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(25.7.10) エジプトの反革命 軍事国家と宗教国家のせめぎあいはどちらが勝利するか?

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フランス南部の古代都市カオールにかかる中世時代に建設された橋。今でもりっぱに使用されている

  エジプトが内戦の様相を示し始めた。それはそうだろう、公正と認められた選挙で選ばれた大統領を軍が解任したのだから、これは誰が見てもクーデターで、モルシ大統領を支持してきたイスラム同胞団が黙って引き下がるわけはない。

注)ただしアメリカはこれをクーデターとは認めていない。実際はアメリカとエジプト軍の出来レースだから当然で、その間の事情は以下に記載しておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-5b76.html

 軍とイスラム同胞団との小競り合いはいたるところで発生していて、大統領支持派の民衆が軍の発砲で51人の死傷者が出たと報じられている。
現在までのところモルシ派の若者が手製の火炎瓶を軍に投げつけ、それに対して軍が発砲しているという構図だ。

 エジプトの軍は先進国の軍隊と異なり、非常に特異な構造をしている。陸海空の正規軍のほかに治安部隊を要するまでは普通だが、さらに軍人の給与を確保するために建設業や運送業、スーパーや保険業等まで備えたいわば自己完結型の組織なのだ。
国家の中に軍という国家が存在しており、日本の戦前の陸軍と似ているが、経済行為まで行っているところが違う。
こうした商売のウェイトが国家のGDPの約30%相当になる

 政府から必ずしも給与が支払われるわけでなく、自分たちで商売を行い(そういえば中国の人民解放軍も同じだった)、そこで稼いだ金で軍人の生活を保証している。
だから兵士は軍のトップの意向には従うが、国家の意向には従わない(司令官が大統領を逮捕せよと命じれば、兵士は素直にその命令に従う)。
こうした軍の体質を変えようとモルシ氏は軍と激しく対立し、職権で前の軍司令官を解任したので軍とモルシ氏の間には決定的な亀裂ができていた。

注)モルシ氏と軍がムバラク大統領を追放した時期から激しく対立していた様子は以下に述べておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-7f00.html

 エジプトのアラブの春は2年間でまた軍事政権に逆戻りしてしまったのだが(形式的には民政を装うが大統領が軍の意向を無視するとすぐにクーデターで追い出される)、この先はどうなるのだろうか。
世界経済はまた一つ見通しが難しくなり、オイルの価格が100ドルを越し始めた
エジプトの内戦は続き、中東各国にこの内戦が拡大する可能性があるので、石油は買いだ」と市場は判断している。

 エジプトの未来を予測するうえで参考になるのは、今回と全く同様のクーデターが1992年にアルジェリアで起こっていることだ。
アルジェリアでは1991年の民主的な選挙イスラム原理主義勢力が勝利し、エジプトと同様なイスラム原理主義政党出身者が大統領になったのだが、これに反発した軍部が翌年クーデターを起こして大統領を追放してしまった。

 怒ったイスラム原理主義勢力は武力闘争を開始し、それから約10年に及ぶ内戦が勃発した。この戦いは2002年にイスラム武装勢力が降伏して終結したがその間10万人とも20万人ともいわれる死者が出ている。
だが降伏を潔しとしない一派は北部のマリとの国境線に近い無法地帯に退却し、アルカイダと提携して今年に入ってイナメナスの天然ガス関連施設を襲い、日本人10名を含む39名を殺害している

注)このアルジェリア天然ガス施設襲撃事件の内容は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/nhk-a679.html

 エジプトの未来はこのアルジェリアの歴史のコピーになりそうだ
軍部が最終的に勝利するとしても相当長い年月がかかり、その間エジプト経済は内戦で疲弊してしまうだろう。
シリアの内戦も収まらないのに、今度はエジプトで内戦が始まれば、再びイスラム原理勢力は息を吹き返し、アラブは混とんとしてしまいそうだ。
アラブの春とは一体何だったのだろうか。

 一時イスラム原理勢力が政権を握り、それを軍部(アメリカが裏で支援している)が追い出すという反革命で終わってしまうのだろうか。

 



 

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評論 中東・アフリカ アラブの春 エジプト」カテゴリの記事

コメント

先日、エジプト出身タレントのフィフィさんがテレビでこの事件に関してコメントされていました。非常に興味深かったのでリンクを送らせて頂きます。
https://www.youtube.com/watch?v=4g9h-KztV2g

(山崎)ありがとうございます。見てみます。

投稿: | 2013年7月10日 (水) 08時34分

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