« (25.7.4) ようやく目が覚めたマスメディア。 なぜ中国の経済報道は間違いだらけだったのか? Mass media woke up finally. Why economic news in China was a mistake? | トップページ | (25.7.6) 今度はポルトガルが火を噴いた。EUの失われた5年 Portugal was blowing the fire this time. 5 lost Year of EU »

(25.7.5) 誰がモルシ政権を崩壊させたのか? イスラム急進主義国家の崩壊

21_970 

 エジプトの世俗派の市民が一緒になって、ムスリム同胞団出身のモルシ大統領を引きづり下ろしてしまった。
軍はこれはクーデターではなく市民革命だ」と言っているが、正当な選挙で選ばれた大統領を装甲車を動員し、大統領を拘束して新たに大統領を擁立したのだから、これがクーデターでなければ世の中からクーデターという言葉がなくなってしまう。

 しかし2年前アラブの春の嵐の中で強権で鳴らしたムバラク大統領を引き摺り下ろし、昨年6月の選挙でモルシ大統領が選ばれたが、一年でまたクーデターとはどうしたことだろう。
世俗派の市民は「大統領が約束したことを何一つ守らないからだ」と非難していたが、約束とはエジプト市民の生活向上のことである。

注)もともとモルシ氏と軍は対立しており、それは1年前から始まっていた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-7f00.html

 モルシ氏が大統領になって1年、エジプト市民の生活は何ら改善されていない。
モルシ氏は海外から4年間で20兆円の外資を導入し、一気にトルコや中国並の新興国を目指すといったが、海外の投資家はこの声明を全く信用していなかった。
イスラム原理主義政党の政府ではイランと変わりがないじゃないか。そんなところに投資などできるはずがない

 海外投資は全くと言っていいほどなされず、さらにエジプトの一大産業だった観光業も閑古鳥が鳴いている。
観光などしていて、イスラム原理主義者に拘束されて身代金を要求されたら大変だ

注)イスラム同胞団とアルカイダのような原理主義戦闘団を一緒にするのはやりすぎだが、海外から見るとその違いが分からない。

 エジプトの貧困階層は約3割と言われており、ムバラク政権の昔からこうした人々に対しパンやガソリンといった生活物質を政府の補助金で極端に安く購入できるようにしてきた(パンはただみたいなものだし、ガソリンは世界で二番目に安い)。
今そうした補助金による財政赤字が3兆円規模になり、GDPに対する割合が12%程度まで膨れ上がった。

注)なぜこうした貧しい人々に対してムバラク政権はムバラクプレゼントをしてきたかというと、国内でイスラム原理主義勢力が拡大するのを防ぐため。このムバラクプレゼントをモルシ政権も引き継いでいる。

 実はエジプト経済存立には一つのトリックがあってそのトリックがなくなったために経済が疲弊している。
エジプトは海外から小麦粉やガソリン等の生活物資を毎月50億ドル(5000億円)相当輸入しければならない。
これをムバラク政権時代はアメリカの資金援助(と観光業収入等)でファイナンスしてきた。
アメリカはムバラク政権の安定のために軍事・経済援助を続けてきが、この金がムバラクプレゼントの原資だった。

 エジプト経済は、スエズ運河通行料、出稼ぎの仕送り、観光業、海外からの投資、アメリカの軍事・経済援助から成り立ってきたが、観光客はいなくなりアメリカは一時軍事・経済援助を停止した。

 泣く泣くモルシ氏はIMFに対して50億ドル相当の融資を依頼したが、IMFの代わりの条件は国民に対する補助金の削減と増税で、これではモルシ氏の立場はない。
我々に対する約束とは増税とインフレか!!!!」世俗派の若者がタハリール広場を占拠して気勢を上げ、2年前以上の動員力でモルシ政権を脅し上げた。

注)モルシ政権は所得税と固定資産税を上げ、さらにタバコ、アルコール、携帯電話にまで税金をかけようとしたが国民の反対でたばこ、アルコール、携帯電話に対する課税は取りやめた。

 軍がモルシ氏を拘束したので、オバマ大統領は「エジプト軍がモルシ大統領の権限を剥奪し、憲法の停止を決めたことを深く懸念する」とコメントしたが、もちろん本音ではない。
アメリカはモルシ政権を締め上げて、もう一度軍事政権を復活させエジプトをアラブの盟主に復活させるのが戦略だから、今回のクーデターはエジプト軍とアメリカの出来レースのようなものだ。

 こうして1年に及んだイスラム原理主義政党の政権は経済的基盤を失ったまま崩壊した。

なおアラブの春の記事は以下にまとめて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45123956/index.html

|

« (25.7.4) ようやく目が覚めたマスメディア。 なぜ中国の経済報道は間違いだらけだったのか? Mass media woke up finally. Why economic news in China was a mistake? | トップページ | (25.7.6) 今度はポルトガルが火を噴いた。EUの失われた5年 Portugal was blowing the fire this time. 5 lost Year of EU »

評論 中東・アフリカ アラブの春 エジプト」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (25.7.4) ようやく目が覚めたマスメディア。 なぜ中国の経済報道は間違いだらけだったのか? Mass media woke up finally. Why economic news in China was a mistake? | トップページ | (25.7.6) 今度はポルトガルが火を噴いた。EUの失われた5年 Portugal was blowing the fire this time. 5 lost Year of EU »