、そうした人を職場を奪って生活保護者にするのは何としてもひどい。

注)かつては給与のほうが生活保護費より高いのが普通だったが、今は生活保護費のほうが高くなっている事例が多い。
こうした場合多くの人は働かないで生活保護費で暮らそうとするが、中には自立して生きていこうとする人もいる。
なお生活保護の実態は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/231214.html


 違法ハウスはただ違法だというだけで閉鎖するだけでは何も解決しそうにない。安価で快適な住居を自治体が提供できれば解決するのだが、自治体の財政も失われた20年間に火の車になっている。
結局違法ハウスは行政の谷間に咲いたあだ花で人助けになっており、取り締まりだけではどうにもならない状況下にある。

クローズアップ現代の記事は以下にまとめてあります。http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nhk_2/index.html

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コメント

なつかしい写真を毎日、拝見しています。
写真の色彩が鮮明なことにいつも感心しています。特に花の写真は見事です。

(山崎)タムさんとのサンチャゴ巡礼は今は懐かしい思い出です。フランスのこの高原地帯はとても私の気に入りました。

投稿: タムさん | 2013年7月18日 (木) 09時03分

役人は頭が悪いのでしょうか。都内の公営住宅を安く貸し出せば良いと思う。空きが多く高齢者ばかりが住む公営住宅を貸し出せば解決しませんか。生活保護費に税金を使うのでは無く、家賃収入が入る方策だと思うのですけど自治体は頭が悪いのでしょうか。

投稿: アキラ | 2013年7月20日 (土) 22時05分

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